木村文乃:「SICK’S」ついにクライマックスで松田翔太との距離感が変化 欲しいSPECは…

ドラマ「SICK’S 厩乃抄」御厨静琉役の木村文乃さん
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ドラマ「SICK’S 厩乃抄」御厨静琉役の木村文乃さん

 ドラマ「SPECサーガ完結篇『SICK’S 厩乃抄(きゅうのしょう)』~内閣情報調査室特務事項専従係事件簿~」が、動画配信プラットフォーム「Paravi(パラビ)」で9月から配信中だ。ドラマや映画が人気を博した「ケイゾク」「SPEC」に続くシリーズ最新作で、「恕乃抄」「覇乃抄」に続く3部作の最終章。本作のメインキャストで眼帯がトレードマークの天才・御厨静琉(みくりや・しずる)役の木村文乃さんに話を聞いた。

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 ◇松田翔太との距離感が次第に変化

 木村さん演じる御厨と、松田翔太さん演じる元公安の刑事・高座宏世(たかくら・ひろよ)が、特殊能力(SPEC)を持つ者たち=SPECホルダーを巡る権力闘争に立ち向かう姿を描く物語も、今作で一区切りを迎える。

 完成披露試写会では「最終章と思ってやっていなかった」と語っていた木村さんは、「撮影したのが去年なので半年ちょっとなのですが、昔のことのように感じます(笑い)(笑い)」とちゃめっ気たっぷりに話し、「これだけ時間をかけて作れるというのは、皆さんがかけてきた時間があってこそ。そこに参加できているのはとてもありがたいこと」とコメント。

 劇中でコンビを組む高座役の松田さんについて、「回を重ねるごとにお互いアウトドアが好きなことが分かり、同じ部活で一緒にやっているみたいな感じ」になったと木村さん。さらに、「兄妹ではないですが、どんな瞬間でも『これが松田さんだ』と思って受け止められるというか、逆に松田さんにも受け止めてもらって。いい意味で甘えられるようになったのは大きい。『ここはちょっと松田さん、お願い!』ということを芝居の中でできた」と振り返る。

 木村さんは、そうした演技をしていく中で自然にできた“距離感”の心地よさを、「どの舞台あいさつよりも、『SICK’S』の舞台あいさつが一番みんなでクロストークできるなと思います」と笑顔で表現する。

 ◇堤組に参加し続けたことで変わったこと

 3部作を通して御厨を演じた木村さんは同じ役を演じ続けたことで、「芝居の上でのコミュニケーションがすごくスムーズに組み立てられていくと感じた」といい、「『ここできっと松田さんはこういうタイミングで言ってくるだろうな』『竜(雷太)さんはこうやって入ってくるだろうな』というのが分かってきて、合間に堤(幸彦)さんが喜びそうなネタをどれだけぶっ込めるかという“遊び”ができる」と説明する。

 また、シリーズ当初との変化については、「小道具もすごいそろっているので、いかにどう使うかというところ。ただ持っていったのでは堤さんは満足しないので、どう面白くできるか」と切り出し、「好きだからうまく使いたい。好きだからもっとパフォーマンスを上げたい。そういう欲が出せるようになったのは、シリーズの最後ならではかも」と感慨深げな表情を浮かべる。

 シリーズを通して自身でも会心の出来だと感じているのは「『気仙沼ホルモン』ってラップ調にやったもの。台本からそうやれっていう感じを受けちゃった」と笑いながら明かし、「普通に言っても面白くないなって思ってやりました。最初はちょっと照れながらやっていたら、堤さんが面白いから照れずにやれってブラッシュアップしてくださった」と回想する。「そこはうれしかった。ごくまれに(堤監督の)笑い声先行でカットがかかるときがあるのですが、その瞬間をたくさん作っていきたいと思ってやっていたところはある」と語る。

 ◇10年後の自分は…

 今作で3部作はクライマックスを迎えるが、「風呂敷をたたむつもりも結ぶつもりもなくて、端をつまんでどうしようかなってやっている感じ」と木村さん。「堤さんが『男はつらいよ』みたいな長いシリーズになるものをやりたいっておっしゃっていたのが印象的なのですが、結局これがそうなっている。あるもので納得するのではなくて、ないものをつくり出そうという生みの苦しみと向き合っている姿はむちゃくちゃかっこいい」とたたえる。

 「あったらいいと思うSPEC」を聞くと、「なくていいです。御厨がSPECで3年間ずっと苦しんできたので、もう解放してほしい(笑い)」と御厨目線で回答。そんな木村さんに、10年後の自分を想像してもらうと、「バックパッカーをできていたらいいですね」と切り出し、「夢ですけど、40歳を超えたら守るものも増えるだろうから行けないかな……。自分が心から楽しいと思うことをできている人間だったら」と笑顔。「そのとき“何乃抄”をやっていますかね?」と聞いてみると、「本当ですね(笑い)。やろうと思えばできない人たちではないので怖いです。インドでやりましょうよって言ったら本当にやっちゃいそうなので」と楽しそうに笑っていた。(取材・文・撮影:遠藤政樹)

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