ブギウギ:スズ子と小夜の別れのシーン 現場は「すごく和気あいあいとしていた」 第16週は「他人でも家族になれる」がテーマに

NHK連続テレビ小説「ブギウギ」第76回の一場面(C)NHK
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NHK連続テレビ小説「ブギウギ」第76回の一場面(C)NHK

 俳優の趣里さんがヒロインを務める2023年度後期のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「ブギウギ」(月~土曜午前8時ほか)。第16週「ワテはワテだす」(1月15~19日放送)では、ヒロイン・スズ子(趣里さん)の付き人として苦楽を共にしてきた小夜(富田望生さん)が、恋人の米兵サム(ジャック・ケネディさん)と結婚することを決意し、米国へと旅立っていった。別れのシーンを演じた趣里さんと富田さんの様子や、第16週に込めた思いについて、制作統括の福岡利武さんが語った。

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 ◇スズ子と小夜は「本当の家族のよう」

 第76回(1月19日放送)では、スズ子と愛助(水上恒司さん)が、米国への出発を目前に控えた小夜とサムに会いに行く。スズ子はサムに「小夜ちゃんはホンマの家族やから。くれぐれも小夜ちゃんのことよろしく」と伝えた。スズ子と小夜は涙を流しながら抱き合い、「グッドラック!」と笑顔で別れを告げた。

 この場面の撮影を振り返り、福岡さんは「別れのシーンではありますが、すごく和気あいあいとして、楽しい雰囲気でした。良い緊張感の中で、良いお芝居が生まれ、すてきな別れのシーンが撮影できました。前向きに気持ちよく、小夜とサムの出発をお祝いできたんじゃないかなと思います」と明かす。

 「小夜ちゃんは、ある時は大泣きして、怒って、喜んで、ビックリしてという揺れ動く感情を演じなければいけないところではありましたが、この日の撮影では、みんなリラックスして撮影に臨んでいるようでした。小夜ちゃんはいい表情をしていましたし、スズ子はお母さんであり、お姉さんでもあり、本当の家族のように見えました」

 劇中でピッタリと息の合った掛け合いを見せてきた趣里さんと富田さんだが、「ブギウギ」の撮影を通して仲を深めてきたという。福岡さんは「2人が仲良くなっていたのが別れのシーンの“すべて”だった」と振り返る。

 「趣里さんと富田さんが仲良くなったからこそ、『こうしようね、ああしようね』と相談するわけでもなく、お互いやりたいようにやった上で、しっかりと響き合う素晴らしいお芝居になったのだと思います」と2人の息の合った演技をたたえる。

 ◇「ブギウギ」は「スズ子が周りの人を家族にしていく物語」

 第42回(2023年11月28日放送)で登場して以来、付き人として戦時中もスズ子を支え続けてきた小夜。第74回(1月17日放送)で、サムにプロポーズされた小夜はすっかり結婚に乗り気になるが、スズ子は「言葉も通じん、知り合いもおらん土地で幸せになれるはずないやろ」と猛反対。「戻って来たらええやんか」と、また自分の付き人をやらないかと誘うが、小夜の気持ちが変わることはなかった。スズ子は家族のように大切な小夜と離れるのがつらく、愛助に「小夜ちゃん取られんの悔しい」と本音を吐露した。

 スズ子と小夜の関係について、福岡さんは「『ブギウギ』全体を通して、他人でも信頼できて、愛せて、家族のようになれるんだというところを描きたいなと思っていました。スズ子と小夜は今までいろいろとありましたが、すべてを積み重ねてきた結果が2人の関係につながったのかなと感じました」と語った。

 「スズ子が“もらい子”であることから物語が始まって、いろんな人をちゃんと家族としてとらえられるような人に育っていく。スズ子のお節介がなせる技だとは思いますが、歌劇団に入っても、上京しても、周りの人々と家族的につながっていく。その中でも、特に小夜との関係性は強く描きたかったんです」

 “家族”を一つのテーマとして描くことは、ドラマの企画段階から決まっていたといい、「(スズ子のモデルの)笠置シヅ子さんについていろいろ調べて、どういうテーマで書いていくかを考えた時に、脚本の足立紳さん、櫻井剛さんはじめ、スタッフの中で“家族”を一つのテーマにしようと決めた」という。

 「他人は家族になれないということではなくて、他人であっても、互いに傷つけ合ったとしても、しっかり家族になれるというところは描きたいなと思いました。スズ子が周りの人をどんどん家族にしていく物語にしようというのは、最初から話し合って作っていました」

 家族同然の小夜との別れを経て、歌手として、俳優として、ますます成長していくスズ子。そんなスズ子の活躍を最後まで見守りたい。

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