やくならマグカップも:“立役者”が語るアニメ化の裏側 多治見への思い

「やくならマグカップも」のビジュアル(C)プラネット・日本アニメーション/やくならマグカップも製作委員会
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「やくならマグカップも」のビジュアル(C)プラネット・日本アニメーション/やくならマグカップも製作委員会

 岐阜県多治見市が舞台で、伝統工芸品・美濃焼がテーマのフリーコミックが原作のテレビアニメ「やくならマグカップも(やくも)」(CBCテレビ、BS11、TOKYO MX、MBS、AT-Xで放送中)。原作は、2010年に多治見の有志や企業が集まり、プロジェクトが始動。2012年から地元IT企業のプラネットがフリーコミックを発行している。アニメ化は、日本アニメーションの石田祐貴さんが企画したところから始まった。石田さんは多治見出身で、同作の制作進行を担当。「やくも」への愛を企画会議でぶつけたという。アニメ化の立役者となった石田さん、日本アニメーションの手塚健一プロデューサーにアニメ化の裏側、アニメへの思いを聞いた。

 ◇立役者は多治見出身 たまたま原作を手に取り…

 「やくならマグカップも」は、脱サラした父親と母の故郷・多治見市に引っ越してきた豊川姫乃が、母が伝説の陶芸家であったことを知り、陶芸の世界に引き込まれていく姿を描く。前半15分がアニメ、後半15分が実写パートの2部構成で、実写パートに声優の田中美海さん、芹澤優さん、若井友希さん、本泉莉奈さんが出演し、多治見のさまざまなスポットを訪れ、魅力を紹介する。

 現在27歳の石田さんは、高校生まで多治見で生活していた。関西で暮らすようになった大学生の頃、「やくも」の原作に出会った。たまたま手に取り、「面白い!」と魅了された。

 「多治見を舞台にしたアニメやマンガを見たことがなかったし、地元が舞台になっていることがうれしかった。焼き物のことをしっかり描いているところに引き込まれました。懐かしい気持ちもあったのかもしれません。多治見には、焼き物が身近にあったんですね。小中学校の給食も美濃焼の器で配膳されていて、それが当たり前だと思っていた。でも当たり前のことではなかったんですね。地元を離れて、焼き物が身近にあったんだなと感じました」

 石田さんは、IT企業に就職したが、「アニメを作りたい!」という気持ちから、2017年に日本アニメーションに転職。同社の企画会議で「やくも」のアニメ化を提案した。「地域と密着したアニメも増えている。多治見に興味を持ってもらえる。姫乃たちが動いているのを見たい!」と熱い思いをぶつけた。

 手塚プロデューサーは原作を読み「新鮮でした。ほんわかしていて、ほかの作品にはない雰囲気です。原作の知名度がないのが難しいところかもしれないけど、逆手にとって、いろいろなことができるのでは?」と可能性を感じた。

 ◇思わず応援したくなる作品に

 手塚プロデューサーはロケハンや取材で何度も多治見を訪れた。

 「陶器が本当に身近にあるんですね。。川沿いに行ったら、陶器のかけらが落ちていてびっくりした。地元の人に『普通ですよ』と言われ、そうなのか……と。街の大きさもほどよいし、街並みも美しい。街の人との距離感もいいですね。行けば行くほど好きになります」

 石田さんは「多治見の人はアニメにすごく期待している」と話す。市内に横断幕が掲げられ、同市の公用車が、キャラクターをあしらったラッピングカー仕様の“痛公用車”になったことも話題になっている。。地元の物流サービス業・平中サービスは、アニメのビジュアルと声優陣の写真をデザインしたトラックの運行を開始。官民一体となって“聖地”を盛り上げている。

 手塚プロデューサーは、地元の応援、期待を受けて「原作のプラネットさんも含めてみんなでアニメを作っています。それがこの作品の核になっている。思わず応援したくなる作品を目指しています。商業誌ではなくフリーコミックのため認知度がまだまだのところもあるかもしれないけれど、地元の人の強い思いなどで補い、応援してもらえる作品にしたかった」と語る。

 石田さんは「話題性だけではなく、多治見の景色、弊社が得意とする日常芝居もしっかり描いていて、いろいろ楽しめる作品になっています」と自信を見せる。

 手塚プロデューサーも「この作品のきっかけに陶芸をやってみよう!となってくれるとうれしいですね。しっかりロケハンもして、窯元さんにも取材にご協力いただき、しっかり描いているので、ぜひ注目してください。女子高生の日常、悩みを描く中で、尺は短いですが、起承転結に寄らない、風景で心情を描くなど独特の表現をしています」と語る。

 「やくも」は、多治見、陶芸、アニメならではの表現、実写パート……とさまざまな楽しみ方ができそうだ。きっと多治見に行ってみたい!と、とりこになるはずだ。

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