EXILE小林直己:「ここからが新たなスタート」 リドリー・スコット製作「アースクエイクバード」で海外に本格進出

映画
「Netflix」オリジナル映画「アースクエイクバード」に主演した小林直己さん

 動画配信サービス「Netflix(ネットフリックス)」のオリジナル映画「アースクエイクバード」(ウォッシュ・ウェストモアランド監督)が独占配信中だ。英国の作家スザンナ・ジョーンズさんによる同名ミステリー小説が原作で、1980年代の東京を舞台に、男女3人の愛憎を描く。第88回アカデミー賞助演女優賞を受賞したアリシア・ビキャンデルさんが主演を務め、映画「ブレードランナー」や「エイリアン」シリーズのリドリー・スコットさんが製作総指揮を担当。今作でカメラマンの禎司を演じたダンス・ボーカルグループ「EXILE」「三代目 J SOUL BROTHERS」の小林直己さんに、今作の役作り、今後の活動などについて聞いた。

 ◇海外活動への足場を固め、満を持して進出

 今作への出演について、小林さんは「海外の作品に挑戦したのも、たまたまポンときた話ではない」といい、「4年前ぐらいから語学トレーニングや、(海外作品に)挑戦するための組織作りを始め、そういった流れの中、数々のオーディションを受けている中で2年前にこのオーディションに出合った」と経緯を説明する。

 そんな小林さんが演じたのが、ミステリアスな雰囲気を漂わせるカメラマンの禎司だ。「一見、ミステリアスで心の読めない男のように見えますが、僕自身、最初に脚本を読んだときからこのキャラクターに共感する部分というか、役者としてこの役に取り組むことで自分にとって大切なものが終わった後に気づけるのでは、見つかるのではと思った」と役への印象を明かす。

 その理由を、「禎司の中にある要素として、自分自身の大事なものとか価値観みたいなもの、自分自身の“本物”を追っている、探しているみたいなところがありつつも、それをあまりおおっぴらに外に出さない。それとも不器用だから出せないのか……というところがとても理解できると思いましたし、(自分と)似ているなと思った部分でもある」と説明する。

 ◇類似点を探して掘り下げながら役作り

 役作りでは自身との「類似点を探していった」という。「最初に脚本を読んで感じたのは、禎司にとってカメラは“第二の本能”みたいなものということ」といい、「撮ることで何かを探す、自分の理想に近づけているのかなと思って。それは僕でいえばダンス。自分の中の感じていることや叫びたいことを、言葉にするよりはダンスすることの方が自分に合っていた」と役との類似点を分析する。

 類似点を掘り下げるため、「カメラに触るほど禎司の本能に近づけると思い、(撮影の)5カ月ぐらい前から同じモデルのカメラを買って東京を撮り、自分で現像もした」と明かし、「その過程は、自分がダンスで一つ一つ音を聴いて体を作っていくというのと同じ。また禎司が生まれたと書かれている鹿児島に行き、彼が見たであろう、行っであろう場所、育ったであろう雰囲気を感じることで、役を(演じるというより)踊ったような感覚だった」と役への理解を深めた経緯を話した。

 そういった体験をしたことで、「過去や経験、後悔のような記憶、感覚みたいなものも使って役を作り芝居をする上で、自分の後悔みたいなものが昇華された感じがあった。それは禎司との類似点を見つけたなという感じがしたし、ダンスや芝居というものの共通点が、改めて延長線上にあると気づいた経験だった」と役作りを通して感じたという。

 ◇日本が舞台だからこそ貢献できたことがある

 今作の舞台は1980年代の日本。キャストの中で唯一の日本人であったことについて、「少なからず責任感みたいなものはあった。監督のウォッシュといろいろ話し、『禎司はこういうことは言わないかも』とか、シーンに対して『こうなのでは』など、そういった形で貢献できたのかなと思います」と小林さん。

 1980年代はまだ幼かった小林さんだが、「一つの時代が変わっていくというあわただしさと新たな希望、寂しさのような雰囲気や肌感みたいなものはなんとなく覚えている」と話し、劇中で当時のダンスを再現するシーンがあるが、「あのシーンは監督からリファレンスがあって、黒澤(明)監督の『酔いどれ天使』という作品で三船(敏郎)さんが演じたシーンにインスパイアされた部分があった」と説明する。そして「僕の踊りを好きでいてくれている方も満足できるシーンなんじゃないかなと思います」と自信をのぞかせる。

 日米の撮影現場の違いを聞くと、「映画は専門家同士の集まりで作る総合芸術。それに対して俳優部として自分がプロフェッショナルなクオリティーを届けるという意味では一緒だった」と言い、「ただ集まる人たちが異なるバックグラウンド、異なるカルチャー、異なる言語の人たちで、そこから生まれるものというのは同じ表現をする者として刺激的で、毎日が楽しかった」と笑顔を見せる。

 共演したアリシアさんについては、「人としても素晴らしいし、プロフェッショナルなアクトレスとしても素晴らしい。リードアクトレスとしてプロダクションを引っ張り、とてもナチュラルでオーガニックで寛大な感覚がある」とたたえ、「いざカメラが回るとパチンとルーシーになり、カメラが止まるとすぐいつものアリシアに戻る。その集中力と切り替えはものすごい勉強になりました」と舌を巻く。

 そして、「3カ月の撮影の中でずっと(役に)入っていられない。これから自分がいろんな作品をやっていく上で、とても(集中力と切り替える能力は)ほしいなって(笑い)」と話す。

 ◇自身を冷静に分析し未来を見据える

 小林さんは、「小さいころから“忘れられたくない”という思いというか恐怖心みたいなのがずっとあった。それと同時に、何かを見てすごく心に残る、インパクトがある体験があった」と切り出し、「自分が誰かに、そういうインパクトのようなものを表現で伝えられたら、その人は一生覚えていてくれるはず。そういう思いでパフォーマンスしてきた。相手の心に突き刺さるような、一生覚えていてもらえるようなダンス、芝居をしたい」と自身が表現にこだわる理由を語る。

 堅実に準備を重ねるタイプだが、「できないからできるようになるためには、時間をかけるしかないな、と。自分に才能があるとは思わないし、感覚だけでやっているわけでもない。ただ自分が好きなものをちゃんと時間をかけて向き合うための時間を作りたい」と持論を展開する。

 「今年は『アースクエイクバード』のPRのため、海外の雑誌に出たり、年始はEXILEのツアー、後半は三代目(J SOUL BROTHERS)のツアーをやったり、国内外で動いていた」と2019年を振り返り、「東京でこの作品のプレミアができたことがうれしいし、アリシアもウォッシュも日本語であいさつしてくれグッとくる瞬間もたくさんあった。だからこそ、もっともっと自分が日本出身、アジア出身の俳優としてさまざまな作品に影響できるような人間になっていきたい。ここからが新たなスタートだなと感じています」と真っすぐに前を見据えていた。

 (インタビュー・文・撮影:遠藤政樹)

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