緊急取調室 (2025)
最終話 蒼い銃弾
12月18日(木)放送分
俳優の吉沢亮さん主演で2月14日にスタートする2021年のNHK大河ドラマ「青天を衝(つ)け」(総合、日曜午後8時ほか)。江戸から明治という時代の転換点の中心人物として活躍し、その後も現代日本の礎を築き、“日本資本主義の父”とも称される渋沢栄一の生きざまを描く。第60作を数える大河ドラマの歴史の中で、渋沢栄一が主人公となるのは今作が初めて。「これまで大河で描かれてきた人物とは違って、死ぬ瞬間のはかなさだったり派手な部分はないのですが、泥臭くても最後まで生き抜く強さみたいな生命力が魅力」と渋沢栄一を語る吉沢さんに話を聞いた。
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渋沢栄一は1840年、時は江戸幕府第十二代将軍・徳川家慶の治世の生まれ。1931年に91歳で没するまで江戸、明治、大正、昭和と激動の時代を生きた。その人生もまさに激動。武蔵国榛沢郡血洗島村(現・埼玉県深谷市血洗島)の豪農の子として誕生し、若き日は尊皇攘夷(じょうい)派の志士として活動。途中、一橋慶喜の家臣となり、慶喜が第十五代将軍となったことを機に幕臣に。時代が明治になると、新政府の要請で官僚となり、その後は官を辞して実業家に転進した。
吉沢さんは渋沢について、「“今”っぽい考え方をもっていた人物。だからこそ生き延びたのではないでしょうか」と話す。「台本や渋沢さんに関する資料を読んでいて、攘夷活動だったり、当時のはやりにすごくのめりこんではいるのですが、俯瞰(ふかん)で見ている部分も持っている人だったのではないかと思います。腹を切った方が勇ましいという価値観がある時代に、“自ら命を絶っても世のためにはなんの役にもたたない”と冷静に見ている部分を持っていた方だという印象です」と明かす。
武士だが安易に自らの命を投げ出さず、時代が変わっても生き続けた。そんな“生き抜く強さ”が渋沢栄一の魅力だと吉沢さんはいい、「そういった部分を見てほしい。現代を生きる人々に伝えたい部分です」と力を込めた。
渋沢栄一が大河ドラマの主人公になるのは初めてだが、吉沢さん自身も大河ドラマ初出演にして、初主演。初めての大河の現場について「オープンセットを見たときにあまりの規模の大きさに驚きました。これだけ完璧に整えられた環境で芝居ができることが幸せです」と笑顔を見せる。また、「一人の人物の一生をこれだけ時間をかけて描くというのは、大河ドラマならではの醍醐味(だいごみ)だと思いますし、なかなか経験できることではないので、これからの役者人生にも生きる経験ができている喜びを日々感じています」と語った。
役作りにおいて、そろばんや剣術の練習のほか、渋沢栄一に関するさまざまな本も読んだという吉沢さん。道徳を大事にしていたり、身分関係なく優秀な人間を登用することを大切にしていた人物だという印象を強く受けたというが、ドラマで演じる中では感情がそのまま表情に乗ったりと、“人間くささ”も感じたという。
そういった部分も「すごくいいな」と感じたといい、「キャラクターとしての捉え方ではなくて、“人としてのゆらぎ”を大切に、『こうでなきゃいけない』と型にこだわるのではなく、自由に演じていきたいです」と意気込んだ。
「青天を衝け」は、連続テレビ小説(朝ドラ)「風のハルカ」(2005年度後期)、「あさが来た」(2015年度後期)などの大森美香さんが脚本を担当。「緻密な計算」と「人への誠意」を武器に、近代日本のあるべき姿を追い続けた渋沢栄一の姿を描く。
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