志尊淳:吉川晃司の「キャッチャー的存在」 ドラマPが感服した繊細な演技 

5週連続特別ドラマ「探偵・由利麟太郎」に出演している志尊淳さん=カンテレ提供
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5週連続特別ドラマ「探偵・由利麟太郎」に出演している志尊淳さん=カンテレ提供

 歌手で俳優の吉川晃司さんが主演を務める5週連続特別ドラマ探偵・由利麟太郎」(カンテレ・フジテレビ系、火曜午後9時)で、吉川さん扮(ふん)する“白髪の探偵”由利麟太郎とバディーを組む三津木俊助を好演している志尊淳さん。劇中では、物静かに事件を調べ、達観した発言で事件を推理する由利の後ろでリアクションをとったり、軽妙なせりふのやり取りで視聴者を楽しませている。そんな志尊さんについて、ドラマの演出も務めた木村弥寿彦プロデューサーは「吉川さんとの演技で絶妙なバランスを引き出すキャッチャー的な存在」と絶賛する。そんな志尊さんの魅力を経歴とともにひもといてみた。

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 ◇明るく素直な三津木役は若々しさ&ファニーさが決め手

 志尊さんは、2014~15年に放送された特撮ドラマ「烈車戦隊トッキュウジャー」(テレビ朝日系)で主人公のトッキュウ1号/ライトを演じて注目を集めた。その後、2018年放送のNHKドラマ「女子的生活」で“女子”として生活を送るトランスジェンダーの主人公・小川みき、同年放送されたNHKの連続テレビ小説(朝ドラ)「半分、青い。」では、ゲイの美青年・藤堂誠(通称・ボクテ)といった難役に挑戦し、存在感を放った。

 また、2019年放送の連続ドラマ「Heaven? ~ご苦楽レストラン~」(TBS系)では、いつも笑顔で周囲から愛される天然キャラの川合太一、連続ドラマ「潤一」(カンテレ)では、女性たちを魅了するミステリアスで気まぐれな不良の主人公など、幅広い役柄を演じてきた。

 木村プロデューサーは、志尊さんを起用した理由を「志尊さんは若手俳優の中でも、特に勢いのある方。志尊さんならではの若々しさと、彼のファニーさ」が決め手だったと明かす。物静かな由利と対照的な、明るくおしゃべりで素直な性格の三津木を「上手に表現してもらえるのでは」と期待を込めてのキャスティングだった。

 ◇吉川晃司の背後で細かい演技

 ドラマは、金田一耕助シリーズなどで知られる横溝正史の長編小説「蝶々殺人事件」を含む「由利麟太郎」シリーズが原作のホラーミステリー。同シリーズが連続ドラマ化されるのは初めてだ。原作の三津木は新聞社の記者という設定だが、“現代版”に落とし込むため、ミステリー作家志望の青年に変更された。由利を“先生”と崇拝するあまり、自分の小説を書くことよりも、由利の活躍を記録するウェブサイト「由利麟太郎の事件簿」の運営に夢中というキャラクターだ。

 木村プロデューサーは、吉川さん演じる物静かでストレートな言動をする由利の魅力を引き出す、志尊さんの演技について「キャッチャー的な存在」と分析。その背景には、「志尊さんは現場で瞬時に判断する対応力が高い。吉川さんのストレートな芝居をただ受けるだけではなく、由利の背後で、顔の表情だけで演技をしたり、見えにくいところで繊細な演技で表現しているのは『さすがだな!』と思いましたし、彼のクレバーさをすごく感じました。この作品において、なくてはならない頼もしい存在でした」と“ピッチャー”吉川さんの演技を“リード”する素質を説明した。

 志尊さん演じる“キャッチャー”三津木は視聴者も“リード”してくれる大切な存在だ。洞察力と論理的思考は天才的という由利が事件の真相に迫っていくだけでは、視聴者を置いてけぼりにしかねない。そこに「先生! 先生!」と事件の詳細について質問したり、情報を整理してくれる三津木が加わることで、ストーリーへの理解が深まっている。

 「探偵・由利麟太郎」はいよいよ最終回を迎える。オペラ界のスター女優・原さくら(高岡早紀さん)殺害事件で犯人が仕掛けたトリックと事件の真相に迫る由利&三津木の“バッテリー”の活躍に注目だ。最終第5話は7月14日午後9時から放送。

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