光る君へ:柄本佑が感じた吉高由里子のすごさ 道長とまひろが“ソウルメイト”である所以

大河ドラマ「光る君へ」で藤原道長を演じている柄本佑さん(左)とまひろ役の吉高由里子さん (C)NHK
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大河ドラマ「光る君へ」で藤原道長を演じている柄本佑さん(左)とまひろ役の吉高由里子さん (C)NHK

 俳優の吉高由里子さん主演の大河ドラマ光る君へ」(NHK総合、日曜午後8時ほか)。ドラマの舞台となる平安の貴族社会で、最高の権力者として名を残した藤原道長を演じているのが、柄本佑さんだ。吉高さん扮(ふん)する主人公のまひろ(紫式部)とは、ときに惹(ひ)かれ、ときに離れ、陰に陽に強く影響し合う“ソウルメイト”という位置づけの道長。同役を通じて感じたまひろの魅力、そして「ウソがない」という吉高さんの演技のすごさを柄本さんが語った。

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 ◇「知らなくていいコト」に続き、大石静脚本で吉高由里子と共演

 「光る君へ」は、きらびやかな平安貴族の世界と、懸命に生きて書いて愛した女性(紫式部)の一生を映し出す63作目の大河ドラマ。脚本は、2006年の「功名が辻」以来、2度目の大河ドラマ執筆となる大石静さんが手掛けている。

 柄本さんと主演の吉高さんとは、同じ大石静脚本で2020年に放送されたドラマ「知らなくていいコト」(日本テレビ系)に続く、重要な役柄での共演。演じる藤原道長は、右大臣家の三男坊で、まひろとは幼いころに出会い、特別な絆が生まれる。のちにまひろの「源氏物語」の執筆をバックアップ。宮中への出仕を勧める。

 ドラマは、そんな道長とまひろの「気持ちは通じ合っているけれど、なかなか結ばれない」ラブストーリーの部分と、「生々しい権謀術数の男の政(まつりごと)の世界」が展開し、毎回「体感5分」などと視聴者にも好評を博している。

 「自分が出ている作品を見るのが苦手で、客観的なことは言えなかったりする」としながらも、一方で撮影に入る前から「大石さんの書かれる本が、とっても面白くて。読んでいてあっという間に終わってしまう」と感じていた柄本さん。

 「面白くて、スピーディーだし、重厚なところは重厚で残っている気がして。客観視できてはいないのですが、自分がドラマを見た印象としては、その本のスピーディーさに本当に画(え)がフィットする形でつながって、見ている方もあっという間に四十数分を感じていただける作品になっているんじゃないかなって思っています」

 ◇目を奪われた廃邸での告白「たたずんで見ることしかできなかった」

 柄本さんは、ここまでの放送で印象に残っているシーンに第5回(2月4日放送)の廃邸でのまひろの“告白”を挙げる。

 道長を前にし、母・ちやは(国仲涼子さん)の死から6年の間にため込んだまひろの思いが、堰を切ったようにあふれ出す様子が描かれ、「母上が死んだのは私のせいなの」という号泣告白が話題となった。

 「あの場面は非常に吉高さんに目を奪われていた気がします。僕はたたずんで見ることしかできなかったし、吉高さんが強いんだけど弱くもある、みたいなふうに見えました」

 10分を超える長尺なシーンにもなったが、柄本さんは「吉高由里子という女優さんと長いシーンをやると、懐の深さ、大きさを毎回感じます」と明かしていて、今回の道長役は、吉高さん演じるまひろに引っ張られることが多い、との印象も抱く。

 「道長というのは“あの廃邸”でしか、本来の自分、本音で語れていないのかなって感じています。まひろに対してだったら、本当に怒れるし、優しい言葉もかけられるし、本音でいける。そんなところがよくも悪くも“ソウルメイト”である所以(ゆえん)なのかなって」

 ◇「言っていることは矛盾しているのに、どちらもウソじゃない」すごさ

 その上で、道長とまひろの関係性については「言葉で言い表せられるような惹かれ合いの強さではないんですよ」とも語る柄本さん。

 「どこに惹かれているか、どこを憎んでいるか、みたいなところが同じみたいな。そういうのをひっくるめて“ソウルメイト”。奇(く)しくも出会ってしまった二人が、どんなに会わないようにしていても、つながってしまっていて、必ずどこかで会ってしまう、というイメージです」

 柄本さん自身は、まひろの「猪突猛進な真っすぐさ」に魅力を感じているという。

 「道長、まひろというフィルターを介して、せりふのやり取りをしていますけど、それもまた吉高さんのすごいなと思うところ。僕のせりふを挟んで、その前後で真逆なことを言うことがあったりするのですが、明らかに言っていることは矛盾しているのに、どちらもウソじゃないんですよ。ウソをつこうとしているわけじゃないし、相手を翻弄しようとも思っていない、全てが真っすぐに放たれる。そういうところの表現が、吉高さんは毎回すごいなって」

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