ばけばけ:視聴者が最も注視したのは「三之丞の打ち明け話」? 「タエさまの物乞い」? 第30回の注目度推移

連続テレビ小説「ばけばけ」のロゴ (C)NHK
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連続テレビ小説「ばけばけ」のロゴ (C)NHK

 高石あかりさん主演のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「ばけばけ」(総合、月~土曜午前8時ほか)の第30回(11月7日放送)で、視聴者を最も引き付けた場面はどこだったのだろうか? テレビの前の視聴者が画面にクギヅケになっていた割合を示す「注目度」(REVISIO社調べ、関東地区、速報値)の1分ごとの推移を調べたところ、最高値は午前8時7分の76.6%だった。

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 「ばけばけ」は113作目の朝ドラ。ヒロインの松野トキと、その夫となるレフカダ・ヘブンのモデルは、松江の没落士族の娘、小泉セツと、「怪談」などの著作で知られるラフカディオ・ハーン(小泉八雲)だ。ドラマの中では大胆に再構成し、登場人物名や団体名などは一部改称してフィクションとして描くという。

 ◇三之丞「凍死……その前に餓死かな」

 第30回は、トキ(高石さん)がたまたま街で再会を果たした三之丞(板垣李光人さん)から、タエ(北川景子さん)と三之丞が松江を離れた後、何があったのかを聞く。タエの窮状を知ったトキは、ヘブン(トミー・バストウさん)の女中になると決める。

 テレビ画面の前にいる人のうち、画面を実際に注視している人の割合を調べた注目度は、トキと三之丞が街で再会したシーンや、ヘブンが花田旅館から引っ越すシーンなどの序盤はやや低調。中盤に入ると、午前8時6分(76.2%)と午前8時7分(76.6%)にいきなりピークを迎えた。

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 午前8時6分台は、花田旅館で待つトキのもとに、遅れて三之丞がやってくるあたりから。「ここが今の仕事場?」などと三之丞が尋ねるなど、本題に入る前の“世間話”的な会話が続いた。視聴者が知りたいのはやはり、タエがなぜ物乞いをしているのか? いつ本題に入るのかと、注目度が高まってきたのだろう。

 この日の最高値となった午前8時7分台は、三之丞が数日前に松野家を訪ねていたことを話すあたり。少し無心しようと行ってみたら、借金取りが来ていて大変そうだったので帰ったと話す。第26回で松野家の近くで見かけた人影はやはり三之丞だったのかと新事実が飛び出したものの、話自体は大きく進展しない。

 ようやく本題に入るのは午前8時8分以降。視聴者は辛抱できなかったのか、8分~10分の注目度は70~72%にやや落ち込む。

 三之丞は「うちは今……どん底だ。工場と屋敷と家財を売って借金を返した後、母と私は親戚の家に身を置かせてもらっていた。ただ、そこも苦しくて金を入れないといけない。ただ……母は雨清水の人間なら、人に使われるのではなく、人を使う仕事に就きなさいと。その結果、金を入れられなくなって、親戚の家を追い出され」と松江を離れていた時期について、トキに打ち明ける。

 続けて三之丞は「今は頼るあてもなく、家も金もなく、母は働くくらいならと、潔く物乞いになった」と語る。

 トキは松野家に来ることを提案するが、三之丞は「ありがとう。でも自分でなんとかする。それに母は行かないと思う」と断る。続けて「冬が来る前になんとかしたいんだけどね。そうしないと凍死……その前に餓死かな」とどこか他人事のように語る。

 三之丞には悪気はないのだろうが、「凍死」「餓死」など尋常ではない表現が続く。聞いていたトキは、実の母、タエのことを思うと、耐えられない思いだっただろう。

 ◇ついに頭を下げる“物乞い”タエさま

 その後、花田旅館を出たトキが、物乞いをするタエの姿を再び見る場面が午前8時11分~12分。金をめぐんでもらったタエはついに頭を下げる。その様子を見ていたトキは、その場から走って去っていく。緊張感のある張り詰めた音楽が流れる、この2分間は注目度が74%台とやや上昇した。

 この後、松野家の家族団らんの夕食の会話シーンをはさみ、トキが錦織(吉沢亮さん)に、ヘブンの女中になると告げる今週のラストシーンに続く。注目度も、最後まで73%台を維持。タエの物乞いのシーン以降、視聴者の視線を最後までクギヅケにし続けた様子がうかがえた。

 活用したデータは、関東の2000世帯、関西の600世帯で番組やCMの視聴状況を調査しているREVISIO社が公表している独自指標の「注目度」。人体認識センサーを搭載した専用機器でテレビ画面に視線を向けているかを常に計測し、テレビの前にいる人のうち、番組を注視していた人の割合を算出している。(文・佐々本浩材/MANTAN)

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