クジャクのダンス、誰が見た?
ep9 最終章 前編〜真犯人の告白!サヨナラ私が走った旅路の最果て
3月21日(金)放送分
俳優の西島秀俊さん主演の連続ドラマ「さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~」が、1月14日からTBS系「日曜劇場」枠(日曜午後9時)でスタートする。ある事件で家族も音楽も失った天才指揮者(マエストロ)の夏目俊平(西島さん)と、そんな俊平を拒絶し音楽を嫌う娘・響(芦田愛菜さん)が地方オーケストラを通して、親子の絆と人生を再生させていく姿を描く作品。「読んでいてもじーんと涙がこぼれるようなすてきな脚本」と話す西島さんに、撮影中に感じた思いや芦田さんの印象を聞いた。
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ドラマは、同局系の連続ドラマ「凪(なぎ)のお暇(いとま)」(2019年)や「妻、小学生になる。」(2022年)などで知られる脚本家・大島里美さんのオリジナルストーリー。
西島さん演じる夏目は、20代の頃から海外で活動し、数々の有名オーケストラと共演してきた才能あるマエストロ。大好きな音楽に対し、常に情熱的に向き合っている。しかし、音楽以外の能力はゼロで、家事は何一つできない“ポンコツ”だ。5年前に起きた“ある事件”をきっかけに、夏目は音楽界から離れ、家族は夏目の元を去っていた。日本のとある地方の楽団の指揮をするために数十年ぶりに帰国することになり、5年ぶりに娘と再会することになり……という役どころ。
ドラマが始まる前、企画書に書いてあったセリフを読んだだけでも感動してしまった、という西島さん。物語に大きく惹(ひ)かれたといい、「人は生きていく中で困難なことが必ずあって。大きな挫折を経験している人たちが音楽を通して再生していくその物語が、どこか自分たちの物語のように感じられる企画だったので、ぜひ参加したいと思った」と振り返る。
マエストロを演じることはハードルが高かった。「できるのかな、というのがまず最初にあって。いまだに苦労しています。この撮影中ずっと、自分の中でいつまでたっても『できた!』というよりは、1曲1曲に向かっていくという感じですね」と明かす。
日本クラシック界を牽(けん)引している世界的指揮者で、今作のオーケストラを全面監修している広上淳一さんから、夏目という役を演じる上で大きな影響を受けている。「お人柄、ご本人の持っているエネルギー、音楽に対する愛情がものすごく大きな方で、“魂”の部分を常に教えられています」と話す。
人前に立つことには慣れている西島さんだが、オーケストラの人たちの前に立つことは全くの別体験だった。ある先生からは、「楽器というのは武器だからね」と言われたこともあったといい、「武器を持っている人たちの前に立たないといけないということは、すごくプレッシャーを感じます。(撮影で)今のところ2曲ぐらいやりましたけど、不思議な感動があって。人としての素晴らしい体験をしたなと感じています」と話す。
今作には、トランペット奏者役で宮沢氷魚さん、フルート奏者役で新木優子さん、ティンパニ奏者役で久間田琳加さん、バイオリン奏者役で津田寛治さん、ファゴット奏者役で玉山鉄二さんらも出演する。
「共演者のみなさんが本当に真っすぐに楽器、役に向かっていく人たちばかりで素晴らしくて。みんな真剣に、しかも楽しんで練習していて、まあ楽しいです」と話した西島さん。「役同士で共鳴するものと、もうひとつ、楽器を本気で練習しあって、どって音を出すその感動が一緒にある」と明かした。
娘の響役を演じる芦田さんの印象は「強い」。「本当にやわらかくて、温かい、真っすぐな人なんですけれど、強い! 強いからこそ、真っすぐでやわらかくいられるんだなと。寒かったり、時間的にも大変なときもあったり、いろいろなことがありますけど、全くつらそうな素振りを1ミリも見せないので、すごいなと思います。女優としても人間としてもまあ素晴らしい方」と絶賛。「僕なんか『寒い』とか言って、“寒がりマエストロ”とかあだ名つけられているんですよ(笑い)」とチャーミングに付け加えていた。
最後に、ドラマ放送前の心境を聞くと、「個人的なことかもしれないですけど」と前置きした上で、「震災があったり、コロナがあったり、困難なことがあって。その後にどうやって立ち直っていくかというときに、それが娯楽であったり、音楽であったり、物語であったり、そういうものが大きな力を与えてくれた、与えてくれるというのをとても実感して……」と話した西島さん。
「それどころじゃない、生き延びるしかないというときは必要ない。でもある状況からもう一度立ち上がらなければならないときに、娯楽だったり、アートと言われるものが何か大きな力を与えてくれるということをやっぱり僕は感じていて。このドラマの中で出てくるキャラクターたちはみんな魅力的で、僕たちと同じように何かを抱えていて。それを音楽を通して乗り越えていく物語に付き合っていただきたい」と呼びかけた。
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