新名基浩:「舞いあがれ!」“空さん”から学んだ「コツコツ」続ける大切さ 苦難の日々を超え、朝ドラ連続出演

連続テレビ小説「舞いあがれ!」「らんまん」に立て続けに出演する新名基浩さん
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連続テレビ小説「舞いあがれ!」「らんまん」に立て続けに出演する新名基浩さん

 2022年度後期のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「舞いあがれ!」で、“空さん”こと空山樹を演じ、注目を集めた新名基浩さん。放送中の朝ドラ「らんまん」には、主人公・槙野万太郎(神木隆之介さん)の幼なじみの堀田寛太役で出演している。空山も寛太も10代後半~20代の役だが、新名さんは3月17日に41歳の誕生日を迎えた。40歳を超えて若者の役を演じる面白さ、朝ドラ連続出演への思いを聞いた。

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 ◇30歳を過ぎて上京 「何もあてがなかった」

 新名さんは宮崎県出身。高校で演劇部に入り、演じることの面白さを知った。大学時代も演劇にのめり込み、就職をしてからも仕事と両立して演劇に取り組んできた。

 その後、演劇への熱はさらに高まっていき「30歳くらいのときに、急に上京したい気持ちがわき起こって」と東京へ。しかし、最初の2年ほどは苦しい日々を過ごした。

 「何もあてがなかったので、することがありませんでした。舞台は1回出たのですが、それ以降は声もかからず『何しに東京に来たんだろう』というのはありました」と振り返る。

 それでも、朝ドラでは「ひよっこ」(2017年)や「なつぞら」(2019年)に出演。大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(2022年)にも登場するなど、着実にステップアップを踏んでいった。

 舞台では、勝地涼さん、仲野太賀さん、岩松了さん、光石研さんとの5人芝居「いのち知らず」(2021年)に出演。「すごい方たちと共演させていただき、この中でお芝居ができたことは財産になりました」と、上京からおよそ10年、役者として自信にもなった。

 ◇“空さん”反響に驚き 「僕にとって大切な役に」

 「舞いあがれ!」の演出担当の田中正さんとは、NHKのドラマ「美女と男子」(2015年)でタッグを組んだことがあったといい、その縁と“空さん”役へとつながった。「年齢不詳の無口な役で僕を思い浮かべてくださったようで」と笑みを浮かべる。

 「田中監督とは『美女と男子』でしかつながりはなかったのですが、覚えてくださっていたことが本当にうれしかったです。大阪制作の朝ドラも初めてで、よりうれしかったですね」と「舞いあがれ!」出演が決まったときを振り返った。

 空山は、舞(福原遥さん)が所属した人力飛行機サークル「なにわバードマン」のメンバー。“永遠の3回生”で無口な空山が「きれいやとよ。飛行機が空を飛ぶとき、長い翼(よく)がしなって、本当にきれいやと。僕はスワン号が飛ぶところを見たいとよ」と舞に伝えたときは、SNSが大いに沸いた。

 SNSはあまり見ない新名さんだが「『いつしゃべるの?』『よかったね』と知り合いからも反応がありましたし、ネット記事になっているのも見させていただき、すごくありがたいなと思いました」と反響は本人にも届いていた。

 「撮影しているときはこんなに反響をいただけると思っていませんでした」という新名さんは、「朝ドラに参加できた時間も長期間になり、とても良い時間を過ごせました。少しでもみなさんに顔を覚えていただけたのはありがたいことですし、僕にとっても大切な役になりました」とほほ笑んだ。

 ◇空さんは「こうありたいと思えるキャラクター」

 「らんまん」には、寛太の子役時代を演じた齋藤潤君と「そっくりだと言われて(笑い)」と出演が決まった。「齋藤君の寛太がずる賢くて、可愛かったので大丈夫かなとは思ったのですが……」と放送前は不安もあったという。

 SNSでは、空山とは打って変わって“よくしゃべる”寛太の役柄に「今回はよくしゃべる人だ!」「これはナイスキャスティング!」と喜びの声が上がった。

 立て続けの朝ドラ出演に「いいのかな」と恐縮するが「いろいろな方が見ている朝ドラに出られることは、ありがたい限りのことです」と語った。

 41歳という年齢で若い役を演じることについては「年を重ねても、幼い側面は誰しもが持っていると思うんです。まだ成長し切れていない部分を引き出して、若い人を演じています」と話す。

 続けて「『若い人を演じよう!』と意識すると、おじさんが頑張ってる感じになってしまうと思い、台本に書かれているシチュエーションをしっかりと演じるように心がけました。もし、20歳のときにオファーが届いていたら、演じられていなかったかもしれないですね」と年齢を積み重ね、演じられる幅も広がっているという。

 “空さん”という大きな出会いを果たした新名さん。「空さんは留年していますが、コツコツと一つのことに打ち込む姿勢は勉強になりました。こうありたいと思えるようなキャラクターだったと思います」と感謝の思いを語る。

 「周りの人を大事にするというのが今の自分のテーマです。自分も大切にして、空さんのように一つ一つの仕事に丁寧に向き合い、そこで自分が感じたことを現場で生かしていきたいと思います」

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