吉柳咲良:「ブギウギ」若手スター、水城アユミは「芯の強い女性」 「励みになった」趣里の言葉は? 「ラッパと娘」歌唱シーンの舞台裏も

NHK連続テレビ小説「ブギウギ」で若手スター歌手の水城アユミを演じる吉柳咲良さん
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NHK連続テレビ小説「ブギウギ」で若手スター歌手の水城アユミを演じる吉柳咲良さん

 19歳の俳優、吉柳咲良(きりゅう・さくら)さんが、趣里さんが主演するNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「ブギウギ」(総合、月~土曜午前8時ほか)に若手スター歌手、水城アユミ役で朝ドラ初出演を果たした。アユミは第25週「ズキズキするわ」(3月18~22日放送)でスズ子(趣里さん)の前に現れると、スズ子が大トリを務める年末の歌番組「第7回オールスター男女歌合戦」にトリ前で出演し、真っ赤なドレスでスズ子の「ラッパと娘」を歌った。吉柳さんに、アユミの母、大和礼子を演じた蒼井優さんやヒロイン趣里さんへの思い、ステージシーンの舞台裏などについて聞いた。インタビュー前後編の後編。

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 ◇蒼井優演じる大和礼子にも「アユミと同じ人としての強さ感じた」

 吉柳さん演じるアユミは、第25週の第117回(3月18日放送)で父・股野義夫(森永悠希さん)とスズ子の前に現れた。スズ子は「えーーーっ!」と驚きつつ、「大和さんの面影ありますな。キリッとした表情なんかそっくりや」と印象を語った。

 同作の制作統括の福岡利武さんは、アユミを大和礼子の娘に設定した理由を「(脚本の)足立紳さんが当初から大和礼子の娘が将来歌手になってスズ子の前に現れるというのはやりたいとおっしゃっていました。(大和の娘の方が)スズ子がより複雑な心境になると思うんです。世代交代の意味でも複雑な感情のスズ子を描きたいと考えた」と説明する。

 吉柳さんはアユミについて、「台本を読んだときに芯の強さを感じました」という。

 「福来スズ子さんに憧れ、尊敬していて、この人のようになりたいと歌手を目指し始めた子で、若さゆえに(『ラッパと娘』を歌いたいとスズ子に直談判するなど)周りの大人をちょっとヒヤッとさせるようなことを言ってしまう。ものごとを損得で考えていない真っすぐさを感じました。スズ子さんに対して尊敬の気持ちがあるのを前提に、だからといって恐縮するわけでなく、同じ歌手として対等に見ているからこそ、一種ライバル心みたいなものを抱いているというような、真っすぐで芯があって、強くて若い女性というイメージでした」

 自身と似ているかと尋ねると、「私は、あそこまで真っすぐに先輩に対して対等にとは思えないタイプかもしれないです。どちらかというと恐縮してしまう方ですが、アユミの歌に対する思いは、よく分かるところがあり、通じる部分もあるのかなと思います」と答えた。

 アユミの母が蒼井さん演じる大和礼子と知ったときは「畏れ多すぎて。まさかのまさかという感じでした。あの、生まれたてだった赤ん坊がそうなんだという驚きはありました」と明かす。

 蒼井さんに対しては「もちろん現場では一度もお会いしてなくて。『ブギウギ』の中で見ていた印象なんですけれど、蒼井さん演じる大和さんに芯の強さというか、ブレない、人としての強さを感じていたので、どこかアユミにも通じるものがあって、やっぱり親子だなって。(スズ子の)キリッとした表情が似ているというせりふがありますが、それはやっぱり大和さんの芯の強さから出ていると思い、アユミも同じような思いを背負っていけたらいいなと思っていました」と語る。

 ◇ステージシーンは「福来スズ子にけんかを売るくらいの勢いで」

 対峙(たいじ)することになるスズ子を演じる趣里さんとは「スタッフさんも交えていろいろとお話ししました」といい、力をもらったと振り返る。

 「あるときスタッフさんが、私について『今は緊張して出してないけれど、もっと面白いんだよ、実は』みたいなことを趣里さんに話してくださったことがあって。それから私がどんどん素を出していく様子を見て、趣里さんが『絶対そっちの方がいいよ。咲良は咲良のまま突き進んだ方がいいよ』と言ってくださって。私の本来のものを認めてくれる人が(現場で)こんなに近くにいてくださるのがすごくうれしかったですし、何より励みになりました。作らずにいるあなたの姿がすてきだよといってくださった趣里さんの言葉のお陰で、変に遠慮したり、気を使いすぎたりすることもなく、水城アユミという役を演じ切ることができたと思っています」

 そんなアユミは「第7回オールスター男女歌合戦」でスズ子の「ラッパと娘」を歌った。同曲は「とても難しい歌だった」と実感を込めて語る。

 「練習のときから何がなんだか分からなくて。とにかく曲を覚える段階から難しいという印象でした。実際に歌ってみると、聴いている何倍も難しかった。あれを歌っていた趣里さんってすごいなと思いました。リズムも難しいし、歌詞も『バドデジデジドダー』など日本語じゃない部分はもちろん難しかったのですが、やっぱりあの歌は、(元歌を歌っていた)笠置シヅ子さんの爆発力やテンション、グルーブ感があって成り立っているので、何よりそこに自分の気持ちが乗らないと歌えない。歌に懸ける熱量というか、爆発力がないと成立しないので、1回、1回歌うたびにものすごくエネルギーを使いました」

 ステージで歌う前には「歌の練習は10回くらいやらせていただいた」と入念に準備したが、「リハーサルはそんなにしませんでした。振り付けも『ほぼほぼないので、好きに動いてください』と言われて。とにかく爆発力を意識して、『なんなら福来スズ子にけんかを売るくらいの勢いでやってください』と監督から言われましたし、それぐらいの全力を出し切ることがスズ子にリスペクトを込めた上でのライバル心として成立するものだからと言われ、そのことはすごく大事にして歌いました」と回顧する。

 歌う時に着た真っ赤なドレスもアユミの歌に力を与えたという。

 「あんなに真っ赤なドレスを着ることはなかなかないので、袖を通したときはちょっとドキドキしました。と同時に、あの曲を歌うにあたってすごく助けてもらいました。あの派手な赤のドレスを身に着けるというだけで、気持ちが上がるものがあって良かったなと思います」

 制作統括の福岡さんは吉柳さんが歌う「ラッパと娘」のステージを見て、「勢いよく歌うのか、カッコよくクールにも歌える歌なので、難しいところなんですけれど、今回は水城アユミというキャラクターの若さがはじけたエネルギッシュな感じでいきたい、という方針で歌っていただいた。スズ子と違って楽しく、またパワフルで面白く、すてきな歌になったなと思いました。パンチがあるすてきなステージになったと思います」と評した。

 「オールスター男女歌合戦」の大トリで「ヘイヘイブギー」を歌うスズ子の姿に打ちのめされたような表情をしていたアユミ。3月25日から始まる最終第26週ではスズ子のステージに影響を受けて歌手として一皮向けたアユミの姿が見られるかもしれない。また、演じた吉柳さんも今回の出演で、“一つステージが上がった”ことは間違いないだろう。

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