放課後カルテ
第10話(最終話) これからも健康でいてほしい
12月21日(土)放送分
2023年4月期のおもなドラマ主題歌を紹介。今年の春ドラマは、「Official髭男dism」や「RADWIMPS」「SEKAI NO OWARI」といった人気バンドの新曲をはじめ、ロックユニット「B’z」の稲葉浩志さんのソロ曲、Uruさんやあいみょんさんの曲など、幅広い楽曲がそろった。春ドラマで注目の主題歌をピックアップした。
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山田裕貴さん主演の「ペンディングトレイン―8時23分、明日 君と」(TBS系、金曜午後10時)の主題歌は、Official髭男dismの新曲「TATTOO」(配信中)。オリジナルストーリーであるドラマの企画書を踏まえて制作された。
物語は、8時23分、都心に向かっているはずの電車が突然、加速しながらトンネルに吸い込まれ、未来の荒廃した世界へとワープしてしまう。電波が通じず、水や食料もない中で、同じ車両に乗り合わせた美容師の萱島直哉(山田さん)、消防士の白浜優斗(赤楚衛二さん)、高校の体育教師の畑野紗枝(上白石萌歌さん)ら乗客が、日常に戻るために必死に生き抜こうとするヒューマンエンターテインメント作。それぞれが毎日の生活で抱える事情や、極限下で垣間見せる人間性も見どころだ。
楽曲は、「自分と相手との距離感」というテーマ性を感じさせるミディアムナンバー。お互いに素直になれなかったり、ぶつかり合ったり、一見いびつで“ややこしい”関係が、実は深いところでつながり、逆境では最強の味方になる。そんな歌詞の世界観は、過酷な生活を共にすることで、当初は自己中心的だった乗客たちに結びつきが生まれる、といった状況の変化を示唆しているように聞こえ、“一筋の希望”という役割を担っている。
高畑充希さん、田中圭さんがダブル主演する「unknown(アンノウン)」(テレビ朝日系、火曜午後9時)の主題歌は、RADWIMPSの新曲「KANASHIBARI feat.ao」(配信中)。「絶望的なラブソング」というキーワードから着想を得て完成したナンバーで、16歳の新進気鋭のシンガー・ソングライター、ao(アオ)さんが2番の歌唱で参加している。
ドラマは、実は吸血鬼である週刊誌の記者・闇原こころ(高畑さん)と、交番勤務の警察官・朝田虎松(田中さん)の愛を描くラブサスペンス。虎松は、正体を打ち明けたこころを受け入れ、2人は結婚に向けて動き出すが、虎松もまた、重大な秘密(=unknown)を抱えていた。そんなとき、2人が暮らす町で、過去の未解決事件と同一犯と思われる殺人事件が起こる。
主題歌のトリッキーで激しいサウンドは、物語の2人に待ち受ける“茨の道”を暗示しているようでもある。歌詞では「どんな障害があっても、一緒にいること、共に立ち向かっていくことに意味がある」という究極の愛を表現。強い愛情で結ばれた虎松とこころの姿と重ね合わせ、ドラマのストーリーとリンクした歌詞の世界観に浸ることができる。
波瑠さんが主演を務める「わたしのお嫁くん」(フジテレビ系、水曜午後10時)の主題歌は、SEKAI NO OWARIの新曲「サラバ」(配信中)。イントロの爽やかなギターの音色が印象的なアップテンポのナンバーだ。
ドラマは、大手家電メーカーの営業部勤務の速見穂香(波瑠さん)と後輩社員、山本知博(高杉真宙さん)を中心に繰り広げられる社会派ラブコメディー。会社では理想のエース社員だが、家の片付けは苦手な“ズボラ女子”の速見が、家事が圧倒的に得意な“家事力最強男子”の山本を“お嫁くん”に迎え、ルームシェアを始める……というストーリーで、2人の関係が今後どう進展するかも注目される。
時の流れと共に“普通”や“常識”が変化していく中、世間一般の価値観から自己を解放しようとする楽曲の主人公像は、「家事は女性がするもの」という既成観念に捕われない、多様な男女のあり方を提示するドラマにもリンクしている。同時に、華やかで軽快なサウンド、温かみのある歌声が劇中のシーンを彩り、コミカルタッチのドラマをさらに盛り上げている。
そのほか、奈緒さん主演の「あなたがしてくれなくても」(フジテレビ系、木曜午後10時)の主題歌は稲葉浩志さんの書き下ろし曲「Stray Hearts」、木村拓哉さん主演のフジテレビ系”月9”ドラマ「風間公親 ― 教場0 ―」(月曜午後9時)はuruさんの書き下ろし曲「心得(こころえ)」(配信中)、神木隆之介さん主演のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「らんまん」(総合、月~土曜午前8時ほか)はあいみょんさんの書き下ろし曲「愛の花」(配信中、6月7日にCDシングル発売)。
清野菜名さん主演の「日曜の夜ぐらいは…」(ABCテレビ・テレビ朝日系、日曜午後10時)は「Mrs.GREEN APPLE」の書き下ろし曲「ケセラセラ」(配信中)、小芝風花さん主演の「波よ聞いてくれ」(テレビ朝日系、金曜午後11時15分)は「マカロニえんぴつ」の書き下ろし曲「愛の波」(配信中)、桐谷健太さん主演の「ケイジとケンジ、時々ハンジ。」(テレビ朝日系、木曜午後9時)は「Da-iCE」の新曲「ダンデライオン」(配信中、5月24日発売のアルバム「SCENE」に収録)、さらに福山雅治さん主演のTBS系「日曜劇場」(日曜午後9時)枠「ラストマン ―全盲の捜査官―」の挿入歌には、「神はサイコロを振らない」の書き下ろし曲「修羅の巷」(配信中)が採用されている。
話題のバンド、ソロシンガーやダンス&ボーカルグループなど、多彩な顔ぶれによる楽曲が並んだ今年の春ドラマ主題歌。それぞれの個性が光る音楽性で、物語に深みや色どりを添え、ドラマの世界に引き込んでくれている。(水白京/フリーライター)
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