俳優の長谷川博己さん主演のNHK大河ドラマ「麒麟(きりん)がくる」(総合、日曜午後8時ほか)第42回「離れゆく心」が1月24日に放送され、光秀の周囲で信長排除の動きが加速した。さらに本編終了後に公開された第43回「闇に光る樹(き)」(1月31日放送)の予告編には、美濃の鷺山のふもとにある小さな館で静かに暮らしたいと信長(染谷将太さん)のそばを離れた帰蝶(川口春奈さん)の姿があり、その発言が視聴者から注目を集めた。
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第42回は、毛利攻めの副将である荒木村重までもが信長に反旗をひるがえす。必死に説得をする中で、この終わりの見えない全ての戦が、武士の棟りょうたる将軍の復権につながっていると悟った光秀(長谷川さん)は、義昭(滝藤賢一さん)が追放された鞆の浦(とものうら)へ足を運ぶ。そこで見たのは、釣りざおを垂らす暮らしをしている“かつての将軍”の姿だった。一緒に京に帰ろうと促す光秀に、義昭は「そなた一人の京ならば考える」と告げる……という展開だった。
1月17日放送の第41回「月にのぼる者」の最後で、正親町帝(おおぎまちてい、坂東玉三郎さん)が「信長が道を間違えぬよう、しかと見届けよ」との言葉を光秀に残していたが、第42回では、家康(風間俊介さん)が、自らの行為で周囲を遠ざける最近の信長の振るまいに不信感を募らせ、「これでは天下は一つにまとまりませぬ」と、「戦のない平らかな世」を目指すために、すでに信長の存在が障害でしかないことを訴えた。
また同回では、義昭が文を通じて、「昔、話した誰も見たことのない生き物、麒麟。十兵衛となるそれを呼んでこれるやもしれぬと。そういうらちのないことを思うたと。海辺で暮らしていると、そういう夢ばかり見るのだ」と思いを告げるシーンもあった。
振り返れば光秀は、かつて道三(本木雅弘さん)から「あの信長という男は面白いぞ。あの男から目を離すな。信長となら、そなたやれるやもしれぬ。大きな国を作るのじゃ。誰も手出しできぬ、大きな国を」との“遺言”を受け取っていて、松永久秀(吉田鋼太郎さん)も、「これだけの名物を持つ者は持つだけの覚悟がいる」との言葉と共に、光秀を「いかなる折も誇りを失わぬ者、志高き者、心美しき者」と見込んで、名物の茶釜「平蜘蛛(ひらぐも)」を託したこともあった。
「大きな国作り」を目指し、意気投合してきたはずの光秀と信長。しかし、ここに来て、信長の目に余る振る舞いから、「本当に麒麟を呼ぶことができるのか」と、光秀の葛藤はピークに達しつつあると言っても過言ではないだろう。
そうなると気になってくるのが「誰が最後の一押しをするのか」ということ。そのヒントとなりそうなのが、1月31日放送の第43回の予告映像にある光秀と帰蝶のやりとりだ。光秀から「道三様ならどうなされましょう?」と聞かれた帰蝶が、「毒を盛る。信長様に」と答えるシーンで、「ついに心が決まる」との文字も映し出されている。
これだけを見ると「最後の一押し=帰蝶の言葉」という図式が成り立つが、果たして本当のところは……。いずれにせよ、ドラマは残すところあと2回。「本能寺の変」まで待ったなしのところまで来ていて、最後まで見逃せない。
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