ハイエンドモデルと、現行機を改良した新型モデルの2種類がラインアップされるプレイステーション(PS)4。さらに10月にはVR(仮想現実)を体験できる「PSVR」はメディアの話題になり、既に予約が殺到するなど期待を集めている。ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)の「ワールドワイド・スタジオ」で、ソフト戦略・開発の責任者「プレジデント」の吉田修平さんに2種類のPS4の狙い、PSVRの展望などを聞いた。
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--PS4が世界的に売れているのに、ハイエンドモデル「PS4Pro」と新型モデルの2種類のPS4を出すのはなぜ?
PS4の売れ方よりも、PS4の製品仕様がPCに近くなったことが影響している。PCは毎年技術が上がり、PCのパフォーマンスも高くなる。これまでのPSシリーズはソフトの工夫でゲームの質を上げていたが、今回は初めてハイエンド機を提供する。ユーザーの選択肢を増やすのが狙いだ。
--今後もハイエンドの新型モデルが定期的に出るということ?
今後のことは分からない。今回のPS4Proは、ユーザー全員にゲーム機の買い替えをしてもらうのが目的ではない。あくまでも希望するユーザーに、4Kでのゲーム体験が楽しめるようにしたということだ。
--PS4の日米欧の地域シェアは? 米国と欧州ではどちらが勢いがあるか?
グローバルで4000万台以上。地域別シェアは開示していないが日本での他社の調査発表(約300万台)でほぼ間違っていない。欧州と米国はどちらも同じぐらい勢いがある。日本の市場が元気がないのは間違いないが、「ドラゴンクエストヒーローズ」が出たころから良くなっている。そして今年の年末に向けてソフトが充実してくるが、特に「ファイナルファンタジー15」は注目だ。人気シリーズの新作というだけでなく、オープンワールドで自由な遊び方ができるグローバルスタンダードに沿った意欲的なタイトルだ。
--地域でゲームの好みが分かれている。世界的なソフトの開発は以前よりも大変ではないか?
PS4で大ヒットタイトルを狙うには、グローバル市場を考えた上で作らなければ難しいが、実は「ペルソナ」のような日本人向けのRPGでも同じだ。確かに日本人好みのソフトは海外ではニッチな市場だが、PS4の普及台数が大きくなり、ニッチでもユーザーが比例して増える。従来であれば、日本人好みのソフトは、まず日本語のみで日本市場に向けて作り、その後海外に展開していた。しかし今は世界同時発売をするようになっている。「ドラゴンボール」のゲームのように、一見日本市場向けに見えて、海外のほうが売れている例もある。
--PS4は、PS3よりも制作コストが安くなると説明していたが。
PS3のソフトと同じものをPS4で作るならその通りだ。ただPS4は開発ツールも充実し、やれることは飛躍的に増えている。さらにユーザーの求める質も高くなっているので、必然的にコストは高くはなる。例えばPS3で作った新作をPS4で作るなら、PS4の性能を使った大規模なものになる。日本向けのゲームも世界で同時展開をするのは、そう考えないとコスト的に大変になるということだ。
--PSVRがいよいよ発売される。PS4単体で遊べるソフトと、PSVR用ソフトの開発方針の違いは?
VRは新しいゲーム体験ができ、まさに「鉱脈」だ。掘れば掘るほど面白いので、規模の小さなタイトルを早いペースで、いろいろ試したい。逆にPS4(単体で遊ばせるソフト)はタイトルを絞って、大きい規模、体験の深いものにして、コストをじっくりかけて作ることになるだろう。
--携帯ゲーム機「PSVita」の戦略は?
ここでは言えない。だが、いろいろなことは常に考えている。
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