UFC240:マックス・ホロウェイ3度目防衛戦&“愛弟子”堀江圭功選手デビュー戦の見どころを高阪剛が解説

「UFC240」のメインイベントで戦うマックス・ホロウェイ選手(左)とフランク・エドガー選手 GettyImages
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「UFC240」のメインイベントで戦うマックス・ホロウェイ選手(左)とフランク・エドガー選手 GettyImages

 日本時間の7月28日、カナダ・エドモントのロジャーズ・プレイスで、総合格闘技の大会「UFC240」が開催される。メインイベントは、王者のマックス・ホロウェイ選手が元ライト級王者のフランク・エドガー選手を迎え撃つUFC世界フェザー級タイトルマッチ。さらに日本の堀江圭功選手が、ハキーム・ダオドゥ選手を相手にUFCデビュー戦に挑む。この2試合の見どころを、WOWOWの番組「究極格闘技-UFC-」解説者としても知られる“世界のTK”こと高阪剛さんに聞いた。

ウナギノボリ

 ◇ホロウェイ選手を崩すには打ち合いしかない

 --「UFC240」のメインイベントとして、ホロウェイ選手がエドガー選手を相手に3度目の王座防衛戦をします。この一戦をどう見ていますか?

 これは正直言って、エドガーにとってかなり厳しい試合になると思いますね。お互いがやってきた試合を見れば見るほど、「これ、賭けにならないんじゃないか?」と思ったりするんですよ。

 --エドガー選手が敗れたジョゼ・アルド選手、ブライアン・オルテガ選手に、ホロウェイ選手は完勝していますね。

 それもそうですし、ホロウェイとエドガーとでは、かなりの体格差がありますよね。とくに身長差は12センチもありますから。エドガーがパンチを当てるには、距離を詰めて中に入っていくしかないんですよ。まあ、エドガーはいつも自分より大きな相手と対戦しているので、遠い間合いからステップを踏んで、一気に懐に飛び込んでパンチを打ち込むのは得意ですけど、当てたところで、ホロウェイは打たれ強いし、パンチをもらってからの方が強くなるようなタイプですから。

 --打ち合い上等、ということですか。

 そのホロウェイをエドガーがパンチで倒し切るっていうのは、かなり大変だと思うんですよ。1発2発じゃ倒れてくれませんからね。結局、ホロウェイって、相手が前に出てこようが打ってこようが関係なく、打撃をもらいながら強いパンチを返していくので。それを承知の上で、エドガーが前に出られるかどうかが、まず大きなポイントだと思いますね。

 --殴り合いになることは避けられないが、突破口もまたそこだと。

 そこしかないです。距離を取った状態のままだったら、何もチャンスはこないので。もちろん、エドガーは相手が前に出てきたところにカウンターでタックルに入って、グラウンドでコントロールするのも得意なんですけど、ホロウェイはスタンドに戻すのもうまいですから。

 --そうなると、テイクダウンを奪ったエドガー選手の方が、スタミナ的に削られることにもなりかねないですね。

 あとは倒してからのキープに固執し過ぎると、ホロウェイは立ち上がり際の打撃もうまいので、そこをもらってしまいかねない。だから、エドガーは立たれそうになったら、その前に手を離して次の体勢に入ったほうがいい。そう考えると、グラウンドで立たれそうになったとき、手を離すことができるかどうかも、もう一つのポイントかもしれないです。

 --スタンドではリスクを負って前に出るしかないし、グラウンドに固執し過ぎてもいけない。エドガー選手にとって、ホロウェイ選手の土俵で戦わざるを得ないですね。

 だからこそ、厳しい展開は避けられないんじゃないかな、と思うんですよ。自分が考える限り、エドガーは自分から距離を詰めて打撃を入れて、すぐにステップで離れる。またテイクダウンをしてポイントは取るけれども、立ってきたらすぐ手を離す。これを繰り返すしかないんじゃないかと思うんですよね。

 --スタンドでもグラウンドでも深追いはせずに、ダメージを与え続けるしかないと。

 でも、エドガーサイドもそれを承知でこの試合を受けていると思うので、自分が考えている以上の戦略を立ててトレーニングを積んでいるとは思うんですよ。エドガーがここまで培ってきた技術、経験の蓄積と、試合中のひらめきで何が起こるかはわからないので。自分の想像を超えるようなホロウェイ攻略法を見せてほしいなって思います。

 ◇堀江選手の強みはスピード

 --今大会では、高阪さんのジム「アライアンス」に所属する堀江選手がUFCデビューを果たします。高阪さんから見て、堀江選手の強みはどんなところですか?

 堀江は打撃が得意で、コンビネーションだとか当てる打撃のパターンをいくつか持っているんですけど、一番の強みはスピードですね。遠い間合いから踏み込むスピードと、パンチのハンドスピードは、UFCに出ているトップの選手にも引けを取らないものを持っていると思うので。だから、それをしっかり出せるタイミングとシチュエーションを作ることができるように、いまトレーニングしていますね。

 --いかにして踏み込んで、打撃を入れられるかだと。

 もう倒すイメージはできているので、そこに結びつけるための動き方や試合の展開作りっていうのをやっている最中です。本人も試合のイメージがほぼ固まっているので、今さら新しいことをやるというより、確信を持って自分の武器を使えるようにするのが大事。堀江の場合、重要なのはタイミングですね。自分の拳に体重を乗せるタイミングと相手との距離感が合った時は、KOで勝てると思います。

 --対戦相手のダオドゥ選手は、同じ打撃系ファイターでUFCでも連勝中。かなり強敵だと思いますが?

 手ごわい相手だと思いますね。打撃の射程距離が長くて、ジャブとローキックが強い。ジャブとローが強いということは、中に入らせないことができるっていうこと。ジャブを一発当ててからの打撃の畳み掛けも強い。それが向こうのやりたいことだと思うので、堀江はダオドゥのジャブが当たらないくらい、遠い距離の設定をしないといけない。そこから一気に入り込むことができるか、ということですね。

 --堀江選手は2試合連続で1ラウンドTKO勝利を上げているので、UFCでもそういう戦いを期待します。

 UFCの1試合目なので、ここでしっかり勝ち星を上げて、次につなげてほしいですね。あとはまだ24歳なので、何も考えずに自分の攻撃をすることと、勝つことだけを考えてやってくれればいいなと思います。

 *……WOWOWでは「UFC240」を生中継。WOWOWライブで7月28日午前11時に放送。

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