大ヒット韓国ドラマ「イカゲーム」のシーズン3が、6月27日からNetflixで配信される。同作は、莫大な借金や深刻なトラブルによって人生を諦めかけた者たちが、“人生一発逆転”できる高額賞金を懸け、“子どもの遊び”になぞらえた「負けたら即死」のゲームに巻き込まれていくサバイバルスリラーだ。ファン・ドンヒョク監督が、最終章となるシーズン3について、「私たちにまだ希望はあるのか、そしてその希望を守り、世界に反映させていく意志はあるのかということに光を当てます」と明かした。

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　◇運営側に反旗を翻すも大切な親友の命を奪われたシーズン2

　「イカゲーム」は、シーズン1が2021年、シーズン2が2024年に配信された韓国の人気ドラマシリーズ。シーズン2は5週連続でNetflixの週間グローバルTOP10（非英語シリーズ）の1位を記録した。

　人生詰みかけだった気弱な男、ソン・ギフン（イ・ジョンジェさん）がゲームで優勝してから3年後。シーズン2では、ギフンが謎多きゲームの支配人フロントマン（イ・ビョンホンさん）に迫り、ゲームに終止符を打つことを決意して再び舞い戻る。ゲームが進むにつれ次々と凄惨な死を迎えるプレーヤーたちを前に、ギフンは運営側に反旗を翻すが、目の前で大切な親友の命を奪われてしまう。ゲームの勝敗だけではなく、現実の社会問題を反映させたストーリーやキャラクター設定が視聴者から多くの共感を呼んだ。

　◇「希望を見いだすことができれば、まだチャンスはある」

　シーズン3のテーマについて、ファン監督は「私たちが直面する根本的な問いをこれまで以上に掘り下げたいと考えました」と語る。「神話ではパンドラの箱が開かれ、あらゆる災厄が飛び出した後に残っていたのは希望だったと言われています。シーズン3では、私たちにまだ希望はあるのか、そしてその希望を守り、世界に反映させていく意志はあるのかということに光を当てます」と話す。

　シーズン2で運営側への復讐（ふくしゅう）計画が失敗に終わった揚げ句、親友を失い追い詰められたギフンや再びゲームに立ち向かっていくプレーヤーたちが、絶体絶命の状況の中でも希望を見いだすことができるのかに焦点を当てたという。

　このテーマとなった理由を、ファン監督は「今の世の中は明るいニュースよりも悲しいニュースが目立ち、希望よりも絶望を感じることが多いように思います。こうした現実を見つめながら、『人類は進歩しているのか？　私たちの世界は良くなっているのか？　この世界に住む人々は本当に発展し、進化しているのか？』といった疑問が湧いてきました。そこから、『私たちがずっと大切にしている価値観を守るために何ができるのか。“人間性”というものは本当に存在し、世界を、私たち自身を良くする力を持っているのだろうか』ということを探求したいと思うようになったんです」と明かした。

　脚本執筆中や撮影期間中も常に監督の中にこうした疑問が浮かび、何度も自問し続けたという。「私がたどり着いた最終的な答えは、どれほど世界が暗く絶望的に見えたとしても、自分たちの中にわずかにでも希望を見いだすことができれば、まだチャンスはあるのではないかということです」と語る。その言葉通り、プレーヤーたちは“史上最悪”に非道なゲームの中で、なおも自己を保ち生還することができるのか。

　◇新シーズンのゲームの一つは“大縄跳び”

　シーズン1では、投資に失敗し転落した人生を歩む元エリートや脱北者、外国人労働者たちの姿を通して、韓国の過激な競争社会や貧困といった問題を浮き彫りにした。シーズン2では、仮想通貨や株の失敗によって多額の借金を背負うことになったジュニ（チョ・ユリさん）やミョンギ（イム・シワンさん）といった若いプレーヤーや、社会で孤立していると見なされがちなジェンダーマイノリティーを投影させたヒョンジュ（パク・ソンフンさん）などのキャラクター、さらには国や人種間の対立を表現したというゲームの続行を決める投票シーンには、昨今の社会情勢が反映されていたことも話題になった。

　数々の困難を潜り抜け生き残ったプレーヤーたちの前に立ちはだかる、“史上最悪”に非道なゲーム。シーズン3のゲームの一つは、ヨンヒ人形が再び登場し、プレーヤーを地獄へとたたき落す“大縄跳び”と明かされている。それ以外のゲームは？　物語の結末は絶望なのか、希望なのか……。最終章と銘打ったシリーズ3の配信まであとわずか。楽しみにして待ちたい。

　Netflixシリーズ「イカゲーム」シーズン1、2は配信中。シーズン3は6月27日から配信開始。