ばけばけ:「吹き替えはしない」 ヘブンの悲しい過去 全編字幕で描いたワケ

NHK連続テレビ小説「ばけばけ」の一場面(C)NHK
1 / 1
NHK連続テレビ小説「ばけばけ」の一場面(C)NHK

 高石あかりさんがヒロインを務めるNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「ばけばけ」(月~土曜午前8時ほか)。第53回(12月10日放送)、第54回(12月11日放送)では、ヘブン(トミー・バストウさん)の過去の話が描かれた。つらく、苦しいヘブンの過去をどのようにしてドラマとして作り上げていったのか、制作統括を務める橋爪國臣さんに聞いた。

あなたにオススメ

 第53回では、リヨ(北香那さん)が快気祝いのパーティーでヘブンに告白。「びっくり」と驚いたヘブンだったが、告白の返事の前に自分の過去について語り始めた。米・シンシナティで新聞記者になり仕事も順調にこなしていたこと、黒人の女性・マーサ(ミーシャ・ブルックスさん)と恋仲になり、結婚したことも明かされた。

 しかし、第54回では黒人と結婚したヘブン自身も会社を解雇され、マーサはカミソリで大家を切りつけて警察に逮捕されてしまった。その後も自暴自棄になったマーサとの生活はうまくいかず、ヘブンは「ずっといたいと願った場所を自分の手で手放してしまった」と告白した。

 橋爪さんは「ヘブンの過去はどこかで描かなければいけなかった」とし、「彼の生い立ちを説明するのはとても大変なんです。モデルの小泉八雲さんには宗教の話、生まれの話、いろんな話があるんですが、全てをドラマ内で描くことはできないので、彼のパーソナリティーがしっかりと分かるシンシナティ時代の話を描きました」と明かす。

 ヘブンの過去パートでは第53回の導入部分と、第54回の終わりの部分で錦織(吉沢亮さん)の通訳のせりふが入っているものの、ほぼ全編字幕で描かれた。

 「このドラマを作るときから吹き替えはしない、生の声をそのまま使うと決めていました。日本のテレビドラマだったり、朝ドラとも思えない英語量で、延々と字幕で、朝の忙しい時間帯に見るのは大変かもしれません。でも、見る方法も多様化していますし、何よりもトミーのお芝居が、吹き替えにしたら台無しになってしまうと思いました。お芝居の大切さをしっかり出したいと思い、思い切って全部字幕でやらせていただきました」

テレビ 最新記事