エール:海辺のシーンは窪田正孝&二階堂ふみの完全自由演技 最後は異例のメッセージ

NHK連続テレビ小説「エール」第119回の一場面 (C)NHK
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NHK連続テレビ小説「エール」第119回の一場面 (C)NHK

 窪田正孝さん主演のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「エール」(総合、月~土曜午前8時ほか)の第119回が11月26日に放送された。

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 終盤、病にふせっていた音(二階堂ふみさん)が「海が見たい。あなたと出会った頃のように。歌を歌いたい」と力なくつぶやく。そこで裕一(窪田さん)は「分かった。行こう」と外へ連れ出そうとする。すると二人は若返り、手を取りながら海に向かって走り出し、そのまま砂浜で二人が戯れる……というシーンが繰り広げられた。

 本編の最後にふさわしい明るく美しいシーンとなったが、「エール」のチーフ演出で、脚本も手掛けた吉田照幸さんは、「そのまま病床で音が亡くなるってうのは収まりはいいのですが、何か嫌だなって思っていました。収まりがいいだけに『エール』じゃないなって。最後は海で撮ろうと決めてたので、ある日、歩いていたら、足元が砂浜になったら面白いんじゃないかって思いついてやりました」と話す。

 また「『エール』の中には、他の人たちがやった面白いと思うことを拝借して、アレンジしてやっているところもあるのですが、あそこだけは全くそういうものがなかったので、現場で無音で撮っていたときには、本当に視聴者が感情移入できるのかって試写までは不安でした」と本音をぽろり。それでも「編集室で一回音楽をつけて初めて見たときに、自分で撮ったものなのにゾワッっとしたんですね。言葉では説明できない感動ってあるんだなって、二人の人生の重みとかが自分の中に返ってきたというか」と振り返る。

 撮影前に裕一役の窪田さんと音役の二階堂さんには「とにかく走っていってくれ」とだけ伝えた。そのため、そこから先は完全に二人の自由演技で、しかも一発撮りだったという。

 「あの二人の関係でしか生まれないものがあると思っていた」という吉田さんは、「カメラも極力遠くに置いて“野放し”。海に向かって走っていってもらって、その先から何も演出していないです」と状況を説明する。

 さらに「あの夫婦らしいなって思ったのが、愛情を濃厚にめぐらすっていうことよりも、二人が前を向いて生きてきたような同士みたいな感じが生まれたってこと。それは裕一と音なのか、窪田さんと二階堂さんなのか、もう分からなかった。とにかく何か定義づけたくない、二人を邪魔したくないと思って、起こることを撮りたいって思っていましたし、この二人が過ごしてきたものが何なのか、僕も観客として見てみたかった」と狙いを明かした。

 最後は窪田さんが役を離れて視聴者にメッセージを送る異例の形となった。窪田さんは「え~最後までご覧いただき、本当にありがとうございました」と切り出すと、「世界中を未曾有の不幸が襲う中で、『エール』という名でドラマをやる意義を裕一を演じながら感じさせてもらいました。少しでも見てくださる皆さんの力にこのドラマがなれたのならば、スタッフ、キャスト一同、本当にうれしく思います。早く日常が戻ることを願って、皆さん一緒に頑張りましょう」とコメント。続けて「あしたは何と特別編! 人気キャラクター総出演によるカーテンコールをNHKホールからお届けします。見てね~」と呼びかけた。

 「エール」は、昭和という激動の時代に、人々の心に寄り添う曲を数々生み出した作曲家・古山裕一と、裕一の妻で、自らも歌手になる夢を追い続ける音の、音楽と共に生きる夫婦の物語。ドラマは27日に最終回を迎える。同回は、NHKホール(東京都渋谷区)を舞台にした「コンサート」となる。

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