WOWOWのドラマ「WOWOWオリジナルドラマ　世にも奇妙な君物語」で主演を務める女優の黒島結菜さん。同作は1話完結のオムニバスドラマで、黒島さんは第1話「シェアハウさない」でシェアハウスへの潜入取材を試みるフリーライター・田上浩子を演じる。現在映画にドラマにと活躍中の黒島さんだが、これまでのキャリアを振り返り、女優活動を長く続けられている自分に「驚いている気持ちがある」という。黒島さんに今作の役への思いや現在の心境、今後の抱負などを聞いた。

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　◇行動的な主人公に共感　自身も「思い立ったら行動」タイプ

　ドラマは「桐島、部活やめるってよ」「何者」などで知られる直木賞作家・朝井リョウさんの小説が原作。1話完結で全5話が放送され、黒島さんのほか、葵わかなさん、佐藤勝利さん、田中麗奈さん、上田竜也さんの5人がそれぞれ主演を務める。黒島さんが主演する第1話「シェアハウさない」は、フリーライターとして成功を求める浩子が、自立した社会人同士が“シェアハウス”する理由を掘り下げるため、見知らぬ男女4人が暮らすシェアハウスへの潜入取材を試みるが、その共同生活には想像を遥かに超えた真の目的があり……というストーリー。

　朝井さんの小説を映像化した作品では、過去に「桐島、部活やめるってよ」（吉田大八監督、2012年）や「何者」（三浦大輔監督、2016年）に触れており、「桐島」は原作も読んでいたと黒島さん。朝井さんの作品について「若い人たちが持っているたくさんの感情に、共感できるような作品。若者たちの全部の気持ちをひとつにまとめてくれている、そういう印象でした」と感想を明かす。

　今作は、作中を通して不気味な雰囲気が漂う「シェアハウさない」で主演。オファーを受けた当時は「軽い気持ちだった」という黒島さんだが、台本を読み、その予想を裏切る内容に「いい意味でびっくりした」という。「まさか、こんなに“いい意味で気持ち悪い”作品だと思っていなかったので、びっくりしました（笑い）。『こんなに、もやっとするような役なんだ』と。台本を読んで、いい意味でリアルな不気味さが面白いなと思いました」と振り返る。

　演じる浩子は、性犯罪の被害に遭ったつらい経験をしているが、自分の使命を果たそうと物事に踏み込んでいく女性だ。黒島さんはそんな浩子を「強い女性」と捉えており、「ちゃんと声をあげて世の中に発信していける方たちって、すごくかっこいい人だなと思っていて……そういう強さのようなものが（浩子にも）あるといいなと考えていました」と役への思いを吐露する。

　「興味のあることを調べたり、ひとつのことをよく知りたい、と思うところは、近いかなと思いました」と行動力、瞬発力のある浩子の姿は自身も似たところがあると黒島さん。「私も思い立ったら行動するタイプなので。そういうところが似ているなと思います」とほほ笑む。

　◇今年は「勉強の年」に

　近年では、NHK連続テレビ小説（朝ドラ）「スカーレット」や大河ドラマ「いだてん～東京オリムピック噺（ばなし）～」の演技で存在感を発揮。映画「カツベン！」（周防正行監督、2019年）でもヒロイン役を務めるなど活躍中だ。デビューから10年近くが過ぎた今、これまでを振り返って、どのような思いがあるのか。

　「まず、そんなに続けている、という自分に驚いている気持ちがあって。習い事にしても、ひとつのことをこれだけ長く続けてこられたのは初めてなので。だから、これからも続けていきたいなと。今までは流れに身を任せるところがあったのですが、そのスタンスはもちろんあってもいいと思うけど、もうちょっと、将来どうありたいのか、どうなっていきたいのか……ということを、ゆっくりとでもこれから考えていけたらいいなと思っています」

　そう感慨深い表情でこれまでのキャリアを振り返る黒島さんは、未来を見据え、今年は「勉強の年」にしたいと明かす。

　「自分が興味があること、やってみたいことをいろいろ考えてやってみる。そういう“勉強の年”にして（デビュー）10年目を迎えられたらと思います」と黒島さん。

　「勉強して、興味のあるものについてもっと深く知る。そういう学びの年にして、いい意味で変われて、次のステップに行けたらいいな、と。全部お芝居にもつながると思うので、知識を入れていきたいですね。想像力ももちろん大事ですけど、演じるうえでは自分の経験値をどんどんあげていかないといけないので、影響を受けてみたいと思ったことには足を踏み入れて、経験値を蓄えられる年になったらいいなと思います」とさらなる飛躍を見据え、力強く語った。

　WOWOWのドラマ「WOWOWオリジナルドラマ　世にも奇妙な君物語」はWOWOWで3月5日から放送・配信。全5話で第1話は無料放送。

　※ヘアメーク：加藤恵　スタイリスト：伊藤省吾（sitor）