濱津隆之:「カメ止め」出演で「生活が180度変化」 車中泊×グルメドラマ「絶メシロード」主演もマイカーは…

テレビ東京のドラマ「絶メシロード」で主演を務める濱津隆之さん
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テレビ東京のドラマ「絶メシロード」で主演を務める濱津隆之さん

 サラリーマンが車中泊をしながら、絶滅してしまうかもしれない“絶メシ”を求める様子を描いたテレビ東京ほかで放送中のドラマ25「絶メシロード」(金曜深夜0時52分)。主人公の須田民生を演じるのは、インディーズ作品として異例の大ヒットを記録した映画「カメラを止めるな!」(上田慎一郎監督)で、監督の日暮隆之を演じた俳優の濱津隆之さん(38)だ。ドラマが放送されると、SNSでは「癒やされた」「濱津さんとっても可愛かった」などの声があがるなど、視聴者を魅了している。「カメ止め」出演後は、「生活が180度変わった」という濱津さんに、地上波連ドラ初主演に抜てきされた思いや、役者になるまでの道のりを聞いた。

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 ◇「主演をやることが生きているうちに来るとは…」

 ドラマは、須田民生が車中泊をしながら“絶メシ”に出会うまでの週末1泊2日の“小さな大冒険”を描く作品。民生は、日々の生活の中でさまざまなストレスを感じていたが、唯一の楽しみは、絶滅しそうな絶品メシ“絶メシ”を求めて旅に出ること。期限は金曜の帰宅後から、妻と娘が好きなアイドルグループのライブ遠征から帰ってくる土曜日の夕方まで。“誰も誘わない・誰も巻き込まない・予算はお小遣いの範囲内で!”をモットーに “絶メシ”を求め日本全国を車一つで駆け回る……というストーリーが展開する。

 地上波連ドラ初主演に抜てきされた思いを、「主演をやるポジションの役者ではないなってことは思っていたんです。だからホントびっくりしました」と振り返った濱津さん。うれしさよりも驚きの方が大きかったといい、「主演をやることが生きているうちに来るとは思わなかった」と率直に語る。

 ドラマが放送されると、「車中泊したくなってきた」などの声が多くあがった。民生のような時間の過ごし方を「すごいぜいたくだなって思いました」と話す濱津さんは、「やっていること自体はシンプルなんですけど、(車中泊を)やってみたくなりました。車を持っていたら……」と苦笑い。車を購入する予定は?と尋ねると、「ないんですけど……(笑い)。実際にやってみてほしいです」と話す。

 少年時代、埼玉の実家から、母方の祖母が暮らす島根まで車で帰省することがあったといい、姉、兄とともに車に揺られながら、一晩過ごしたことがあった。「夜通し走っている中、子供たちは後ろの席で寝るってことがあった。小さいですから3人横になって寝て。起きたら松江に着いている。それが楽しくて」と車中泊の思い出を明かす。

 ◇一昨年10月までアルバイト

 濱津さんは、1981年8月25日生まれ。埼玉県出身。趣味は音楽鑑賞、レコード。2018年6月公開の映画「カメラを止めるな!」で主演。同映画は、ゾンビ映画、サスペンス映画の要素を盛り込んだ娯楽作。製作費300万円で製作され、東京都内2館で公開。SNSなどの口コミで有名になった話題作だ。「第42回日本アカデミー賞」では、優秀作品賞など8部門で受賞し、濱津さんは優秀主演男優賞を受賞した。

 役者として無名の中、自ら探したという同作のオーディションに臨み、合格。同作に出演して以降は、さまざまなドラマ、バラエティー番組、映画に出演。昨年放送のドラマ「ノーサイド・ゲーム」(TBS系)では、青野宏役で出演。企業間の悪事をばらした一方で、ラグビーチーム「アストロズ」の真っすぐな戦い方に感銘を受けて涙を流す姿を熱演し、注目を集めた。

 「映像作品(への出演)は『カメラを止めるな!』が初めて。初めてがあの作品ってすごいことですし、原点となる作品があれでよかったなと思います」と話す濱津さん。「その都度その都度、転機はあったはずですけど、ここにたどり着けた一番の転機は『カメラを止めるな!』」と思いを話す。

 同作に出演する前と後での違いを聞いてみると、「生活がもう180度どころじゃないくらい変わっています。バイトもやめましたし……」と明かす。実は、「カメラを止めるな!」撮影中もマンガ喫茶で厨房のアルバイトをしていたという。ちなみに最後にやっていたアルバイトは、ラブホテルの清掃の仕事で、「昼間のラブホテルと、夜のラブホテルを掛け持ちしていた」と明かす。アルバイトは、2018年10月まで続けていたという。

 ◇芸人、DJを経て、役者の道へ

 今は“役者一本”という濱津さんだが、ここにたどりつくまでにはいくつかの挑戦があった。「大学卒業してどうしようかってなったときに、たとえばこういう感じのことをやって食べていけたらいいなというのが表現の世界だった。昔から人前でふざけて笑わせる(のが好き)。そういうものの積み重ねがあって、吉本に行ったんです」。

 大学卒業後、24歳で吉本興業の養成所「NSC」に入学。お笑いコンビ「はまつとコバ」を結成した。しかし、2年ほど活動した後、DJの道に進むことになる。「音楽がずっと好きで、家ではターンテーブルをいじったりしていて、自分の中で音楽がだんだん大きくなっちゃって……もうダメだと。自分の意志だけを通してしまったので、相方には申し訳ないことをしたんですけど、DJをやろうと」と振り返る。

 DJとして奮闘するも、「これを職業としてやっていく能力は自分にはない」と自己分析。「音楽がもう無理だと思って。芸人は中途半端に投げだしちゃっているので、そこにまた戻るのもな……って。芸人のときにコントをやっていて、キャラクターを演じるということはもしかしたら好きなのかもしれないって思って、役者にいってみるかと」。

 当時、新聞に掲載されていたという芸能学校に応募し、養成所に通うことに。そこで「劇団川末」との出会いがあり、31歳頃、初舞台を踏むことになる。「(当時は)舞台を見に行くなんてしていなかったので、テレビの中での役者さん像しか知らなかった。(舞台には)映像とはまた違った世界があって、そこでやっている人たちがいて……みたいなことを知って、なるほどと思いました。役者ってこういう世界があるんだって」。

 そこから自らオーディションを探して受けている中、「カメラを止めるな!」のオーディションに挑むことになった。そんな濱津さんに、「これからも役者業を続けていきたい?」と聞いてみた。「そうですね。ほかにとくにやりたいことがないんで、やっていくってことですかね(笑い)。続けていけたらいいなと思っています」。

 ただ、「できれば演技はしたくない」といい、「役を演じようとせず、ただしゃべるだけでその人になっている、そぎ落とされた感じを目指したい。演技が嫌いとかではなくて、そういう意味で演技はしたくないと常々思っています。その人の人間味というか、それだけで役として存在するのってすごいなって。自分もそうなれたらいいな」。

 そんな濱津さんは、「絶メシロード」の監督から「そのまんまでいいです」と言われたといい、自身に近いところで演じることができたと話す。取材時も、質問に対して、飾り気なく、率直に答えてくれた。濱津さんのその空気感が、ドラマの世界観と絶妙にマッチしていると感じた。濱津さんがどんな“絶メシ”を食べるのか。今夜も楽しみだ。

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