蒔田彩珠:朝ドラ“ヒロイン妹”に熱視線 “系譜”受け継ぐ18歳に大ブレークの予感

NHK連続テレビ小説「おかえりモネ」でヒロインの妹・永浦未知を演じる蒔田彩珠さん (C)NHK
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NHK連続テレビ小説「おかえりモネ」でヒロインの妹・永浦未知を演じる蒔田彩珠さん (C)NHK

 当初の予定から約1カ月半遅れで、5月17日にスタートした清原果耶さん主演のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「おかえりモネ」(総合、月~土曜午前8時ほか)。ここまで3週が放送され、ヒロイン・永浦百音(ももね、清原さん)をとりまく「家族」「登米で出会う人々」「同級生たち」がほぼ出そろった形だ。中でも朝ドラファンが、ひそかに熱い視線を注いでいるのが、“みーちゃん”こと百音の妹・永浦未知を演じている蒔田彩珠(あじゅ)さん。清原さん同様、10代前半から演技力を評価されてきた若手実力派の一人で、清原さん自身が2年前の朝ドラ「なつぞら」で経験した“ヒロイン妹”枠での大ブレークの予感が漂っている。

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 ◇是枝裕和監督作品の常連 「朝が来る」で数々の映画賞受賞

 蒔田さんは2002年8月7日生まれの18歳。2012年放送の連続ドラマ「ゴーイング マイ ホーム」(関西テレビ・フジテレビ系)や映画「海よりもまだ深く」(2016年)、「三度目の殺人」(2017年)、「万引き家族」(2018年)といった是枝裕和監督作品に起用されてきた。

 そのほか、黒木華さん主演の連続ドラマ「重版出来(しゅったい)!」(TBS系、2016年)や、初主演映画「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」(湯浅弘章監督、2018年)での演技も印象深く、昨年公開された「朝が来る」(河瀬直美監督)で、第44回日本アカデミー賞新人俳優賞、第94回キネマ旬報ベスト・テン助演女優賞などに輝くなど、疑う余地のない“10代の才能”と言える。

 今回、姉妹を演じる清原さんとは、2018年放送のNHK連続ドラマ「透明なゆりかご」でも共演。第2回「母性ってなに」で蒔田さんは、ある秘密を抱えて産婦人科を訪れる高校生・中本千絵役でゲスト出演し、清原さん扮(ふん)する主人公の看護師見習い・青田アオイと、一つの「命」をめぐって、胸がヒリヒリするような感情のぶつけ合いを繰り広げた。劇中、それぞれが異なる理由で、必死になって自転車を走らせるシーンも、強く心に残っている。

 ◇絶妙な“姉妹感”、ふとしたときの表情で心の機微を感じさせ

 そんな蒔田さんが「おかえりモネ」で演じている永浦未知とは? 未知は勉強が得意で、堅実に先を読んで行動するしっかり者。2歳年上の姉・百音とは正反対の性格だが、昔から仲の良い姉妹で、父と姉に代わり、自分が家業の養殖を担おうと、水産高校で勉強に打ち込んでいる。また。不器用で意地っ張りな一面もあるという。

 これまで人には言えない“何か”を抱えた役が多かったイメージの蒔田さんだが、今回の未知は、いまだ子離れできない父・耕治(内野聖陽さん)の愛情をうとましくも、うれしく感じていたり、百音の同級生で、漁師見習いの及川亮(永瀬廉さん)のことを気にしていたりと、可愛らしい一面のある、見ていて“ほっこり”するような女の子。役を演じる蒔田さんの姿もどこか新鮮だ。

 それでいて、清原さんと2人でいるときの絶妙な“姉妹感”や、ふとしたときの表情で心の機微を感じさせてくれるのは、演技巧者の蒔田さんならではといったところ。もっともっと出番を見たくなる女優であることは間違いない。

 「透明なゆりかご」に続いて「おかえりモネ」でも、制作統括としてスタッフに名を連ねる須崎岳さんは以前、蒔田さんについて、「人の繊細な内面を繊細に体現できる。若手でありながら、そういう力を持っている」と評価。「今までは思い詰めている役、ふさぎこんでいる役、そういった役の多い印象だったのですが、改めて会ってみると、とても明るい子だってことが分かったのも良かった。未知も基本的には明るい子で、蒔田さんには自然体で持っている明るさを出してもらいながら、でも心の奥にちょっと秘めたるものがあるという、そういう演技をやっていってもらいたいなって思いました」と起用理由を明かしていた。

 ◇朝ドラヒロインの妹 土屋太鳳、杉咲花、清原果耶…昨年は森七菜も!

 前述の通り、朝ドラヒロインの妹は、2年前の「なつぞら」で清原さんも経験。広瀬すずさん演じるヒロイン・奥原なつと生き別れになっていた妹の千遥(ちはる)としての演技が当時、大きな話題となった。また、それ以前にも土屋太鳳さん、杉咲花さんといった後に朝ドラヒロインとなる若手女優が担ってきた重要なポジション。昨年の「エール」では森七菜さんが務め、知名度を大きく飛躍させたことも記憶に新しい。

 須崎さんによると、「おかえりモネ」における百音と妹の未知との関係は「物語にとって重要な要素」。第3週までを見ても、姉妹の仲の良さに加え、どこか対の存在になっていることがうかがえる。「だから妹を誰にするのかというのは、非常に大事な部分だった」と須崎さんは話していたが、姉役の清原さんから直接“ヒロイン妹”の系譜を受け継ぐ蒔田さんの演技には、引き続き注目だ。

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