水曜日のダウンタウン
電気イスゲームトーナメント 1回戦第2試合 ほか
11月20日(水)放送分
女優や歌手として幅広く活躍する上白石萌歌さん。WOWOWの開局30周年記念として放送、配信される「連続ドラマW 宮部みゆき『ソロモンの偽証』」では同級生の転落死の真相を明かすべく奔走する女子生徒・藤野涼子役で連続ドラマ初主演を務めるなど、順調にキャリアを積み上げている。責任感の強い涼子に「私も責任を背負いやすくて、演じるときも必要以上に自分を追い詰めてしまうことがよくある」と共感する上白石さんは、自身について「落ち込みやすい方」でもあると話すが、負の感情は女優としての“燃料”にもなるという。上白石さんに涼子役の役作りや女優として大事にしている思いなどを聞いた。
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「ソロモンの偽証」は宮部みゆきさんの同名ミステリー小説が原作。学校内で起こったある男子生徒の転落死に疑問を抱いた女子生徒・藤野涼子(上白石さん)が、事件の真実に迫るべく、学校内裁判に動き出すという物語で、2015年には映画化された。今作では、舞台を原作の1990年代の公立中学校から、SNSが普及する現代の私立高校に置き換えて描かれる。
今作が連ドラ初主演となる上白石さんは、2012年に放送されたWOWOWの「連続ドラマW 東野圭吾『分身』」が女優デビュー作。約9年ぶりの同局への凱旋(がいせん)となった今作が連ドラ初主演作となったが、喜ぶ一方で不安もあったという。「台本を開いて自分の名前が最初に来る、ということは新鮮でしたし『本当に自分が主役なんだ』という重圧も少し感じました」。ただ、「原作とは時代設定も違うし、主人公たちも中学生ではなく高校生。令和という時代に新しい風を作品に吹かせられたら」と熱い思いも打ち明ける。
2015年公開の映画を見たときは、自身も涼子と同じ中学生だった。そのため「映画の中で一番気持ちを持っていかれたのがその役だったので、この話をいただいたときに運命みたいなものを感じました」と振り返る上白石さん。「他の人が涼子を演じたら悔しいな、と思ってしまうぐらい、すごくやりたかった役。映画を見たときも涼子が一番自分のことのように思えたし、演じ終えた今も涼子しか考えられない。すごい役に出会ってしまったなと思います」と思い入れを明かす。
責任感が強く、一人で抱え込む涼子を「救ってあげたい」という思いもあった。「責任感が強すぎるゆえに自分で自分の首を絞めてしまっているところがあると思ったので、どうにかそういう涼子を救ってあげたい、助けてあげたいという気持ちも含めつつ演じました。自分が一番理解してあげるために、たくさん役と話をして。そうすることで自分の中に藤野涼子という役を取り込むことができると思ったんです。対話できるように、原作をたくさん読みました」と役作りを語る。
涼子が発案、主導する“学校内裁判”はドラマの大きな見どころだ。上白石さんは裁判シーンの参考に、実際の裁判を傍聴しに行ったという。「検事の立ち居振る舞いや裁判の空気を感じ取りに、見に行きました。そこで改めて感じ取った空気は、そのまま作中の裁判シーンに生かせたと思います」と手応えを話す。
裁判シーンは「ずっと緊迫した空気が続いていました」と上白石さんは語る。「那須に学校を借りて3週間ぐらいみんなでいたのですが、誰かひとりの集中が欠けたらみんなが集中できなくなってしまうほど、ひとりの空気が多くの人に作用してしまうんです。団結力も生まれたし、『ひとり残らず集中して現場を作るんだ』という心意気で撮っていたので、撮影から帰ると自分のすべての電源が切れてバタッと倒れ込んでしまうぐらい、緊張感がありました」と当時の状況を明かす。
緊迫した撮影の日々では「悪夢もたくさん見ました(笑い)」と告白。「みんなでもめる夢を見続けるとか、暗い夢ばかりを見て……それだけ(涼子に)引っ張られていて。苦しいお芝居をたくさん見てきたので、影響されていたんだと思います」と上白石さん。それほど涼子と一体化していた上白石さんにとって、重なる部分は少なからずあった。「私も責任を背負いやすくて、演じるときも必要以上に自分を追い詰めてしまうことがよくあるので、涼子の気持ちがよく分かると思いながら演じていました。涼子と一体となり、演じるというより“生きる”という感じでお芝居ができたかなと思います」とほほ笑む。
ひとりで悩みや葛藤を抱え、責任を背負おうとする涼子だが、上白石さんも深刻な悩みは人に明かせないタイプだという。そんな上白石さんが大事にしているのが、8年前から続けている日記だ。「日記に書くことですっきりできるんです。1日の終わりにバーッと書いて、読んで、やっと俯瞰(ふかん)できる。書くことで分かることがたくさんあるので、きっと涼子ちゃんも日記を書いているだろうなと思います(笑い)。昔は毎日書いていて、今はたまに書くぐらいですが、書くことでしか覚えられないことってたくさんあると思うから、これからも続けていきたいと思っています」
日記には、愚痴も「書きます」と笑う上白石さん。「だから死ぬ前に全部燃やそうと思っています(笑い)。ほかにも仕事でうれしかったことや忘れたくないこと、仕事で会った人の名前なども書いています」。自身のことを落ち込みやすい性格だというが、そうした負の感情も“燃料”にできるのが女優としての強みだ。「お芝居はどんな感情も燃料にできるから、なるべくいろんな気持ちになった方がいいと思っています。落ち込むことがあっても『いつか燃料にしてやる』と、忘れないように書き留めることはあるかも。落ち込みやすい方ですけど、お芝居をするうえで役に立つ。『あのときのあの感情か』と引き出せる瞬間がたくさんあるんです」とたくましい一面をのぞかせる。
作中では、家族の存在が強い使命感を持って奮闘する涼子の支えになっている。上白石さん自身も「家族には支えられています」といい、女優で姉の上白石萌音さんは大きな存在だ。「たぶん、姉が芸能界の中で一番仲がいい友達。芸能界に限らずすべての友達というくくりにおいて一番自分を理解してくれる存在なので、家族の愛情という部分では涼子とリンクする部分がありました。演じながら、家族の言葉は染み渡るものだなと改めて思いました」と家族への思いを語る。
上白石さんは今年で芸能デビューから10年。女優デビュー作がWOWOWの「連続ドラマW 東野圭吾『分身』」だったことから、今作のオファーを受け、デビュー当時のことを思い出したという。「デビューの作品がWOWOWの『分身』で、ファーストカットのことも色鮮やかに思い出すことができる。そのときのことを思い返したり、そこから自分がどういうふうに成長しているかな、ということを、この作品で思い返すことになりました」としみじみ語る。
女優のみならず「adieu(アデュー)」名義で音楽活動もしているが、「歌はまだまだ始めたばかりで、分からないことの方が多いですし、お芝居とは違った筋肉や緊張感があるので、“デビューしたて”のような気持ちで日々勉強しています」と控えめだ。そんな上白石さんに理想とする女優像を聞いてみると「フェイ・ウォンさんというすごく好きな女優さんがいて。歌もお芝居もされていて、その役はその方にしかできないだろうなという華やかな存在感を放っている。そんなふうにいろんな面において自分の存在を残せるように、『この役はこの人で良かったな』と思ってもらえる存在になっていきたいです」と理想像を打ち明ける。
これからもさまざまな役を演じていくであろう上白石さんに今後挑戦してみたい役を聞いてみると、「教師役」という答えが返ってきた。「今までは学生の役が多かったけど、20代に突入したので、今度は自分が教える側で、教師の役もやってみたい。両親が教師をしていて、学校の教師は心理的なストレスで辞めてしまう職業ナンバーワンらしくて。すごく苦悩があるお仕事だと知っているので、役としていつか演じることができたらと思っています」とさらなる挑戦への意欲を語ってくれた。
ドラマは、10月3日午後10時から毎週日曜日に、WOWOWプライムとWOWOW 4Kで放送、WOWOWオンデマンドで配信される。全8話。第1話は無料放送。
※スタイリスト:道端亜未 ヘアメーク:冨永朋子(アルール)
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2024年11月22日 14:00時点
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