ディズニー&ピクサーの最新劇場版アニメーション「2分の1の魔法」(ダン・スキャンロン監督)が、8月21日に公開される。内気で自信がない少年イアンと陽気で好奇心旺盛な兄バーリーが、“亡くなったお父さんに会いたい”という願いをかなえるため、魔法で足だけ復活した父を完全によみがえらせる冒険の旅に出る……という今作。スーパーバイザーとして、ストーリー制作に携わったケルシー・マンさんに話を聞いた。
ウナギノボリ
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ストーリースーパーバイザーとしての仕事は、バランスのとれたチームを構成すること。マンさんは異なる人生経験を持つスタッフをチームに集めた。マンさんは、制作初日から今作に関わっており、「最初からいるというのは、とてもナイスだよ」と話す。
「どんなところから始まったのかを知っているし、(監督の)ダンが(スタッフから受ける)質問に答える手伝いができる。ダンは、本当にたくさんの質問を受けるんだよ。僕は最初からいるから、それに答えてあげることができる」と語る。
今作は、スキャンロン監督自身が1歳のころに父親を亡くした経験からインスピレーションを受け、制作がスタートした。監督の個人的な経験を映画の物語として構築するため、監督やスタッフを交え、何度もストーリー展開に関するミーティングを行った。
初期段階で監督から要求されたことは、「すごく面白くて、大笑いできて、最後に観客が感情的に驚くような心を揺さぶる映画」を作ることで、監督は「最後に感動というこぶしでおなかを殴られるような映画」と独特の表現したという。
マンさんは「ダンの体験から最高の話を引き出す」ことに注力し、「それをやるために、僕は自分自身を重ねた。ストーリーアーティスト仲間たちにも、同じことをやってもらったよ。このピクサーの建物の中で、僕が一番好きな場所はストーリーの部屋だ。あそこはとても神聖な場所なんだ。誰もが自分が感じていることを素直に語ることができる場所。それを映画に反映させていくんだ」と振り返る。
誕生した作品は、非常に共感性の高い物語となった。マンさんも制作中に父を亡くし、「だから愛する人を失うということに共感できない人はいないと思う。1日だけでもその人にまた会えたらという気持ちにもね」と語る。
昨年公開された「トイ・ストーリー4」(ジョシュ・クーリー監督)をはじめ、最近のピクサー作品は続編が多い。新たなオリジナル作品を作る上で一番難しかったのは、「イアンをどう登場させるか」だった。「映画の始まりは何度も変わった。イアンが(初めて)登場するシーンは、何度もストーリーボードを描き変えたよ」という。
一方で、当初から思い描いていたエンディングは大きく変えていないという。「テーブルリード(脚本を声を出して読むこと)のときから結末は決めていて、それをストーリーボードにした」といい、「エンディングが最初からあったのは、とても良かった」と笑顔で語る。
「あれが感情のバロメーターになったんだ。映画のラストで“こう感じないとだめ”という指標になった。時には、『最後にあのフィーリングが来ない。それはつまり僕らがその前に何かだめなことをやってしまった。最後を台なしにしてしまう何かをしている』ということがあったよ。僕らが求める感情になっている映画になるかどうか、その判断基準になるのが、あの感動的な結末だったんだ」
エンディングありきでストーリーを構築していくやり方は、マンさんも初めての経験だったという。「でも、お陰でやりやすかったよ。スクリーニングも3度目か4度目になるころには、なぜ自分たちがこの映画を作っているのか分からなくなることがある。何のためにやっているのかとね。でも今作でそう感じたことは一度もなかった。ダン自身が人生を見つめることから来た話だからだ」と胸を張った。
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