高石あかりさん主演のNHK連続テレビ小説（朝ドラ）「ばけばけ」（総合、月～土曜午前8時ほか）の第10回（10月10日放送）で、テレビの前の視聴者を最も引き付けた場面はどこだったのだろうか？　テレビの前の視聴者が画面にクギヅケになっていた割合を示す「注目度」（REVISIO社調べ、関東地区、速報値）の1分ごとの推移を調べたところ、第10回の最高値は午前8時13分の74.8％だった。

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　「ばけばけ」は113作目の朝ドラ。ヒロインの松野トキと、その夫となるレフカダ・ヘブンのモデルは、松江の没落士族の娘、小泉セツと、「怪談」などの著作で知られるラフカディオ・ハーン（小泉八雲）だ。ドラマの中では大胆に再構成し、登場人物名や団体名などは一部改称してフィクションとして描くという。

　◇ピークは午前8時13分の74.8％　祝言を迎え、幸せいっぱいのトキを街の人々が祝福

　第10回は、両家の親同士も良好な雰囲気で、トキ（高石さん）と見合い相手の銀二郎（寛一郎さん）のお見合いはうまくいきそうな空気に。このままいけば、結婚は確実と思われたが、急に現実味を帯びてきた結婚に、トキは銀二郎とのお見合いを進めることをためらってしまう。

　そんなトキに、銀二郎は二人きりで話そうと声をかけ、怪談の舞台とされる清光院に散歩に誘う。銀二郎は「変に思われるかもしれませんけど、私……怪談が好きで」と明かし、「ここは松風という怪談の舞台なので、ず～っと来てみたくて」と話した。怪談好きのトキは驚き、「こちらに松風の血の痕があるんです」と教えると、銀二郎は「これが松風の……！」とうれしそうに反応した。共通の趣味が判明し、2人は意気投合。トキは銀二郎との結婚を決める。

　テレビ画面の前にいる人のうち、画面を実際に注視している人の割合を調べた「注目度」は、お見合いの席にトキがお茶を持っていく、第9回からの続きの部分が始まった午前8時0分台にいきなり71.1％と高い数値でスタート。だが、トキが煮え切らない反応で、物語が大きく進展しないからだろうか。その後は急速に下がっていき、オープニング後のトキと銀次郎が2人で散歩に出かける場面も注目度はさほど上がらない。

　2人の祝言が決まり、松野家で母親のフミ（池脇千鶴さん）がタイの尾頭付きなど、準備を進める場面に当たる午前8時9分は69.4％まで達したが、再び65％台まで落ちる。エンディング目前の午前8時13分の74.8％がこの日の最高値。山根銀二郎（寛一郎）が父と祝言のため松野家にやってくる場面だ。白無垢姿のトキを先頭に、松野家一家全員で出迎える。近所の人々もお祝いに集まっているようだ。

　「おトキさん、行きましょう」。トキに歩み寄った銀次郎が右手を差し出し、手をつないだ2人が松野家に向かってゆっくり歩き出す。ちょうどこの辺からがピークの午前8時13分台。近所の人々が気を利かせたのだろうか。2人を祝福しようと、2人の頭上から紙吹雪を散らす。同時に幼なじみの野津サワ（円井わんさん）ら女性陣が2人を囲み、紙吹雪をさらに投げ散らす。笑顔のトキが、紙吹雪を投げ返そうとするのがかわいい。ある意味、今週のエンディングで、トキの幸せの頂点ともいえる場面。注目度が一気に70％台半ばまで跳ね上がったのも納得だ。

　この様子を見ていた仲人の雨清水傳（堤真一さん）とタエ（北川景子さん）夫婦。タエは「おフミさん、ここまでよく育て上げましたね」とフミに声をかける。「ええ、おトキは私の娘でござりますけえ」と答えるフミに、タエは「もちろんです」とだけ返し、微笑む。ごく普通の会話だが、女性2人の表情、その会話を見守る傳の表情を見ていると、トキを巡り、雨清水家と松野家は何か事情があることを感じさせる。

　今週の前半、第6、7回でもトキには何か出生に秘密があるかのような会話があった。気になっていた視聴者にとっては「また！」と気になったことも注目度が上がった一因かもしれない。

　それにしても、銀次郎は、「小豆洗いに似ている」というトキの理想に合致する？ともいえる、怪談好きの男性。だが、トキはレフカダ・ヘブン（トミー・バストウさん）と再婚することははっきりしている。幸せそうなトキと銀次郎だが、どのような将来が待っているのだろうか？

　活用したデータは、関東の2000世帯、関西の600世帯で番組やCMの視聴状況を調査しているREVISIO社が公表している独自指標の「注目度」。人体認識センサーを搭載した専用機器でテレビ画面に視線を向けているかを常に計測し、テレビの前にいる人のうち、番組を注視していた人の割合を算出している。（文・佐々本浩材／MANTAN）