鎌倉殿の13人:柿澤勇人、実朝にアドバイス「義時には気を付けろ」 徐々にすれ違い「かなり危ない存在と意識していく」

大河ドラマ「鎌倉殿の13人」第39回の一場面 あることで険しい顔で言い合う実朝(柿澤勇人さん)と義時(小栗旬さん) (C)NHK
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大河ドラマ「鎌倉殿の13人」第39回の一場面 あることで険しい顔で言い合う実朝(柿澤勇人さん)と義時(小栗旬さん) (C)NHK

 NHK大河ドラマ鎌倉殿の13人」(総合、日曜午後8時ほか)で源実朝を演じている柿澤勇人さん。ドラマは残すところ後10話となり、ここからクライマックスに突入しようとしているが、気になるのが、三代目鎌倉殿・実朝の“今後”だ。史実では悲劇が待ち受けるが、今作ではどのような運命をたどるのか。「実朝にアドバイスを送るとしたら?」と聞くと、「義時には気を付けろ」と答えた柿澤さんだが、その真意とは? 実朝役への思いと共に話を聞いた。

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 ◇和歌から思い描いた実朝像は

 柿澤さんは「平清盛」(2012年)の以仁王役、「軍師官兵衛」(2014年)の森蘭丸役に続き、今作が3度目の大河ドラマ出演となった。「平清盛」「軍師官兵衛」のときはいっぱいいっぱいだったが、今作では少し心に余裕ができた、という。

 「これまでの大河ドラマでは『噛んではいけない』『NGを出したらダメ』とか変な緊張を感じていたのですが、『鎌倉殿』では失敗してもいい、挑戦させてくれる雰囲気を感じています。前の2作の時もそんな雰囲気はあったと思うのですが、僕自身が勝手に緊張してしまっていました。今作で少し余裕ができたのは、座長の小栗(旬)さんたちが盛り上げてくださっている撮影現場の雰囲気に助けられている部分は大きいです。決して“なれ合い”にはなっていなくて、でも“温かさ”を感じられる撮影現場の雰囲気がすごくいいなって思いました」

 実朝については「オファーがくるまで、最後の源氏将軍で暗殺されたことぐらいしか知りませんでした」としつつ、脚本の三谷幸喜さんの「世間に知られていない実朝を書きたい」という熱い思いを聞いて、猛勉強したという。今作の時代考証に携わる坂井孝一さんの著書や、太宰治の小説「右大臣実朝」、実朝が編纂(へんさん)した「金槐和歌集」を読んだといい、そこから思い描いた実朝像は「争いごとを好まない、すごくピュアな人物」。

 「実朝の和歌は、日常にある風景を詠んだ歌が多いんです。漁師を見て『この平和がずっと続けばいい』だとか、庭先の梅を見て『僕がいなくなっても忘れないでね』とか……素朴な印象の歌ばかりで。頼朝、兄の頼家と同じ血を引いているとは思えないくらい平和志向な人という印象を受けました」

 柿澤さんは実朝には「先見の明があったのでは」とも話す。

 「史実では、実朝が宋に渡るために船を建造して失敗に終わりますが、それも決して気まぐれじゃなく、宋と貿易することで、鎌倉ないしは日本が豊かになるというビジョンがあったんだと思います。知れば知るほど、実朝が生きていて政治を行っていたら、すごく良い時代になっていたのではないか、争いごとが嫌いな将軍なので誰の血も流れない世の中になっていたのではと思いました」

 ◇なぜ後鳥羽上皇と接近?

 若くして「三代目鎌倉殿」となった実朝。幼い頃の実権は、初代執権の祖父・北条時政(坂東彌十郎さん)に握られており、成長しても実権は、時政の後を継いで「二代執権」となった義時(小栗さん)の手中にある。そんな中、実朝は今後、後鳥羽上皇(尾上松也さん)と接近していく。柿澤さんは「実朝は政ごとにおける自身の力のなさを実感していて、後鳥羽上皇の力をお借りして、鎌倉を統治しようとしていたのでは」と話す。

 「朝廷の力を借りるのはいかがなものか、という意見もあるけど、そこを差し置いてでも、朝廷と手を組んだ方が平和な世を築ける、もっと鎌倉が豊かになると考えていたのではないでしょうか」
 
 後鳥羽上皇は実朝にとって名付け親だが、なぜ手を組もうと思い立つのか。柿澤さんは「実朝にとって、後鳥羽上皇は父親代わりのような存在」だという。

 「頼朝は実朝が幼い頃に亡くなったので、実朝はちゃんと父親と話した記憶がない。父親が“欠けた存在”なんです。でも、名付け親の後鳥羽上皇はいた。遠く離れた京都にいますが、後鳥羽上皇のことを父親のように手本としていた部分があったのではと思います」

 そんな実朝と朝廷サイドの接近が面白くない人物がいる。義時だ。実朝と義時は徐々にすれ違うことが多くなっていくという。

 「実朝は義時のことを最初は信用していた部分もあったけど、義時が力を持っていくにつれて、乱が起きたり、人が死んでいったりするので、“かなり危ない存在”と意識していきます。義時に対抗していかないと、と思い、義時の持っているパワーを押さえよう、それを超える力を持とうとして朝廷サイドと接近しますが、それによりどんどんと義時の思いと乖離(かいり)していきます」

 2人の政争の行方は。結末を知っている柿澤さんに「もし、現時点の実朝にアドバイスを送るとしたら?」と聞くと、「義時には気を付けろ! 義時のことはもっと監視しなさい」と笑っていた。

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