俳優の藤原竜也さんと竹内涼真さんが共演する映画「太陽は動かない」(羽住英一郎監督)が3月5日に公開された。映画は、藤原さん演じる秘密組織「AN通信」の冷静沈着なエージェント鷹野一彦と竹内さん演じる相棒の田岡亮一が死の危険と隣り合わせの中、任務を遂行する姿を描いた壮大なノンストップサスペンスだ。今作が初共演となった藤原さんと竹内さんに共演の感想や、2019年のブルガリアロケなど過酷だった撮影エピソード、1年延期を経てついに公開されることについての感慨などを聞いた。
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映画は「怒り」「悪人」などで知られる吉田修一さんの同名サスペンス小説(幻冬舎文庫)が原作。鷹野と田岡は、AN通信の司令塔・風間武(佐藤浩市さん)から「全人類の未来を決める次世代エネルギー」の極秘情報を手に入れることを命じられる。24時間ごとに本部への定期連絡をしなければ、心臓に埋め込まれたチップの起動装置が発動し、解除の申請ができなければ5分で爆死するという、死の危険と隣り合わせの2人。極秘情報を巡り、各国のエージェントたちが頭脳戦を繰り広げる中、任務を遂行するために奮闘する姿を描く。
ブルガリアでの約1カ月に及ぶロケなど、壮大なスケールで描かれる今作。派手で迫力のあるアクションは見どころの一つだ。それ故に、撮影は”日本映画の枠を超えた”ハードな面もあったという。「初日は、パーティーに潜入するシーンの撮影から始まったんです。(撮影の合間に)花火がバンバン打ち上がるから動画を撮ったりして、『楽しい撮影になるな』と言っていたんですが、翌日から『はい、橋から飛んでもらいます』『電車に飛び移ります』『荷台に乗ってアクションです』と……。そこから記憶がない(笑い)」と藤原さんは苦笑いで撮影の日々を振り返る。
一方、撮影は「楽しみでしかなかった」と竹内さんは語る。藤原さんとは今作が初共演で、「『やっと竜也さんとご一緒できるんだ』と思いました。しかも、やりがいのある大きなプロジェクトで、撮影で海外に1カ月。楽しみでしかなかったです」と笑顔を見せる。同じ芸能事務所に所属する間柄だが、これまで特別な交流があったわけではなく、先輩、後輩という感覚も薄いという2人。藤原さんに対しては、出演作から得られるイメージのみで「どういう感じの方なんだろう」と思っていたという竹内さん。一方、藤原さんは、竹内さんについて、「非常に勢いがあっていい役者」というイメージを持っていたという。
竹内さんは、今作の共演で藤原さんから多くのことを学んだという。「みんなを巻き込む力、というか……。今作の撮影現場は“体育会系”なんです。男女関係なくみんなでやっていこう、と。その中心に竜也さんがいて、みんなでご飯に行ったり、飲みに行ったり、と音頭を取ってくださるので、チームの士気が上がる。そういうことは大事で、今回は(現場が)しっかりとまとまっていた。だからこそ、いきなり橋から飛び降りたり、水につかったりするシーンがあっても、大変だけど心置きなくぶつかることができた。間近で、そういう雰囲気を作ってくださって、本当にすごいなと思いました」と語る。
濃密な撮影期間を終え、「お互いに刺激し合える存在になった」と藤原さん。「ブルガリアから半年間、共に戦ったといっていいぐらいの時間を過ごしたので、今となっては役者として、非常に刺激し合える存在になった。僕としては『若いフレッシュな役者と濃い半年を過ごさせてもらったな』と感謝しています」と率直な思いを語る。竹内さんも「濃密な半年間でした」と感慨深げな表情で語り、「もちろん先輩・後輩の関係ではありますが、竜也さんを信頼していろいろとぶつけることができました。撮影が終わってからも相談事とか何かあればすぐ連絡しますし、竜也さんも連絡くれます。そうなるぐらい、共に乗り越えた半年間でした。僕も感謝しています」と晴れやかな笑顔で語る。
大迫力のアクションシーンにそなえて、体作りにいそしんだという藤原さんと竹内さん。事前準備について、竹内さんは「食べて、全体的に一回り大きな体にした」と明かす。
藤原さんは、改めて事前準備の大切さを実感したという。「羽住組では、ある程度のことを予想して、それに適応していかなければいけないんですよ。だから、それなりの肉体的なトレーニングや、技術的なこと……例えば『階段を走りながらせりふを言う』とか、『列車に乗りながら何かをする』とか、そういったことをすべてスムーズにできるぐらいの準備をしていた方が、楽だし、けがもしない。ブルガリアに入ってから、そういう世界観だと気づかされて。スタッフがプロフェッショナルな世界だなと思いましたね」と回顧する。
そんなさまざまな苦労の末に無事撮影を終え、昨年5月に公開される予定だったが、コロナ禍で1年近く公開が延びた。そのことを2人共、残念がる。
ただ、完成した作品には手応えを感じている。竹内さんは「『半年間やり切った』という自信があり、それが作品にも出ている。面白かったし、カッコいい映画ができたといえます。こんな状況ですけど、劇場で見てもらいたいなという気持ちはあって……。見てもらえたら、絶対楽しんでもらえると思います。冒頭から飛ばして、見終わったときにすごく気持ちのいい映画だと思います」と自信に満ちた表情で語った。
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