海に眠るダイヤモンド
最終話前編(9話) あの夜
12月22日(日)放送分
実際に起きた衝撃の“男女愛憎劇をめぐるミステリー事件”を、「もし、今の日本で起きたら?」という視点でドラマ化した「アイゾウ 警視庁・心理分析捜査班」(フジテレビ)。同作で主演を務めるのが、モデルで女優の夏子さんだ。3月放送の単発ドラマを経て、同局が新設した「火曜ACTION!」枠(関東ローカル)で、連続ドラマ版が10月11日深夜にスタート。今作で、地上波連ドラ初主演を果たした夏子さんに話を聞いた。
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ドラマは、夏子さん演じる主人公・安座間霧子(あざま・きりこ)ら刑事たちが複雑怪奇な“愛憎”事件の真相を追求していく姿を描く。今年3月29日深夜に単発ドラマが放送。見逃し配信の再生数が20万回を超えるなど、大きな反響を呼び、今回、連ドラ化された。
SNSを中心に「面白かった!」「シリーズ化、希望です!」といった声も多く上がったという前作。夏子さんも「深夜に見たらゾクゾクするような、深い愛と憎悪にまつわる話で、『見応えがある』という声は聞きました」と明かす。
前作の好評を受けての連ドラ化で、「脚本もより練られていて、さまざまな事件を扱うようになっていて、さらに面白くなっているんじゃないか」とスタートを楽しみに待つ夏子さん。
「安座間は、元々職場の上司にストーカー行為を働き、左遷されたという異色の経歴の持ち主なのですが、そんな安座間だからこそ解決できる事件を振られる。普通の刑事ドラマとは違った角度の話で、春の単発ドラマをやったときに、監督やプロデューサーさんと綿密にキャラクターを作れたので、『こういうとき安座間がこういうリアクションするだろう』と自分の中で腑(ふ)に落ちて、迷いなく演じることができました」と手応えをのぞかせる。
ストーカー気質な安座間のキャラクターは一言でいうと「変人」。そんな彼女が“アイゾウ課”の刑事として、常識を覆すような独自の捜査で愛憎事件の真相を暴いていく。演じるにあたっては「周りのキャラクターが感じることの“逆を感じる”ということをすごく大事にしていました」と話す。
劇中では、津田寛治さん演じる捜査1課のベテラン刑事・久世麟太郞(くぜ・りんたろう)と、連ドラ版から加わる水石亜飛夢さん扮(ふん)する新米刑事・三好慧(みよし・けい)を“相棒”にし、捜査に当たるが、「例えば、ストーカーの事件で、3人で動いていて、他の二人が『こいつ、気持ち悪いな』と言うところ、安座間は『なるほどね』と理解を示す。他の二人の思考の逆を意識して演じていました」と説明する。
夏子さんによると安座間は、「基本的に犯人に寄り添っている」と言うが、一方で、犯罪に対しては「しっかりと怒りを持っている」とのこと。「犯人の気持ちは分かっている。でもこれはいけないことだと、事件を解決するときに犯人に諭すシーンが毎回あるのですが、そこの心の動きを大切にしたいというのは、前作も今作でも大事にした部分ではあります」と語った。
安座間は夏子さんにとって初の刑事役。「刑事ってよくしゃべるなって(笑い)。今回のドラマでは登場人物が少なくて、安座間は事件の真相に関して一から十まで全部、一人で説明する。物理的にせりふ量が多くて。普段は(せりふが)入る方なのですが、他の作品と並行して撮っていたときは苦戦しました」と振り返る。
前作には、安座間役の夏子さんが大きな目をさらに見開いて、たたみかけるようにせりふを繰り出すシーンもあったが、「こういった振り切ったお芝居ってこれまでやってこなかったので、すごく楽しかったです。大きな声を出したり、挙動や表情一つ一つや、パソコンを見ている姿勢が変だとか、そういうのを少しずつ遊びながらできたので、楽しみながらお芝居できました」とほほ笑む。
コミカルなシーンは「決してここで視聴者を『笑わせよう』とやっているつもりはないのですが」と言いながらも、「全編通してシリアスな事件を扱っているので、ちょっと息抜きになるシーンも作れたらいいねと、津田さん、亜飛夢君と3人でコミュニケーションをとって、テンポ感は意識しました」と話す夏子さん。
「『アイゾウ』で初めてコメディー要素のある、私の中で今までなかったジャンルのお芝居をやらせてもらったのですが、すごく好きになったので、こっちの世界も、もっと切り開いていけたらな」と充実感をにじませた。
改めて、連ドラ主演を務めることについて「3月の単発ドラマがあったからこそ、プレッシャーとかはなかったのですが、途中から体にガタが来たりして、やっぱり緊張していたんだなって感じましたし、力が入っていたんだなって」と打ち明ける。
現場では「先輩方に囲まれて、いいところを見て学ぼうと意識していました」という夏子さんは、「今回は自分の力量不足もあって、皆さんに対して、(主演として)そこまで何かができたとは思っていないので、もしまた、主演という立場でやらせていただけるなら視野を広く持ってやれたらなって思っています」と成長を誓う。
主演としての理想は事務所の“大先輩”の「木村佳乃さん」だという。「みんなを引き上げてくれる存在。私も現場をご一緒させていただいたことがあって、どこにいても周りに目を配っている。こういう人が、『真ん中に立つ人』なんだなって思います」としみじみと語った。
10月期は人気グループ「Hey!Say!JUMP」の山田涼介さん主演の連続ドラマ「親愛なる僕へ殺意をこめて」(フジテレビ系、水曜午後10時)にも、主人公の姉・浦島乙役で出演。女優として活躍の場を広げている夏子さんだが、「アイゾウ」への思いは強く、「シリーズ化はみんなでやりたいと言っていますし、私もプロデューサーさんにお願いしています。まだここでは終わらせられないと思ってはいるので」と次回作に意欲をのぞかせていた。
「アイゾウ 警視庁・心理分析捜査班」は、毎週火曜深夜0時25分~同55分に放送。10月11日の第1話は深夜1時25分スタート。