あんぱん:第109回の注目度推移 佳保の“毒舌”が視聴者をクギヅケ? 最高値は午前8時7分の72.3%

連続テレビ小説「あんぱん」のロゴ (C)NHK
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連続テレビ小説「あんぱん」のロゴ (C)NHK

 今田美桜さん主演のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「あんぱん」(総合、月~土曜午前8時ほか)の第109回(8月28日放送)で、視聴者を最も引き付けた場面はどこだったのか? テレビの前の視聴者が画面にクギヅケになっていた程度を示す「注目度」(REVISIO社調べ、関東地区、速報値)の1分ごとの推移を調べたところ、嵩(北村匠海さん)の詩のファンという小学4年生の佳保(永瀬ゆずなさん)の“毒舌”がさく裂したドラマ前半が全体的に高かった。

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 「あんぱん」は、「アンパンマン」を生み出したマンガ家で絵本作家のやなせたかしさん(1919年~2013年)と、暢さん(1918年~1993年)夫婦がモデル。何者でもなかった2人があらゆる荒波を乗り越え、“逆転しない正義”を体現した「アンパンマン」にたどりつくまでを描く、生きる喜びが全身から湧いてくるような「愛と勇気の物語」だ。

 ◇最高値は午前8時7分の72.3% “毒舌”佳保と蘭子が出会った場面

 第109回は、嵩にファンレターをくれた小学生の佳保が柳井家にやってくる話だ。脚本を担当する中園ミホさんは子供の頃、やなせたかしさんの詩集「愛する歌」を読み、ファンレターを送ったことをきっかけにやなせさんと文通をした経験があり、そんな自分自身をモデルにしたのが佳保という少女だという。

 祖父の砂男(浅野和之さん)と訪れた佳保を笑顔で迎えたのぶ(今田さん)と嵩だったが、佳保はニコリともせずに、「家がボロい」「サイダーが飲みたい」「来客にあんぱんを出すくらいだからお金がないのだろう」などと言いたい放題。2人をすっかり当惑させる。思いついたことはポンポン遠慮なく口にする、ある意味子どもらしい態度で、ドラマとしては見ていて楽しい展開だ。中園さんも「思っていることをどんどん口にするのが書いていて気持ち良かった」とインタビューで答えている(詳しくは中園さんのインタビュー記事を読んでください)。

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 テレビ画面の前にいる人のうち、画面を実際に注視している人の割合を示す「注目度」は、前半が高めで、後半はやや低調な展開に。「あんぱん」は最近、ほぼ15分間通して比較的高めを維持する回が多いので、やや珍しいパターンだ。

 主題歌が流れるオープニングが終わると、期待度は一気に上昇。午前8時2分で68.5%、3分で70.1%と早くも70%台に突入した。柳井家にやってきた佳保から、「家がボロい」「サイダーが飲みたい」「来客にあんぱんを出すくらいだからお金がないのだろう」などの発言が飛び出す場面だ。少女のキャラクターが明らかになる一方、まだ見せない“真の顔”にも興味がわく展開だ。

 「今まで詩は難しいものと思ってたけど、この程度なら私にも書けるかもと思ってうれしくなった」。じっくり話を聞くと、失礼な発言をますます連発する佳保に、のぶと嵩が戸惑っている午前8時4分と5分はわずかに下がり、午前8時6分に再び70%台に戻すと、7分にこの日の最高値72.3%を記録した。

 午前8時7分は、トイレに行くため外に出た佳保が、戻ってきた蘭子と対面した場面。のぶは蘭子に佳保を紹介し、せっかく来てくれたのに、このままだとガッカリさせて帰してしまいそうだと小声で話す。佳保は「別に、そんな期待して来たわけじゃないから、気にしないでください」と返し、蘭子は「おぉ……言うねぇ」と笑う。のぶは「蘭子やったら、負けんかも」と言い、蘭子に佳保を任せてサイダーを買いに行く。この辺までが7分台だ。蘭子vs.佳保というわけではないが、その後の展開に期待感が高まる組み合わせだったのは間違いない。

 その後、蘭子と佳保は映画の話題で意気投合。のぶが買ってきたサイダーを玄関先で飲みながら、「マイフェアレディ」や「ローマの休日」について語り合う。佳保が「ローマの休日」の新聞記者・ジョーについて「あの男の人、背が高くて、お父さんにちょっと似てるんだ」と話すと、蘭子は「へえ~、お父さんハンサムなんだねえ」と返した。

 一方、部屋に残った砂男はのぶと嵩に、佳保が大好きな父親を少し前に亡くしたこと、泣いてばかりいたが嵩の詩集「愛する歌」を読んで、少しずつ元気を取り戻したことを話す。父親を亡くして以来、佳保が外に出たいと言ったのは、今回が初めてだという。

 佳保の抱えているものの一端が明らかになるいい場面だが、午前8時8分以降は注目度が一気に急落。再び70%台に浮上することはなかった。

 そんな後半でも小さな山を作ったのは、「佳保が外に出たいと言ったのは、今回が初めてなんです」「あなた(嵩)は孫の心を動かしてくれた」と感謝する砂男に、「嵩さんも、私も、佳保ちゃんくらいの時に父親を亡くしてるんです」とのぶが打ち明ける午前8時10分台と、蘭子が「佳保ちゃんと私、好きな詩同じなの」と打ち明け、嵩の詩「てのひらのうえのかなしみ」を2人で暗唱し、手を取り合って笑う午前8時13分の2回。毒舌の強烈なキャラクターのインパクトがあまりに強く、視聴者の注目はそんな前半に集中してしまったのかもしれない。

 活用したデータは、関東の2000世帯、関西の600世帯で番組やCMの視聴状況を調査しているREVISIO社が公表している独自指標の「注目度」。人体認識センサーを搭載した専用機器でテレビ画面に視線を向けているかを常に計測し、テレビの前にいる人のうち、番組を注視していた人の割合を算出している。(文・佐々本浩材/MANTAN)

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