あんぱん:祝「アンパンマン」雑誌掲載の第117回 注目度最高値72.4%はのぶが喜ぶ場面ではない?

連続テレビ小説「あんぱん」のロゴ (C)NHK
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連続テレビ小説「あんぱん」のロゴ (C)NHK

 今田美桜さん主演のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「あんぱん」(総合、月~土曜午前8時ほか)の第117回(9月9日放送)で、視聴者を最も引き付けた場面はどこだったのか? テレビの前の視聴者が画面にクギヅケになっていた程度を示す「注目度」(REVISIO社調べ、関東地区、速報値)の1分ごとの推移を調べたところ、最も注目度が高まったのは午前8時8分の72.4%だった。

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 「あんぱん」は、「アンパンマン」を生み出したマンガ家で絵本作家のやなせさん(1919年~2013年)と、暢さん(1918年~1993年)夫婦がモデル。何者でもなかった2人があらゆる荒波を乗り越え、“逆転しない正義”を体現した「アンパンマン」にたどりつくまでを描く、生きる喜びが全身から湧いてくるような「愛と勇気の物語」だ。

 ◇最高値は午前8時8分の72.4% 「ヒーロー?」メイコが素朴な疑問を呈する

 第117回は、嵩(北村匠海さん)がキャラクターデザインを担当した映画「千夜一夜物語」が大ヒット。その勢いに乗り、訪ねてきた編集者に、のぶ(今田さん)が「アンパンマン」をアピールすると、ついに雑誌に掲載される。そんな節目とも言える回だ。

 テレビ画面の前にいる人のうち、画面を実際に注視している人の割合を示す「注目度」はこの日、中盤に大きな山ができるグラフに。前日の第116回では超えなかった70%の大台を突破するタイミングも複数あり、山の頂点が比較的長く続く形になった。

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 この日の最高値は午前8時8分の72.4%。午前8時5分は69.9%とわずかに70%台に達しなかったものの、6~8分の3分間は70%台を記録し続けた。4~5分間も、視聴者の視線をクギヅケにし続けたのはどんなシーンだったのか?

 午前8時5分台に突入したのは、柳井家を訪ねてきて「なんでも大歓迎」という編集者を前に、嵩とのぶが「アンパンマン」を見せるかどうか、話し合っている場面の直後。いざ、書き上げた作品を見せると、「これですか?」と微妙な反応。それでも、のぶは「最後まで読むだけでも読んでみてください」と負けない。編集者が読んでいる様子を、じっと見つめて、嵩とのぶは待ち続ける。一体、どうなることやら? 視聴者も嵩とのぶと同じ気持ちだったに違いない。

 70%台に突入した午前8時6分は、その編集者の反応が見せ場。第一声は「確かにいい作品だと思います」と切り出すが、さっそく「この主人公、できれば少し減量できないですか?」と注文を付ける。答えあぐねる嵩の様子を見て、のぶが「できません。個性ですから」ときっぱり返す。「個性」なんて回答、非常に今っぽい!

 午前8時7分台は編集者が掲載を承諾し、ようやくアンパンマンが作品として世に出る場面だ。掲載誌を出版社まで取りに行ったのぶが、帰宅し、嵩とページを開くシーン。のぶが「アンパンマンのおんちゃん、ちゃんと載っちゅう!」と喜ぶと、嵩は「載ったね~。アンパンマンが日の目を見たのは、のぶちゃんのおかげだね」と感謝する。まさに、のぶのおかげ。誰もがそう思ったことだろう。心配でずっと見守ってきた視聴者にとってもホッとした喜びの瞬間だ。

 そして注目度がマックスになった午前8時8分。掲載誌を満面の笑みで読みふけるのぶの顔から始まるが、楽し気な音楽はまもなく急に止まり、展開は一変する。のぶがカフェで会ったメイコ(原菜乃華さん)は「このおんちゃんって、ヒーローながでね?」と率直な疑問を示す。

 「せっかく『千夜一夜物語』がヒットして嵩さんの才能に光が当たったのに、今一つ地味っていうか……」とメイコが言うと、同席していた健太郎(高橋文哉さん)まで「正義の味方なんやったら、悪者と戦うもんかもしれんけど……」とかぶせる。のぶは「戦いよる」「戦争によって食べるものがなくなって、来るしんじゅう人らの飢えと戦いよる」と丁寧に説明するが、メイコに「現代っ子に伝わるろうか。娘らあの反応は今一つやった」ととどめを刺される。

 掲載の喜びのピークの午前8時7分ではなく、評判が芳しくない雰囲気が漂い始めた午前8時8分が注目度の最高値だったのが面白い。続く午前8時9分には、登美子(松嶋菜々子さん)も登場。「アンパンマン」を読みながら声を上げて笑うので、のぶが「そんなに面白いですか?」と尋ねると、「最悪ね」と一言で切り捨てられる。

 「どういうところが?」。のぶが聞くと、登美子は「マントもボロボロで武器も買えないぐらい貧乏なんでしょう? おまけにハンサムじゃないし汗っかきだし、あんまりお風呂にも入ってないみたいだし、それに……」と早口でまくしたて、見かねたのぶが「それまで!」と制止したところで、場面が切り替わる。登美子のキャラクターが生かされた、視聴者には楽しい場面だ。

 この9分台も、70%台を割ったものの、68.1%と比較的、注目度は高い。ようやくアンパンマンが世に出たことで喜ぶのぶに、健太郎のジャブ、メイコのストレート、登美子のアッパーと3回パンチをくらった感じの展開に注目度が一番跳ね上がったということだろうか。

 活用したデータは、関東の2000世帯、関西の600世帯で番組やCMの視聴状況を調査しているREVISIO社が公表している独自指標の「注目度」。人体認識センサーを搭載した専用機器でテレビ画面に視線を向けているかを常に計測し、テレビの前にいる人のうち、番組を注視していた人の割合を算出している。(文・佐々本浩材/MANTAN)

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