ばけばけ:視聴者をクギヅケにしたのは「午前8時1分」の意外な場面 “ラストサムライ”勘右衛門の「覚悟!」を上回る 第24回の注目度 

連続テレビ小説「ばけばけ」のロゴ (C)NHK
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連続テレビ小説「ばけばけ」のロゴ (C)NHK

 高石あかりさん主演のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「ばけばけ」(総合、月~土曜午前8時ほか)の第24回(10月30日放送)で、テレビの前の視聴者を最も引き付けた場面はどこだったのだろうか? テレビの前の視聴者が画面にクギヅケになっていた割合を示す「注目度」(REVISIO社調べ、関東地区、速報値)の1分ごとの推移を調べたところ、最高値は午前8時1分の73.2%だった。

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 「ばけばけ」は113作目の朝ドラ。ヒロインの松野トキと、その夫となるレフカダ・ヘブンのモデルは、松江の没落士族の娘、小泉セツと、「怪談」などの著作で知られるラフカディオ・ハーン(小泉八雲)だ。ドラマの中では大胆に再構成し、登場人物名や団体名などは一部改称してフィクションとして描くという。

 ◇開講! ヘブンの“料理教室”

 第24回は、花田旅館に滞在するヘブン(トミー・バストウさん)が、主人の平太(生瀬勝久さん)やツル(池谷のぶえさん)、ウメ(野内まるさん)と次第に交流を深めていく様子が描かれた。花田旅館を時々訪れるトキ(高石さん)も、その輪の中に入っていく。

 テレビ画面の前にいる人のうち、画面を実際に注視している人の割合を調べた注目度は最近、視聴者がクギヅケになっている状態が長く継続することが多かったが、この日の第24回は激しく上下する時間帯がやや増えた。

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 第24回で視聴者を最もクギヅケにしたのは、冒頭の花田旅館の場面。午前8時1分の73.2%をピークに、午前8時0分から午前8時3分までの4分間、70%超が続いた。今週、何度かあった勘右衛門(小日向文世さん)が木刀を振りまわす場面でも、司之介(岡部たかしさん)が牛乳を売りに来た場面でもない。ヘブンのひととなりがうかがわれる、ある意味非常に重要な場面だ。

 風呂に入っていたヘブンが「ジゴク! ジゴク!」と大騒ぎして飛び出してくる。お湯が熱すぎたようだ。続いて、台所でヘブンの“料理教室”が始まる。卵を割りいれた鍋に水を入れ、ふたをする。しばらくして開けると、目玉焼きが2個、きれいにできていた。トキや松江新報の記者、梶谷吾郎(岩崎う大さん)もいつの間にか、一緒に聞いていて、驚いている。この料理教室部分がピークの午前8時1分台だ。

 午前8時2分以降は、ウメの目が気にかかるヘブンが、平太に医師に見せるよう厳しく指示する。この程度のことで医師に見せなくてもと反論する平太。ヘブンのあまりの剣幕に、「OK」と医師に見せることを約束する。だが、梶谷が「これぐらいの怪我でガタガタ言うな」と、平太が思わず漏らした本音を通訳したものだから、ヘブンは宿を出ていくと言い残し、部屋に戻る。平太やツルが、ヘブンをなだめようと大騒ぎしている場面で、オープニングに移る。

 ◇ヘブンはなぜウメの目にこだわったのか

 注目度はオープニング後も、時々70%を超えるが、すぐに下がって、再び70%を超える状態を繰り返す。71.0%の午前8時6分は、ヘブンが幼少期を回想した場面。友達にかばんを奪われ、取り返そうとした時、投げられたかばんが左目に当たり、目が見えなくなった。「目、医者、大事」とヘブンはウメに伝える。ヘブンがウメの目にこだわるのかがよく分かる場面。故山田太一さんが脚本を担当し、小泉八雲とセツを描いたドラマ「日本の面影」(1984年)でも、同じような場面があった。この「左目」は「ばけばけ」でもこれから一つのカギになるのだろう。

 次に上昇したのが午前8時9分台の71.9%。前半は、トキが錦織に「あの人、今どげしちょるんでしょうか?」と銀二郎の近況を尋ねる場面で、後半はヘブンを捜していた錦織がその姿を遊郭でようやく見つける場面。銀二郎のその後は視聴者もみんな心配していたテーマだろう。一気に関心が高まったのも納得だ。

 最後に上昇したのは午前8時12分~14分。12分に70%台に乗ると、少しずつ伸ばして14分には71.0%を記録した。

 午前8時12分台は、遊郭の部屋にいるヘブンと、店の前にいる錦織が会話する場面。「では出てきてください」「あなたが入ってきてください」。2人の問答は続く。そこへやってきたのが勘右衛門。ここからが13分台。ヘブンの姿を確認すると、店の中へ。いきなり斬りかかり大騒ぎとなる。

 午前8時14分台は、場面が変わり、次の朝の花田旅館。食事を運んできたウメの呼びかけにもヘブンは答えない。部屋から全く出てこない。ヘブンはなぜ出てこないのか? なぜ錦織を避けるのか? 謎が謎のままで次回に持ち越された第24回だった。

 活用したデータは、関東の2000世帯、関西の600世帯で番組やCMの視聴状況を調査しているREVISIO社が公表している独自指標の「注目度」。人体認識センサーを搭載した専用機器でテレビ画面に視線を向けているかを常に計測し、テレビの前にいる人のうち、番組を注視していた人の割合を算出している。(文・佐々本浩材/MANTAN)

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