モンスター
#6 変わらないもの
11月18日(月)放送分
女優の柴咲コウさんが主演する2017年のNHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」に、戦国大名の今川義元役で出演している落語家の春風亭昇太さん。8日放送の第1回「井伊谷(いいのや)の少女」では、顔面を白塗りにし、無表情で一言も発することなく、謀反の疑いがかかった井伊直満(宇梶剛士さん)を死に追いやるという“怪演”で見る者に強い印象を残した。「しゃべらない」演技について「噺家(はなしか)をドラマに呼んでおいて、黙ったままにさせておくなんて、どういうことですか!」と冗談交じりに声を荒らげつつ、愛してやまない義元を演じられることを「夢のよう」と少年のように喜ぶ昇太さんに、役への思いを聞いた。
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「おんな城主 直虎」は56作目の大河ドラマ。激動の戦国時代に男の名を名乗り、井伊家の家督を継ぎ“おんな城主”となった女性・井伊直虎の生涯を描く。直虎は、幕末の大老・井伊直弼の先祖で、徳川家康の重臣・井伊直政の養母にあたる人物。井伊家当主・直盛の一人娘として生まれるが、幼くして許婚(いいなずけ)と生き別れ、その後、出家。やがて男の名で家督を継ぎ、今川、武田、徳川が領地を狙う中、知恵と勇気を頼りに、仲間と力を合わせて国を治め、幼い世継ぎの命を守りながら、生き延びていく……というストーリー。
昇太さん演じる今川義元は、今川家の当主で、領国経営に類まれな才覚を発揮し、駿河・遠江から三河・尾張にまで勢力を拡大するが、桶狭間の戦いで織田信長に敗れてしまう。静岡県出身の昇太さんにとっては地元の誇るべき戦国大名だが、「敗軍の将」として語られることが多く、一般的な評価も高いとはいえない。
義元を「愛している」という昇太さんは「義元って弱々しくて公家好みの、軟弱な戦国大名って扱いをされてきたんですけど、かなりきわどい時代もクリアして領土を拡大していったし、五男でありながら今川家の家督を自分のものにしている。そういうところを見ても、軟弱者のわけがないだろうし、相当な経験を積んでいる武将なんだなって僕は思います。桶狭間の一戦だけで評価されるのはかわいそう」と力を込める。
さらに昇太さんは「僕からすると、戦場で散った義元と家来にだまし討ちされた信長、どちらが武将っぽいのか」と持論を展開し、「とにかく戦国大名の中で最も誤解を受けている人。これから今川義元がどんな人物だったのか、知られていくだろうし、ここからちょっとずつ、僕の後に今川義元をやる人も、もちろん出てきますでしょうから、そういう方にちょっとずつ(評価を)変えていってもらいたい」と訴えた。
子供の頃から今川好きで「いつか今川義元をやりたいと、冗談ながらずっと言ってきた」という昇太さんは、「まさかそれが現実になるとは思ってもみなかったので、ものすごくうれしかったですね」としみじみ。衣装を着て今川の館に入った時は「キュンとした」といい、「甲冑(かっちゅう)姿の写真も撮りまくりました。古風な大鎧(よろい)なんですけど、今川義元をできるっていうだけですごいですよ。過去に中村勘九郎さん、江守徹さん、成田三樹夫さんもやられていたのかな? その中に入れてもらって申し訳ない感じもしますね」と恐縮する。
一方で、「しゃべらない」演技で早くも存在感を発揮している昇太さん。「演出の方に言われたことをするのが仕事で、こうやりたいというプランはあまりなかった。ただ無表情なのに、いろいろなことをバサバサやっていく、今回の今川義元はかなりいいですね」と満足げ。「しゃべらない=せりふがない」ことについては「最初はせりふを覚えなくていいから楽だなって思ってたんですけど、しゃべらないで芝居するって、こんなにも大変なのものなのかって。しゃべっていないと、自分がどのくらいの表情が分からない。せりふがあった方がずっと楽って、今回よく分かりました」と振り返った。
今回は当然、トレードマークのメガネを外しての演技で「コンタクトレンズも入れてないので、実は相手が見えてないんです」とこっそりと明かした昇太さん。今後の見どころについては「ずっとしゃべらなかった義元がしゃべるんですよ。そこを見ていただけたら。何話目なのかはお楽しみで。僕としてはそこを見てもらいたい、噺家なんでやっぱりしゃべらないとね」と笑っていた。
NHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」はNHK総合で毎週日曜午後8時ほかで放送。
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