賀来賢人:「TOKYO MER」で初の医師役 救急医療の所作を自主練、マスクでの演技にも苦心 主演・鈴木亮平から“刺激”も

連続ドラマ「TOKYO MER~走る緊急救命室~」で音羽尚を演じる賀来賢人さん(C)TBS
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連続ドラマ「TOKYO MER~走る緊急救命室~」で音羽尚を演じる賀来賢人さん(C)TBS

 7月4日からTBS系の「日曜劇場」(日曜午後9時)枠でスタートした連続ドラマ「TOKYO MER(トウキョウ エムイーアール)~走る緊急救命室~」。都知事の号令で新設された特殊救命チーム「TOKYO MER」が、「一人も死者を出さないこと」というミッションのもと任務にあたる姿を描く本格医療ドラマだ。本作でチームの一員、厚生労働省の官僚で医師免許を持つ医系技官・音羽尚を演じるのが、俳優の賀来賢人さん。今回が初の医師役という賀来さんは、主演の鈴木亮平さんに「引っ張っていただいている」と語るが、自身も少し早く現場に入って救急医療ならではの素早い処置を練習するなど熱心に役に取り組んでいる。そんな賀来さんに、“スパイ”という側面も併せ持つ自身の役どころや本作への思いを聞いた。

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 ◇初の医師役「本当に大変」 “完璧”目指す医療シーンに緊張

 ドラマは、映画「キングダム」や、日曜劇場の「グランメゾン東京」「危険なビーナス」などを手がけた黒岩勉さんが脚本を担当。台本を読んだ賀来さんは「内容全体が緩急の“急”という感じで、なかなかやることが多くて大変だなと(笑い)。でも、視聴者が息つく暇もないようなドラマになるんじゃないかと、ワクワクしながら読ませていただきました」と感想を語る。

 初めて医師役を演じるにあたり、基本的な用語や所作について準備したという賀来さん。しかし、撮影は想像以上に過酷で、思わず「大変ですね、本当に」と漏らす。「僕は手先が器用じゃないので苦戦していて。所作は練習するしかないので、少し早く現場に入って練習しています。あとはマスクをしながらの演技なので、目で表現しないといけない。この患者の症状だったら最初にどこに目が行って、次にどこを触ってという細かなところまで決めて撮影しています」と明かす。

 また、救急を描く上では、素早い処置もポイントの一つ。「次々と手を動かしながら指示も出していって、実際に2、3分で処置を終えるシーンもあったり。そのスピード感もできるだけリアルに見せられるように取り組んでいるので、画面を通して伝わったらうれしいです」と話した。

 「命を扱う作品なので、やっぱりうそがあってはならない。今回は医療従事者の方の全面バックアップの元で撮影をしていますが、監督がOKを出しても医療監修の先生のOKが出なかったり、それくらい完璧にしようという思いでやっています」と賀来さん。「医療シーンはとても緊張して、普通のシーンが楽に感じてしまうくらいです」と苦労をにじませていた。

 ◇鈴木亮平の役作り「あまりに完璧」 2人で考える“見せ方”のこだわりも

 そんな賀来さんは、主演の鈴木さんについて「本当にストイック」だと印象を語る。「鈴木さん演じる喜多見幸太はスーパードクターで、危険を顧みず現場に赴き、かつ冷静に処置を施すキャラクター。鈴木さん自身もものすごく準備をされてきていて、体の構造とか全てを把握しているんです。僕からしたら手術ができるんじゃないかと思うくらいで」という。

 さらに、「オペシーンは現場で実際の医師の指導を受けながら、手元のアップまで全て自分たちで演じているのですが、鈴木さんがあまりに完璧なので、分からないことがあると鈴木さんに聞いてしまうんですよね(笑い)。とにかく引っ張っていただいていますし、刺激を受けています」と尊敬のまなざし。「お互いに集中するタイミングが似ているというか、自然と2人で現場の空気を締める感覚もあって、思いが一致しているように感じています」と、相性もいいようだ。

 自身が演じる役柄については、「複雑なポジションにいる人物」だと分析。「医者であり官僚なので、日本の医療体制を改革して利益をもたらすことと、医療現場で目の前の命を救うこと、そのはざまで闘っている。音羽が自分で選んだ道とはいえ、演じていてとても苦しいですが、丁寧に表現していけたら」と思いを込める。

 音羽は、チームに正式認可が下りないように厚生労働大臣から派遣された“スパイ”でもあるが、「医療改革も命を救うこともどっちも正論なんですよね。変に悪者として表現するのではなく、どちらも正論に見せられるようにしたいというのは、鈴木さんとも話しています」と、細かなこだわりも教えてくれた。

 ◇作品に向き合い変わった価値観 救急医の“現状”を「伝えられたら」

 本作の撮影に臨む中で、賀来さんは改めて救急医に対し、感じた思いがあるという。「皆さんは自分の命をかけて、いわば見ず知らずの人を助けているわけじゃないですか。その気持ちや向き合い方は本当に尊敬します」と、しみじみと語る。

 「現場に来てくださっている先生方に話を聞くと、秒単位で冷静な判断をしていかなければならないと。時には酷な決断もしなければならないし、それを毎日しながら、闘っている方が世の中にいるんだと感じられただけでも価値観が変わりました」と明かす。

 「そういった医師の姿を視聴者の方々に知っていただけるよう、僕たちはうそなく一生懸命やるしかない。実は毎日どこかで事故が起きていて、そこに駆けつける人がいる。その状況を伝えられたらいいなと思います」と、真っすぐな瞳で語った。賀来さんをはじめとするキャスト陣が情熱をかけて挑む、“命の物語”の始まりを見届けたい。

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