ダンダダン
第12話「呪いの家へレッツゴー」
12月19日(木)放送分
「泣きたい私は猫をかぶる」「雨を告げる漂流団地」「ペンギン・ハイウェイ」などで知られるスタジオコロリドの長編アニメ最新作「好きでも嫌いなあまのじゃく」が5月24日にNetflixで世界独占配信、さらに劇場公開となる。「泣きたい私は猫をかぶる」などの柴山智隆さんが監督を務める青春ファンタジーで、「少年と鬼の少女の物語」を描く。周りと上手に過ごしたい、みんなに嫌われたくないという思いから、頼まれごとを断れない性格になっていた高校生の八ツ瀬柊が、人間の世界に母を探しに来た鬼の少女・ツムギと出会い、旅をすることになる。柊役の小野賢章さん、ツムギ役の富田美憂さんに、収録の裏側を聞いた。
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小野さん 「泣きたい私は猫をかぶる」に出演させていただき、作品全体に流れる優しく温かい雰囲気がすごくいいなと思っていましたが、今回もその雰囲気を感じました。ファンタジーではあるのですが、本質は現代社会で誰しも一度は悩むことが描かれています。言いたいことを言えないという悩みは、解決しないまま生活している人も多いと思うので、今の時代に合った作品だなと。
富田さん 言いたいことを言えないというのは、誰しもが抱える悩みですし、今を生きている若い方々の心にも刺さるテーマだと感じました。鬼というファンタジー要素やアクロバティックなシーンもあって、柔らかい世界観の中に、ピリッとした空気感も流れるような作品です。“家族”もテーマの一つなので、収録の後はお母さんのご飯食べたいな、実家に帰りたいな……という気持ちにもなりました。
小野さん 僕は高校時代、軽音部でバンドをやっていて、割と自由奔放に過ごしていました。軽音部はみんな仲がよかったけど、今思うと無意識に大多数の意見に合わせていたところもあったかもしれません。学校という集団生活の中で、世渡りみたいなことを少し考えていたんでしょうね。
富田さん 私が高校生の時は、お仕事を始めた時期だったので、日中は学校に行って、夕方にアフレコに行き、土日もイベントがあったりしたので、文化祭や体育祭などみんなと仲良くなれる大きな行事に参加できませんでした。どちらかと言うと、私はツムギみたいに、自分の考えを主張できなくて、目立たぬように生活していたかもしれません。今もそうなのですが、考えていることを自分の中で勝手に完結してしまうことも多かったですね。
小野さん こんなに若い役は、最近では久しぶりかもしれません。叫んだりできるのかな?と少し不安なところもありましたが、すごく丁寧な収録で、じっくり役作りをさせていただきました。
富田さん 年相応の天真爛漫(らんまん)な性格や、自分が好きなことに対してはっきりしているところをベースに役作りを考えていました。私個人としては、ツムギより柊の方が共感できるところもあって、自分にない要素を集めて演じようとしました。ありがたいことに、アフレコの前、監督から丁寧に説明していただきました。ツムギにとって親は大事な要素で、親に対する複雑な気持ちがすごく分かりました。私も学生時代、父親とあまりうまくいってなくて、口を利かない時期もあったので。
小野さん 今は?
富田さん 今は普通ですよ(笑い)。
富田さん 今回が初めてです。
小野さん 富田ちゃんは、芯がすごくしっかりしている印象でした。ツムギ役ということもあるのかもしれませんが、言葉に力を乗せて発する方だなって。
富田さん 私は割と等身大で演じていました。今回、出演の連絡をいただいた時、柊役がどなたか知らなかったのですが、同世代、同じくらいのキャリアの方かな?と思っていたら、小野賢章さんの名前があって、どんな風に演じられるのだろう?と思っていました。
小野さん 大丈夫だったかな?
富田さん すごく引っ張っていただきましたし、助けていただきました。
小野さん ありがとうございます。柊は、ツムギに振り回される役ですし、僕は富田ちゃんの演技をしっかり受けとめようとしていました。
小野さん 柊とツムギはいろいろな個性的な人との出会いを経て、考え方、視野が広がっていきます。皆さん、すごく魅力的なのですが、個人的には、斎藤志郎さんが印象的でした。「ハリー・ポッター」のハグリッド役などでもご一緒させていただきましたし。
富田さん 斎藤さんが演じられているキャラクターは、こういうおじさん、いる!となりますよね。
小野さん そうそう。音響監督の木村絵理子さんも「ハリー・ポッター」の時にご一緒させていただいたので、個人的につながりを感じていました。
富田さん 木村絵理子さんとは同タイミングで別のレギュラー作品でご一緒させていただいていたので、安心感もありました。
富田さん ツムギは等身大ではあるのですが、鬼なので、自分と近いようで、遠いような難しさはありました。
小野さん 柊はずっと自分の本当の気持ちを言葉にできなかった子なので、素直になっていく過程を丁寧に表現しようとしました。富田ちゃんは僕の10歳下で、柊とツムギは同世代なので、そこに違和感が出ないように頑張ることも、個人的なテーマの一つでした。最近は、特に女性の年下のキャストの方が多くなっていますし。
富田さん 私も10代の子が事務所に入ってきてくれて……。ずっとどの現場でも一番年下ということが多かったのですが、お姉さんにならなきゃ!と思っているところです。
富田さん 柔らかな印象の映像で、ツムギとお母さんは、ほかのキャラクターと輪郭の線が違っていたり、すごく細かく丁寧なんですよね。
小野さん 夏なのに雪が降っていたり、不思議な世界観ですよね。日本のどこにでもあるような風景がリアルなのですが、その中でファンタジー要素も自然に情報として入ってくるようなところも、コロリドさんらしさなのではと思います。
「好きでも嫌いなあまのじゃく」は、小野さん、富田さんの丁寧で繊細な演技が大きな魅力になっているようだ。ぜひ、スタジオコロリドならではの映像と声優陣の熱演を堪能してほしい。
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