くすぶり女とすん止め女:メッセージは「『私なんか』をやめませんか」 MEGUMIプロデュースの“女性応援ドラマ”が話題

連続ドラマ「くすぶり女とすん止め女」の一場面(C)「くすぶり女とすん止め女」製作委員会
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連続ドラマ「くすぶり女とすん止め女」の一場面(C)「くすぶり女とすん止め女」製作委員会

 俳優の西田尚美さんとモデルの香音(かのん)さんがダブル主演する連続ドラマ「くすぶり女とすん止め女」(テレビ東京ほか、火曜深夜0時30分)。MEGUMIさんが企画・プロデュースを担当した“女性応援ドラマ”で、同局の深夜枠のオリジナルドラマとしては初めて、第1話の見逃し再生回数が100万回を突破するなど注目されている。今作を手がける原口真鈴プロデューサーに、MEGUMIさんのエピソードや、撮影の裏話を聞いた。

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 今作は、ふちいく子さんの人気エッセー「くすぶり女のシンデレラストーリー」(梓書院)が原案のオリジナルドラマ。昨年11月に同局系で放送された連続ドラマ「完全に詰んだイチ子はもうカリスマになるしかないの」に続き、MEGUMIさんが企画・プロデュースを担当。夫・山本武(勝村政信さん)のモラハラに25年間耐え忍んできた49歳の専業主婦・山本郁子(西田さん)と、恋愛も仕事も「万年二番手」の25歳会社員・工藤ほのか(香音さん)が出会い、生きづらい現代社会にあらがう女性同士の絆を描いている。

 「完全に詰んだイチ子はもうカリスマになるしかないの」に携わった際は新卒だったという原口さんは、今作ではプロデューサーとして参加。「『あんた、何悩んでるのよ?』って、40代・50代であるMEGUMIさんや原案者・ふちさんと、20代の私たちが抱えている現代の生きづらさ・女性ならではの悩みをぶつけ合い、脚本が完成しました。それが各話のテーマとなっています」と話す。

 MEGUMIさんからは「『私なんか』っていうのやめませんか?」というメッセージを伝えたい、と提案を受けた。「体形とか、何歳だからとか、こういう環境だからとか、立場や環境を差し引いても、『どんな自分でも愛していきたい』というメッセージを伝えていきましょうって。第1話のテーマ『誰かよりマシって思う人生って、どうよ?』にも通じていると思います」と話す。

 第1話では、仕事から帰ってきた夫の第一声が「メシ」でも、「家に帰ってくるだけマシ」、レシートをチェックされ「俺が書いた買い物リストに載ってないものは買わない」と指示されるも「買い物できるだけマシ」。そんなふうに考え、やり過ごす郁子の姿が描かれた。「妻は夫の所有物なんだよ」と発言する武に、SNSでは「めっちゃイライラした」といった声も上がった。

 そんな第1話が、「TVer」や「ネットもテレ東」などでの見逃し配信再生回数が100万回(10月25日時点ビデオリサーチ調べ)を突破。同局のオリジナルドラマで第1話の見逃し再生回数が100万回を超えたのは、「アノニマス~警視庁“指殺人”対策室~」(2021年)、「弁護士ソドム」(2023年)、「ブラックポストマン」(2023年)に続き4作目。深夜帯放送のドラマとしては初の快挙となった。原口さんは、「とてもうれしくて、MEGUMIさんや監督に即座に連絡しました。MEGUMIさんもめちゃくちゃ喜ばれていた」と明かす。

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 プロデューサーとして、脚本打ち合わせ、美術打ち合わせ、衣装合わせ、メーク合わせ、撮影など、ドラマに関わる全てを担当したというMEGUMIさん。MEGUMIさん自身が女優としての経験があるからこそ、スタッフが気がつかないような役者に対する配慮も感じられたといい、原口さんは「プロデューサーの面も、女優さんの面もどちらも尊敬しています」と話す。

 女優としては、ほのか行きつけのスナックのチーママ役で出演しているMEGUMIさん。ちーママが話すシーンは全てアドリブだったといい、「台本には『ここから先、アドリブで!』と書かれていて。MEGUMIさんは、『あ、分かりましたー!』って感じで引き受けてくださった」と話す。全8話分を1日で撮り切ったというが、「MEGUMIさんが言う言葉は全て鋭利で、深みがあって刺さるもので。アドリブがすごかったです」と振り返る。

 ドラマで毎回投げかけているテーマに対し、視聴者からさまざまなコメントが寄せられることがうれしいという原口さん。「『女性は可愛くないと意味がない』というような価値観はまだ蔓延(まんえん)していて。20代の女性がいろいろな呪いから解放されるような、鎧(よろい)を壊せるような作品をこれからも作っていけたら」と意気込みを語っていた。

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