五十嵐圭選手:NBAオールスター生中継のゲスト解説 本番前に見どころを語る「イベントの裏側に注目したい」

五十嵐圭選手=WOWOW提供
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五十嵐圭選手=WOWOW提供


 米プロバスケットボール「NBA」のオールスターゲームが2月19日午前10時からWOWOWで生放送・ライブ配信され、日本プロバスケットボール「Bリーグ」の「群馬クレインサンダーズ」に所属する五十嵐圭選手がゲスト解説を務める。五十嵐選手にオールスターの注目選手や渡邊雄太選手(メンフィス・グリズリーズ所属)と八村塁選手(ロサンゼルス・レイカーズ所属)の日本人選手などさまざまなトピックについて聞いた。

ウナギノボリ

 ーー2017年〜2018年シーズンのWOWOW NBAファイナルでもゲスト出演していただきました。そこから6シーズンぶりとなります。当時と比べてみて、今のNBAにはどのような印象をお持ちですか。

 まずは日本人選手の活躍ですよね。当時も考えられなかったわけではないですけど、「可能性としたら今後あるのかな?」っていう程度でした。その中で翌シーズンに渡邊雄太選手がメンフィス・グリズリーズに入団しました。当時から渡邊選手も八村塁選手の名前は挙がってはいましたが、あまり現実的ではない気がしていました。それが今ではNBAを代表するチームでプレーしています。同じ日本人としてうれしいですし、まだまだこれからNBA入りする可能性を持った新しい選手が増えてくるかもしれないという違った楽しみも出てくると思います。

 ーー渡邊選手、八村選手の活躍を見て、どのような印象を持たれていますか。

 NBAの中で2人ともしっかり結果を残しています。渡邊選手に関しては、フェニックス・サンズ移籍合意の後に、ワールドカップではしっかりと日本代表でチームを引っ張ってくれて、そしてパリ五輪の出場権も獲得してくれました。良い流れがあったのですけど、なかなかプレータイムに恵まれませんでした。日本代表や、サンズに移籍した当初のパフォーマンスをすればこれからローテーションに入って活躍していってくれるのかなと思っていました。

 ですが、やっぱりNBAは甘くないなっていうところはもちろん渡邊選手も感じていると思いますし、僕ら応援している側も甘くないんだなっていうのを感じました。今回メンフィス・グリズリーズにトレードされましたけど、逆に古巣に戻ってどうなるかですね。バスケットボール選手だけでなくすべてのスポーツ選手がそうですけど、コートに立ってプレーすること、プレータイムを伸ばすことはすごく重要なので、そういう意味ではまた自分ができるというところまで証明してもらいたいと思います。

 八村選手は調子が上がってきて、試合に出れば出るだけ活躍しているイメージがあります。どのスポーツもそうですけど、チームの戦略や選手の起用法などで変わってくるので、そこは一概になんとも言えないですけど、これからも出た試合で結果を出し続けていってもらいたいなと思います。

 ーーオールスターは、八村選手とレイカーズで同僚のレブロン・ジェームスやアンソニー・デイビスらスーパースターが競演します。その中で注目選手を教えてください。

 一番はやっぱりレブロンですね。同世代なので、あの年齢でパフォーマンスが落ちていくというよりも年々上がっていて、ずっと高いレベルでやれているのはすごいところだと思います。ベテラン選手と言ったら失礼かもしれませんが、年齢が高い選手でもしっかりとプレーで結果を出しているのは尊敬する部分です。あれだけのパフォーマンスをずっと維持できるモチベーションやフィジカルを保つのは大変だと思います。自分もそうですけど、年齢を重ねるごとにいろいろなことも考えなければいけない中で、シーズンに入ったらしっかりと集中して結果を出しているところは、本当のプロフェッショナルだと感じています。

Q.同じポイントガードの選手で気になる選手はいますか?

 今回のメンバーだとミルウォーキー・バックスのデイミアン・リラードですね。移籍をせずにポートランド・トレイルブレイザーズに骨をうずめると思っていたのですが、バックスに移籍したのは、やっぱりチャンピオンリングが欲しいのかなと思いました。僕自身も新潟アルビレックスBBから群馬に移籍してきた一つの目標にリーグ優勝を挙げています。もちろん新潟にいたから優勝できないというわけではありません。自分にとっても新潟は故郷でありBリーグ初年度からあったチームなので思い入れがあります。リラードは移籍してもオールスターの先発に選ばれ、チームが変わってもしっかり結果を出せるのはすごいなと思います。リラードの一番のすごさはクラッチタイムに強いところです。他チームからすれば、ヤニス・アデトクンボとの“ビッグ2”はすごく守りにくいと思います。

 ーー今回のゲスト解説ではどんなところを伝えたいですか。

 バックヤードや選手のインタビューなどビッグイベントの裏側に注目したいです。それと今回は割と若い選手がたくさん選ばれているし、それと同時にベテランのそうそうたるメンバーも選ばれているので、世代交代があるのか楽しみなところです。今までとは違った見方になると思います。

 ーー注目している若手選手を教えてください。

 たくさんいますが、その中でもサンアントニオ・スパーズのビクター・ウェンバンヤマです。僕らの世代ですと、身長2メートルの選手が機敏に動いてスリーポイントを打つのが、まだそんなに浸透していませんでした。日本で言うと、竹内兄弟(公輔、譲次)くらいでしたかね。それが今となっては、身長2メートル以上の選手がボールを運んでスリーポイントも打ってアシストをするのが当たり前の時代になってきています。彼にとって自国開催のパリ五輪にも選ばれるだろうし、ウェンバンヤマには注目したいですね。

 ーープレーヤー目線でNBAを見る時はどのような部分を見ていますか。

 どうしてもポイントガードの選手に目がいってしまいますが、フロアバランスを見るようになりました。ガードの選手だけではなく、他の選手たちも含めて全体を見ています。若い頃は代表として、ヤオ・ミンがいる中国代表と対戦した時とか全員が2メートル以上で、ゾーンディフェンスをやっているのではないかというくらいコートが狭く感じました。NBAだとそれ以上の大きい選手がいる中で、フロアバランスを注目して見ています。その辺が今までと違った見方になりました。今までだと、どういうボールハンドリングをしているとか個々の動きとかを追っていましたが、最近はどちらかというとポイントガードだけでなくコート上の選手全員がフロアをどのようにスペースを使っているのかを見るようになりました。もちろんこれまでも見てはいましたが、今の方が視野は広がったと思います。

 ーーオールスターが終われば、シーズンも佳境に向かって今まで以上にし烈な戦いが繰り広げられてきます。プレーオフ、ファイナルの展望をお聞かせください。

 ここ数年は絶対的エースの力だけではなく「組織力で勝っているチーム」が上位に来ている気がします。ベンチメンバーや仕事ができる選手がそろっているチームが強いですよね。イメージ的には、デンバー・ナゲッツやマイアミ・ヒートです。もちろん絶対的エースもいますが、その中でも総合力あるチームが勝ち上がってくると思います。現時点では、東カンファレンスはミルウォーキー・バックスがファイナル進出の第一候補です。首脳陣とのケミストリーは懸念されますが、オールスター明けにどうなっているかですね。実力的にはリラードとアデトクンボという2大エースがいるのは魅力的です。

 一方の西カンファレンスは、ロサンゼルス・レイカーズが上がってきてほしいです。レブロンやデイビスといった短期決戦であるプレーオフの勝ち方を知っている選手がいるのは大きいと思います。あとは、同じ群馬クレインサンダーズ(八村)阿蓮選手のお兄さんもいますしね。

 ーークレインサンダーズの現状について教えてください。

 シーズン当初はけが人が続いていましたが、今は選手も戻ってきていて、バスケット自体もシンプルになって良い状況でプレーできています。チームの特長はトランジションなのですが、シーズン当初はなかなかそういった展開に持っていくことができませんでした。年が明けてからは、徐々に自分たちの強みを試合の中でより多く出せるようになってきました。早い展開を好む選手が多いので、そういった選手の良さが出てきています。

 ーー最後にWOWOW NBAファンへメッセージをお願いします。

 試合はもちろんのこと、それ以外の試合前後の選手のコメントなど表にでてこないようなことをNBAファンの皆さんには楽しんでもらえると思います。僕自身も楽しみながら、ファンの方たちと一緒に楽しい時間を過ごせたらと思います。

 WOWOWはオールスターゲームの模様を「生中継!NBAオールスターゲーム2024」と題して、2月19日午前10時からWOWOWライブ、WOWOWオンデマンドで生放送・ライブ配信する。

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