「飛ぶ鳥を落とす勢い」とは今の彼のことを指す言葉なのかもしれない。放送中のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「なつぞら」で、“天陽くん”こと山田天陽を好演した吉沢亮さんが、今度は朝ドラと並ぶ国民的番組といえるNHK大河ドラマの主演を射止めたからだ。先日、東京・渋谷のNHK放送センターで行われた会見で、2021年大河ドラマ「青天を衝(つ)け」の主人公・渋沢栄一を演じることが発表された吉沢さん。「プレッシャーが尋常じゃないぐらいある」と心境を明かしたが、「なつぞら」の天陽くんから更なる高みへ向かおうとしている。
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吉沢さんは1994年2月1日生まれ、東京都出身の25歳。2009年に行われたオーディション「アミューズ全国オーディション2009 THE PUSH!マン」をきっかけに芸能界入り。2011~12年に放送された特撮ドラマ「仮面ライダーフォーゼ」では、朔田流星(仮面ライダーメテオ)を演じた。
以降、数々のドラマや映画に出演し、俳優としてのキャリアを着々と重ねてきた吉沢さん。マンガ実写化作品との相性も良く、2017年の邦画実写ナンバーワンヒットとなった「銀魂」(福田雄一監督)では沖田総悟役がハマり役となった。また翌2018年公開の映画「ママレード・ボーイ」(廣木隆一監督)でヒロインの相手役となるクールな男子高校生・松浦遊を演じた際には、原作者の吉住渉さんが「吉沢さんの遊くんはカッコよすぎて直視できない」と、その“美”に太鼓判を押したほど。
そんな吉沢さんの勢いは止まらず、2018年11月には「国宝級イケメン」という新たな称号を手にする。これは女性ファッション誌「ViVi(ヴィヴィ)」(講談社)の恒例企画で、吉沢さんは「’18年下半期 ViVi国宝級イケメンランキング」で「今一番好きなイケメン(NOW国宝級編)」1位を獲得。同誌の公式サイト「NETViVi」の「国宝級イケメンランキング」特集ページでは、「平成史最高峰の美男」として紹介された。
今年4月から始まった「なつぞら」では、ヒロインのなつ(広瀬すずさん)の幼なじみで、笑顔がキラキラとまぶしい“天陽くん”として大ブレーク。4月13日放送の第12回で初登場してから、それが本編であろう予告編であろうと、吉沢さんが少しでも画面に映れば、「天陽くん」がツイッターのトレンド入りをしてしまうほど人気は過熱する。9月2~7日に放送された第23週「なつよ、天陽くんにさよならを」は天陽くんの最期を巡る物語として、大いに盛り上がりを見せたのも記憶に新しい。
一方で、この「なつぞら」では、物語の時代性を超越し、どんな場面であっても摩耗しない“美”以上に、改めて演技力を高く評価された吉沢さん。天陽くんの「光」と「影」を見事に体現した吉沢さんについて、制作統括の磯智明チーフプロデューサーも「ナイーブ、繊細な芝居はできると思っていたんですけど、なつに向けた天陽のまぶしさというものが今回は本当によく出ていて、そこのギャップ感は吉沢さんならでは。見ている人にとっても新鮮に映っただろうし、トータルな部分で彼にこの役をやってもらって本当に良かったなって思っています」と話していた。
大河ドラマに話を戻すと、まず目に付くのが吉沢さんの主演俳優としての若さだろう。「青天を衝け」が始まる2021年1月の時点でまだ26歳。制作統括の菓子浩チーフプロデューサーは「『青天を衝け』では青春というキーワードで、みずみずしく若々しい渋沢栄一を切り取りたい。そう考えた時に、20代ですごく活躍されていて、芝居を託せる方ということで吉沢さんを選んだ」と抜てきの理由を明かした。
とはいえ、その若さが枷(かせ)になる瞬間はあるだろうし、放送自体、再来年とまだまだ先の話。当然「なつぞら」における“天陽くんフィーバー”など、すっかり過去のことになっているだろう。それでも吉沢さんの人を画面に引きつける力は本物。新しい1万円札の“顔”にも採用された渋沢栄一役を通じて、吉沢さんが「国民的俳優」になる日が来ることを期待したい。