ルパンの娘:作品彩る“真面目さ”と“遊び心” 話題のミュージカルシーン、オマージュへの思いも  武内英樹監督が語る制作の裏側

10月15日スタートの「ルパンの娘」第1話のワンシーン(C)フジテレビ
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10月15日スタートの「ルパンの娘」第1話のワンシーン(C)フジテレビ

 女優の深田恭子さんが主演を務める連続ドラマ「ルパンの娘」(フジテレビ系、木曜午後10時)の続編が10月15日、スタートする。2019年に放送された前作では、代々泥棒を家業としている「Lの一族」の娘・三雲華(深田さん)と、代々警察一家の息子・桜庭和馬(瀬戸康史さん)との許されないラブストーリーを軸に、コミカルな会話劇、派手なアクション、名作のオマージュシーン、泥棒スーツといったガジェットなども話題となった。「真面目さと遊び心の温度差が、このドラマの味」と語る、武内英樹監督に改めて作品の魅力と、続編の見どころについて聞いた。

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 ◇“ねじれ”が生み出す面白さ

 武内監督は連続ドラマ「大奥第一章」「電車男」「のだめカンタービレ」(いずれもフジテレビ系)といった数々の話題作を手掛け、映画「翔んで埼玉」では第43回日本アカデミー賞の「最優秀監督賞」も受賞した。

 「ルパンの娘」の原作は横関大さんの同名小説(講談社)シリーズ。武内監督は、本作の魅力について泥棒一家と警察一家が結婚するという設定が「あり得ない(笑い)。華と和馬がひかれ合い付き合っていく中で、“とんちんかん”なことを言う親たち、それに真面目に受け答えする2人という“ねじれ”が面白い」と説明する。後は、「どういうふうにすれば、キャラクターたちの勘違いが生じて物語が面白くなるか。このキャラはとんちんかんな行動をするかなどの計算をしています」と、“ねじれ”に“計算”を加えて作品を盛り上げているという。

 ◇“計算”で作り上げた脚本

 武内監督が言う「計算」とは何なのか。「脚本作りが大事」だといい、「目の前にあるシーンをどうイジったら面白くなるのか、脚本家、プロデューサーといろいろと話し合っています」と制作の裏側を明かす。

 SNSでも話題となった大貫勇輔さん扮(ふん)する円城寺輝と華によるミュージカルシーンについて、武内監督は「円城寺が歌っている歌詞は、華と和馬の状況を説明する大事なシーン」と、視聴者がストーリーのおさらいをする役割を持たせていると説明。このミュージカルシーンで「物語が動き出し、よからぬ方向へとベクトルがかかっていく。毎回、どういう役割を持たせようかと考えるのが楽しいです」と語る。

 花に囲まれた空間、噴水があるといったファンタジーな世界観で表現しているため「撮影場所が重要」と語りつつ、「脚本の段階で歌詞を書いていただき、それを作曲していただいてる方に相談してと、かなりの時間をかけています。けっこう大変なんです」と苦労も交えて、同シーンへの思い入れを語った。

 また、前作では、華の母・悦子役の小沢真珠さんが出演した昼ドラマ「牡丹と薔薇」のワンシーンをオマージュして、悦子が財布をステーキに見立てて焼く“財布ステーキ”や、和馬とエミリ(岸井ゆきのさん)の結婚式のシーンでは、アニメ「ルパン三世」シリーズの劇場版「ルパン三世 カリオストロの城」(宮崎駿監督、1979年公開)の結婚式シーンをオマージュした描写が登場。武内監督は「ドラマを面白くする要素として、要所要所にそういうのを入れると楽しんでもらえるのかなと思いました。気付いた人にだけ分かる仕掛けです」と語った。

 そして、ドラマで欠かせないのが、深田さんをはじめ、瀬戸さん、華の父・尊役の渡部篤郎さんらによる、華麗な打撃や組み技などが飛び出すアクションだ。毎回、殺陣の指導者に「こういうアクションにしてほしい」とオーダーし、キャラクターそれぞれの心情を取り入れて、手直ししているという。

 物語の根幹は「真面目です」としつつ、ミュージカルシーン、オマージュ、アクション、さらに小型探索機「てんとう虫3号」のガジェット機能などは「単純に遊び心」で「真面目さと遊び心の温度差が、このドラマの味」と、視聴者を楽しませる魅力を改めて説明した。

 ◇続編は、何が飛び出すか分からない“おもちゃ箱”

 前作の最終回で「『Lの一族』が死んだ」と偽ったことで、華と和馬は結ばれたわけだが、続編では、死んだはずの「Lの一族」が再始動する中、華が、事実婚した和馬と平穏な日々を過ごす「普通の主婦」になりたいと願う姿を描く。さらに、女優の橋本環奈さん演じる、「Lの一族」に復讐(ふくしゅう)を誓う、代々「名探偵一家」の娘・北条美雲も登場する。

 武内監督は、続編について、ミュージカルシーンではシチュエーションに変化を加え、アクションでは「撮影の段取りが増えた分、レベルが上がっています」と明かしつつ、「とにかく展開が早いです。そのテンポは前作よりパワーアップしています。笑っていただける要素も増やし、何が飛び出すか分からない“おもちゃ箱”のように仕上がっています!」と、見どころを語っていた。

 続編は10月15日午後10時から放送。初回は15分拡大版。

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