青天を衝け:「偉人伝」ではなく「人間ドラマ」を 脚本・大森美香の思い 吉沢亮“栄一”に「人生を駆け抜けてほしい」と

大河ドラマ「青天を衝け」最終回「青春はつづく」の一場面 (C)NHK
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大河ドラマ「青天を衝け」最終回「青春はつづく」の一場面 (C)NHK

 俳優の吉沢亮さん主演の大河ドラマ「青天を衝(つ)け」(NHK総合、日曜午後8時ほか)の最終回が12月26日に放送される。すでに実業界から身を引いた主人公・渋沢栄一(吉沢さん)の最晩年が、果たしてどのように描かれるのか。12月19日放送の第40回で、栄一自身が「仕事はやめることができても、人間としての務めは、終生やめることはできないからね」と語っていたように、最後まで重厚な人間ドラマが1時間にわたって繰り広げられそうだ。「見ていただきたかったのは『偉人伝』ではなく『人間ドラマ』だった」という脚本の大森美香さんが思いを語った。

 「青天を衝け」は、“日本資本主義の父”と称される渋沢栄一が主人公で、連続テレビ小説(朝ドラ)「風のハルカ」(2005年度後期)、「あさが来た」(2015年度後期)などの大森さんが脚本を担当。「緻密な計算」と「人への誠意」を武器に、近代日本のあるべき姿を追い続けた渋沢の生きざまを描いてきた。

 脚本の執筆前、渋沢栄一に対して「銀行の神様」というイメージを強く持っていたという大森さん。

 「この人を主役でドラマを書こうとしたとき、私自身が『偉人伝』が見たいわけじゃなくて『人間ドラマ』が見たいと思った」といい、一方で、栄一の人生の歩みに対して「分かりにくさ」も感じたという。

 百姓の家に育ち、畑仕事をしながら商いをしていたはずが、尊王攘夷の志士となり、そこから一橋家に入ると、幕臣になってパリへ。そして帰国後は、なぜか薩摩や長州の人間が作った新政府の一員として活躍し、みんなが知る実業家へ。その変遷だけを見ると、「コロコロと意見を変える人なのかと思って、そこのメンタルや精神的な魅力がよく分からなかった」と。

 そこで、「育ちを知らないとこの人の魅力は伝わらないなと思った」といい、また、人間ドラマを描くにあたり、「この人がどう出来上がっていったのかが、要になるんじゃないかとも考えた」という大森さんは、「いろいろな史料や文献を読んで感じたのが、もちろん栄一さんも偉いのですが、お父さん(市郎右衛門、小林薫さん)とお母さん(ゑい、和久井映見さん)が偉かったということ。栄一さんの根っこにあるのは、父・市郎右衛門さんの厳しい教えと、母・ゑいさんの大きな愛情。それがあってこそ、栄一さんは才能を伸ばすことができたんだと思います」と話す。

 栄一の少年期から、素養が磨かれていく段階を丁寧に描いてこそ成立した人間ドラマ。並行して慶喜(草なぎ剛さん)パートが進行することで、視聴者は当時の時代のうねりも同時に感じることができた。

 また大森さんによると、渋沢栄一という人間が「どう出来上がっていったのか」描きたいと思ったときに「吉沢さんが役に合っていると思った」といい、「そこからタイトルも付けました」と告白する。

 「青天を衝け」とは、3月28日放送の第7回で描かれたように栄一が妙義山に登った際に詠んだ漢詩「私は青天を衝く勢いで、白雲を突き抜けるほどの勢いで進む!(意訳)」の一節から取られているが、大森さんは、「吉沢さんの栄一は“走っている”イメージで、『この人生を駆け抜けてほしい』という気持ちがありました。演じていて大変だったと思いますが、吉沢さんの栄一が、私は好きでした」と語った。

 最終回「青春はつづく」は12月26日に15分拡大版として放送される。

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