海に眠るダイヤモンド
最終話後編(10話)記憶は眠る
12月22日(日)放送分
きょう3月26日の放送で最終回を迎える人気グループ「TOKIO」の長瀬智也さん主演の金曜ドラマ「俺の家の話」(TBS系、金曜午後10時)。脚本家の宮藤官九郎さんが紡ぐ“笑って泣ける”家族の物語で、視聴者からは「長瀬智也の集大成」といった称賛の声が上がっている。本作をはじめ長瀬さんのドラマを数多く手がけてきた磯山晶チーフプロデューサーは、「今までいろいろな経験を積んできたものを全部出してくれているなと思います」と話す。最終回の放送を前に、長瀬さんについて振り返ってもらった。
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長瀬さんがジャニーズ事務所を退所する前の最後の作品ということで、「『(視聴者から)“こんなので終わりかよ”って絶対に言われたくない』と思っていたので、ものすごい責任感を持って取り組んだつもりですし、宮藤君ともそう話していました」と今作への思いを明かした磯山さん。「長瀬君が今後どんな芸能活動をやっていくのか、やっていかないのかも知らないんですけど、現時点での最高傑作にしたいなと思っていた」と続ける。
「俺の家の話」は、長瀬さん演じるピークを過ぎたプロレスラー・観山寿一が主人公。能楽の人間国宝である父・寿三郎(西田敏行さん)の介護のために現役を引退し、名家の大黒柱として、次々と一家に降りかかる困難に立ち向かってきた。
ドラマが始まる前に、「長瀬君がやるならば、もっと振れ幅広くできるだろう」という思いから、「能」と「プロレス」という要素が加わったと明かしていた磯山さん。長瀬さんは、役作りのため、肉体改造に励み、体重を13キロほど増量。迫力ある寿一のプロレスシーンには絶賛の声が上がったほか、能のシーンにも「長瀬智也さんの舞きれいだな」という声が上がるなど注目を集めた。
「長瀬君のドラマって作っていて楽しい」と話す磯山さんは、「(長瀬さんは)体も含めて、自分の役作りのスタートが早い。それでいて完成度の高い仕上がりで、もうすごく感動していた」と振り返る。
同局の連ドラとしては、2000年4月期の「池袋ウエストゲートパーク(IWGP)」、2005年4月期の「タイガー&ドラゴン」、2010年7月期の「うぬぼれ刑事」、「俺の家の話」と長瀬さんとタッグを組んできた宮藤さんは、「(長瀬さんは)連載少年マンガの主人公のような存在」と表現する。
そんな唯一無二の存在感を持つ“役者・長瀬智也”は、制作サイドをわくわくさせると同時に、視聴者も魅了している。SNSでは、「味のある役者」「芝居を続けてほしい」「ずっと見続けていたい役者」「カッコよすぎる俳優」といった声が続々と上がっている。
なかでも、長瀬さんと西田さんの息の合った掛け合いについては、「本当の親子のよう」と感じている視聴者が多いようだ。西田さんといえば、宮藤作品に欠かせない存在でもあり、「うぬぼれ刑事」では長瀬さん演じるうぬぼれの父役、「タイガー&ドラゴン」では父子のような関係性の落語家の師匠を演じてきた。今作のキャスティングの際には、長瀬さん、宮藤さん、磯山さんが「絶対にお父さんは西田さんにやってもらいたい」と話をしていたといい、オファーを受けた西田さんも「本当にうれしい」と話していた。
西田さんについて、磯山さんは「個人的に、本当に長瀬君が好きなんだなと思います。長瀬君とのお芝居がすごく生き生きしていて。もちろんすごく名優でいらっしゃいますが、乗りに乗った西田さんが見えてとても幸せです」と話す。
撮影現場では、長瀬さんは本当の息子のように西田さんのそばに寄り添っているという。終盤の撮影現場では、楽しくやりつつも、寂しさを感じていた様子で、「西田(敏行)さんと長瀬君の二人のシーンでは、目と目が合うだけで二人とも泣いちゃう……みたいな、感傷的な感じ」と振り返る。
要介護度が上がった寿三郎のグループホームへの入所を、寿一がケアマネジャーから提案される第8話。終盤で寿一と寿三郎が2人きりで食事をする場面が描かれた。手元がおぼつかず、梅干しを箸でつまめない寿三郎に、スプーンやフォークなどが入った湯飲みをそっと手渡す寿一。寿三郎の納豆をかき混ぜながら、「なあ親父。飯食ったらさ、ちょっと出かけない?」とさりげなくグループホームに行くことを提案する。
その後、グループホームでの寿一が寿三郎を見送る場面。「じゃあな」といったんは別れたものの、寿三郎の背中に向かって「親父!」と声をかけた寿一。「おう」と応じた寿三郎は「なんだよ?」と寿一の元へ。
寿三郎に、セクシー美女のトランプを渡した寿一は、涙をこらえながら、軽く手を上げて再び別れを告げる。歩き出した寿一が振り返ると、寿三郎は、「ブリザード!」と言って手を高く上げる。寿一も手を上げ応じながら、「早く行けよ」と声をかけながらも、目には涙があふれていて……という展開で、親子のやりとりに涙する視聴者が続出した。
さっきまで笑っていたのに、気づいたら泣いていた……。そして、考えさせられる。そんな今作には「名作」の呼び声が高い。「笑っているのに泣いてしまうというのは、宮藤さんが“スイートスポット”にハマるセリフを書いてくれるからだと思う」と分析した磯山さんは、「それに長瀬君の覚悟、西田さんの覚悟が重なっているから、『なんかいいもの見たな』って思えるし、『人と人のつながりっていいな』って素直に思える。嘘くさくないし、押し付けがましくないってすごく思います」と話す。
また、寿一を「今までで一番長瀬君の素に近い」と話し、「宮藤さんの(脚)本もだんだん長瀬くんが本人の本来もっている気質にすごく近づいていっているような気がして。長瀬君には聞いていないからわからないですけど、私たちが想像する長瀬君という人に寿一が近づくような感じがしました」と明かす。
長瀬さんの素に一番近いという寿一。最終回ではどのような展開となるのか……。磯山さんは、「観山寿一という人がどういう人で、25年ぶりに家に帰ってきて、親の介護して。観山家にとってどういう役割を果たしているのかがはっきりするというか、彼の生き様が、見ている人にとってよいものになるといいなと思っています」と話す。
長瀬さんは、「こんなご時世ですけれど、おうちにいらっしゃる時間のお供になればいいなと思って、日々撮影しています。きっとまた新しい形のホームコメディードラマが生まれると思っています。ぜひ楽しみに毎週見ていただけたら」と話していた。最後まで「俺の家の話」を楽しみたい!
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「俺の家の話」最終回は、3月26日に15分拡大で放送。グループホームを抜け出し観山家にやってきた寿三郎は、3度目の脳梗塞で危篤に……。多くの門弟や家族たちに囲まれ、最後の時を迎えようとしていた寿三郎の前に、いままで正体を隠してきた寿一がスーパー世阿弥マシンとして現れる。そして「肝っ玉! しこたま! さんたま!」の掛け声で、奇跡的に寿三郎は一命を取り留める。そして寿一は、新春能楽会で舞う予定の「隅田川」の稽古に励んでいた……というストーリー。
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