平嶋夏海:初主演作品で飛躍 今は「ぶっ飛んでいたい」

ゆうばり映画祭で主演映画への思いを語った平嶋夏海さん
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ゆうばり映画祭で主演映画への思いを語った平嶋夏海さん

 元AKB48で女優の平嶋夏海さんが映画で活躍の幅を広げている。2月25~29日に北海道夕張市で開催された「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2016」で上映された映画「女ヒエラルキー底辺少女」(森岡利行監督)や「メイクルーム2」(森川圭監督)に出演。「女ヒエラルキー底辺少女」では初主演を務め、思春期特有の自意識に振り回される女子高生を熱演した。平嶋さんに主演映画への思いや今後の目標などを聞いた。

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 ◇初主演で5キロ増量指令 

 「女ヒエラルキー底辺少女」は思春期の女子を描いた鈴木詩子さんのマンガが原作。友人同士の“ヒエラルキー”に振り回される女子高生・桃子の日常を描いた作品で、平嶋さんは友だちグループから馬鹿にされ鬱屈(うっくつ)した思いを抱える主人公の桃子役を演じた。

 今作が映画初主演。平嶋さんは「監督に前から夏海で撮りたい、と言われていて。なかなかオファーが来ないなと思ったけど、昨年(オファーが)来て、『よしっ』て、やる気まんまんで臨みました」と同作のオファーを受けたときの心境を明かす。とはいえ、不満を抱え、時に過激な妄想をする桃子役は、キャラクターが強く、不安になることも。また、仲間からはブーと呼ばれ馬鹿にされる桃子を演じることにも抵抗はあった。「しかも、監督に『あと5キロ太って』と言われて……。私、すでにそんなスレンダーでもないのに、これ以上太ってどうするのって」と苦笑するが、「でも、太ってみようって頑張りました。5キロまではいけなかったですけど(笑い)」と女優としての心意気をのぞかせる。

 同作は桃子の妄想描写が見どころのひとつだ。ときに銃を構え、ムチを振るって同級生をいじめ……と過激なシーンも多いが、平嶋さんは「ぶっ飛びすぎてって(言われて)、自由に楽しんでやってました」と楽しそうに振り返る。桃子のように自身も妄想することがあるといい、「すごく疲れててイライラしているときとか。仕事中だけど、今思いっきり暴れたらどうなっちゃうんだろう、とか」と平嶋さん。とはいえ、「妄想だけで実行できない気の弱さとかもあり……さすがに実生活では(暴れたりは)ないです」と笑う。

 映画は友人同士の“ヒエラルキー”がテーマだが、平嶋さん自身はどのような学生時代だったのか。「バスケ部の女子の目立ってないほうにいました(笑い)」という平嶋さんだが、「でも、当時は、嫌われている子からは嫌われていましたね。『なにアイドルやってるとか言っちゃってるの』とか……。AKB48もそのころは無名でしたし」と苦い記憶も明かす。

 ◇“アイドル”からの脱却 今は「ぶっ飛んでいたい」

 AKB48を卒業してから約4年。舞台の仕事をこなし、映画でも初主演を果たしたが、今はどのような心境にあるのだろうか。「AKB48時代は周りに仲間がいたので……。(卒業してから)最初は1人で、全員はじめましての状況に慣れなかった」といい、「絶対、『うわ、元AKB48だ』とか、『アイドルだから』、みたいに見られてるんじゃないかとか……どういうふうに思われているんだろうと考えていた」と明かすが、「最近は初めての人だらけでも、ちょっとずつなじんできて。そこは成長かなと思う」とほほ笑む。

 仕事のあとには、仲間で食事に行き、距離を縮めることも。「AKB48のときは、そのまま現場でご飯を食べて帰る、というのが多かったんだけど。(今は)仕事場では話せないようなプライベートな話とか、くだらない話とか、そういう話をすることで、イメージとは違った自分をちゃんと見てもらえるのかなって」と話す平嶋さん。新しい世界での泳ぎ方が身についてきた今は、「もっと高飛車かと思ってた、とか言われます」と楽しそうに話す。

 AKB48時代に培った経験も生きている。特に、数々の本番をこなすことで備わった度胸は、何よりも大きい武器だった。「度胸あるね、とか、本番に強いね、はどこに行っても言われますね。どんな広いところでも怖気づきはしない」と胸を張る。ただ、「いい意味でも悪い意味でも、ステージに立つと違うね、とも言われます。『リハーサルでもそれやってほしい』とか。全然意識してないんですけど、アイドルはそういう子が多い、と演出家の方に言われて」と葛藤も明かすが、それでも「たくさん映像作品に出演できたらなと思っています。今はグラビアとかもやっていますけど、どんな形であれ、いろんな人に名前を知ってもらえて、いろんな作品にちょっとでもいいから出演させてもらえたらな、と」と力強さものぞかせる。

 今は「人を殺す役やホラーもやってみたい」と女優業への旺盛な意欲を語る平嶋さん。インタビューの最後には、「平凡に過ごすのだけはやめようと思ってます。どんな方向にせよ、ぶっ飛んでいたいなって。穏やかに毎日を過ごすのだけはやめよう、と思っています」と目を輝かせて女優としての意気込みを語ってくれた。

 <プロフィル>

 ひらじま・なつみ。1992年生まれ、東京都出身。2005年にAKB48第1期生オーディションに合格。「渡り廊下走り隊」などのユニットでも活動したのち、2012年2月にAKB48を卒業。以降、舞台や映画「ハダカの美奈子」 (13年)などに出演。「女ヒエラルキー底辺少女」で主演を務める。

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