モンスター
#10 信じた者たちへ
12月16日(月)放送分
2020年10月にスタートしたドラマの主題歌を紹介。今年の秋ドラマでは、人気バンド「Mr.Children(ミスター・チルドレン)」や福山雅治さんの新曲、ユーミンこと松任谷由実さんの書き下ろし曲などビッグネームの楽曲がそろった。そのほか人気バンド「King Gnu(キングヌー)」の新曲など、注目の主題歌をピックアップした。
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有村架純さん主演の「姉ちゃんの恋人」(カンテレ・フジテレビ系、火曜午後9時)の主題歌は、Mr.Childrenの新曲「Brand new planet」(12月2日発売のアルバム「SOUNDTRACKS」に収録)。
Mr.Childrenは「コロナで壊れかけた世の中に、人や物の“希望と再生”の物語を届けたい」というドラマ制作陣の思いを受けてオファーを快諾。あきらめから脱却し、新しい可能性を信じたいという願いが伝わるスケール感のあるナンバーに仕上がっている。
ドラマは、亡くなった両親の代わりに3人の弟を育ててきた主人公・安達桃子(有村さん)と、同じ職場で働く吉岡真人(林遣都さん)の2人を中心に展開するラブストーリー。桃子にとって“新しい日常”である恋の始まりの高揚感、一方で、つらい過去にとらわれて前に進むことを躊躇(ちゅうちょ)している真人の心情が、楽曲の爽やかで切ない世界観と絶妙に重なり合う。歌詞にある「惑星(ほし)」=地球にちなみ、2人をつなぐアイテムとして、地球儀が劇中に登場していることにも注目だ。
波瑠さんが主演を務める「#リモラブ ~普通の恋は邪道~」(日本テレビ系、水曜午後10時)の主題歌は、福山さんの書き下ろし楽曲「心音」(12月8日発売のニューアルバム「AKIRA」に収録)。
思いがけない恋の訪れにざわめく心、止めどなくあふれ出るいとしさを切々と歌い上げたラブバラードだ。
ドラマは、恋愛から遠ざかっていた“おひとり様”の産業医、大桜美々(波瑠さん)が、SNS上のやりとりだけで、顔も名前も知らない相手に恋をするという設定。美々の不器用さや届きそうで届かないもどかしい思いが、「心音」の心象風景とオーバーラップし、甘酸っぱいシーンを彩っている。
木村佳乃さん主演の「恋する母たち」(TBS系、金曜午後10時)の主題歌は、松任谷さんがドラマのために書き下ろした新曲「知らないどうし」(12月1日発売のニューアルバム「深海の街」に収録)。
許されない恋、刹那(せつな)的な2人の関係を描いたラテン調ナンバーで、大人の女性ならではの強がりと切なさが垣間見える。
ドラマは、複雑な家庭事情をそれぞれ抱える石渡杏(木村さん)、林優子(吉田羊さん)、蒲原まり(仲里依紗さん)の3人の母が、夫以外の男性に引かれていく……という物語。楽曲が三者三様の禁断の恋をスリリングに盛り上げる。
柴咲コウさん主演の「35歳の少女」(日本テレビ系、土曜午後10時)の主題歌は、4人組バンド「King Gnu」の書き下ろしの新曲「三文小説」(12月2日に両A面シングル「三文小説/千両役者」として発売)。
不慮の事故で10歳の時から長い眠りについていた少女、時岡望美(柴咲さん)が35歳で目覚める、というストーリーを踏まえて制作された。空白の時間に戸惑い苦悩する望美を見守り、語りかけるような目線の歌詞が印象的だ。冒頭のハイトーンボイスが鮮烈で、どこか荘厳で神秘的な雰囲気が、望美の不思議な境遇ともリンクしている。
妻夫木聡さんが主演を務めるTBS系の日曜劇場「危険なビーナス」(日曜午後9時)の主題歌は、3人組バンド「back number(バックナンバー)」の書き下ろしによる新曲「エメラルド」(配信中)。
不穏な音色を奏でるギターのアレンジ、謎めいた女性との怪しげな恋を思わせる歌詞の世界は、バンドの新機軸といえる楽曲を生み出した。東野圭吾さんの同名小説が原作のドラマは、主人公(妻夫木さん)が、謎の美女(吉高由里子さん)と共に名家の遺産をめぐる謎解きに挑むラブサスペンス。毎回、クライマックスで流れる同曲は、物語のミステリアスさや危うさをいっそう際立たせている。
森七菜さん主演の「この恋あたためますか」(TBS系、火曜午後10時)の主題歌は、4人組バンド「SEKAI NO OWARI」がドラマのために書き下ろした新曲「silent」(12月16日にシングルとして発売)。
しんしんと雪が降り積もる情景に、かなわぬ思いや孤独感を投影したクリスマスソング。ドラマは、コンビニスイーツの開発に奮闘する井上樹木(森さん)と若きコンビニ社長、浅羽拓実(中村倫也さん)、スイーツ開発の仲間との恋の四角関係が展開する。ほろ苦い味わいを醸し出す楽曲「silent」が、クリスマスシーズンを背景にした切ない恋模様のドキドキ感を高めてくれる。
新型コロナウイルス感染拡大の影響により“ニューノーマル(新しい常識や日常)”が始まりつつある中での秋ドラマの放送。一つの転換期でもあるこの状況下で、音楽シーンを代表するアーティストたちが世に送り出した渾身(こんしん)の主題歌とドラマとのコラボに注目だ。(水白京/フリーライター)