パラサイト 半地下の家族:初オスカーで30億円超えも? 吉沢亮、斎藤工、細田守…ポン・ジュノ監督の韓国映画が称賛される理由

映画「パラサイト 半地下の家族」の場面写真(C) 2019 CJ ENM CORPORATION, BARUNSON E&A ALL RIGHTS RESERVED
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映画「パラサイト 半地下の家族」の場面写真(C) 2019 CJ ENM CORPORATION, BARUNSON E&A ALL RIGHTS RESERVED

 世界最高峰の映画の祭典「第92回アカデミー賞」の授賞式が2月10日(日本時間)、米ロサンゼルスのドルビー・シアターで開催され、韓国映画「パラサイト 半地下の家族」(ポン・ジュノ監督)が作品賞、監督賞、脚本賞、国際長編映画賞を受賞した。韓国映画のオスカー受賞は史上初で、作品賞受賞は外国語映画として初、アジア映画単独としても初。同作は、俳優の吉沢亮さんや斎藤工さんら映画関係者が公開前から絶賛しており、日本でも異例の大ヒット。オスカー受賞でさらに動員が加速しそうだ。

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 「殺人の追憶」(2003年)、「グエムル-漢江の怪物-」(2006年)、「スノーピアサー」(2013年)などで知られるポン監督の最新作である「パラサイト 半地下の家族」は、“半地下住宅”に暮らす貧しい一家と“高台の豪邸”で暮らす裕福な一家という相反する二つの家族が出会い、徐々に貧しい一家が裕福な家庭にパラサイトしていく……というストーリー。

 俳優の吉沢さんはポン監督のファンを公言。昨年12月、ポン監督と主演のソン・ガンホさんらが来日した舞台あいさつの際に、吉沢さんがゲストとして登場し、「昔から見ていた方々なのでうれしい。こんな場所に僕がいるのがおこがましいくらい、すごい人たち」と大興奮。「笑いも涙もホラーもサスペンスもいろいろな要素が入っているけど一切邪魔をせず、完璧に融合されている。その中で格差社会が根底にあったり……。絶対に見るべき映画」と絶賛していた。

 映画パーソナリティーの伊藤さとりさんは、今作について「2019年に見た試写で、この映画のせいで、(他の)いい映画(の印象)が薄まってしまった」と言い、「脚本の素晴らしさ、役者陣の演技の素晴らしさ、そして美術の素晴らしさ、セットのこだわり、音楽の素晴らしさ、すべてが完璧」と評した。

 同じく、ポン監督のファンだという俳優の斎藤工さんは「一番好きな作品に出会えた」と断言し、「最初笑って見ていましたが、(中略)日本をはじめ各国が抱えている社会的弱者のリアルが突き付けられていく。(中略)天才としか言いようがないですね」とコメント。
 
 さらに、劇場版アニメ「未来のミライ」(2018年)で昨年のアカデミー賞長編アニメ映画賞にノミネートされた細田守監督は、今作について「コメディーとして始まるエンターテインメントな映画だと思って見ていると、予想を裏切るようなことが何回も起こり、想像もしないようなところまで連れて行ってくれる」「家2軒しか出てこない映画なのに、ものすごいでかいものを見た感じがするのも面白い」と語っている。

 今作は口コミで広がり、韓国国内では動員数1000万人を突破、フランスでは動員数170万人突破、全米でも昨年の外国映画興行収入第1位、歴代興行収入でも現在第7位と各国で動員記録を塗り替えている。米国の「第92回アカデミー賞」では異例の作品賞ほか6部門でノミネートされた。

 日本国内では、2月5日時点の観客動員が100万人を突破。興行収入も14億円を記録している。韓国映画の興収が10億円を超えるのは、2010年に公開された中山美穂さん主演の「サヨナライツカ」(イ・ジェハン監督)以来10年ぶり。製作も主演も韓国人が務めた韓国映画で興収が10億円を突破したのは、2005年のチョン・ウソンさん主演の「私の頭の中の消しゴム」(イ・ジェハン監督)以来15年ぶりの快挙となった。

 予想を上回る展開が口コミで広がる中での作品賞を含む米アカデミー賞4冠受賞。今回の受賞によって、さらに注目度を増しており、国内での韓国映画の興収最高額を誇る「私の頭の中の消しゴム」の興行収入30億円を15年ぶりに記録更新なるか、期待がかかる。

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