ダウンタウンDX:伝説の高視聴率企画「スターの私服」撮影の裏側 専任Dの名人芸

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 バラエティー番組「ダウンタウンDX」(読売テレビ系)で、確実に視聴率を稼ぐ“鉄板”企画が「スターの私服」だ。出演者の私服を紹介しながら、その金額を発表し、ダウンタウンの2人とゲストがトークを展開するもので、スペシャルなどで放送され、98年の放送では関西地区で30%を超える視聴率をたたき出した伝説を持つ。超人気企画の裏側を探った。

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 同企画は、同局のワイドショー番組で定番だった芸能人のファッションチェックの企画をヒントに、98年のスペシャルでスタートした。以前同番組のアシスタントディレクターをしていた中村崇ディレクターが担当し、以来16年間同コーナーの専任となっている。

 コーナーに登場するゲストには、披露する私服について事前にアンケートをし、ブランドや金額、プレゼントなら誰からもらったかなどを聞く。そのうえで収録直前に私服の撮影をして、全身、パーンアップ、各アイテムのアップ、くるりと1回転してもらい、後ろ姿も撮影する。通常であれば、それぞれの素材をつなぎ合わせてVTRにして、放送するのだが、同コーナーでは、撮影したそれぞれの素材をバラバラにして用意しておく。中村さんは、収録中にトークの状況に合わせて切り替えられるように、サブといわれる調整室で、収録しているスタジオの映像には目もくれず、トークの音だけ聞いて、必要な素材を流す、その姿はまさに“名人芸”だ。

 私服の収録は、各ゲストと番組の打ち合わせをしながら進めていき、中村さんは撮影をしながら、ゲストに声をかけて、アイテムについてのエピソードを聞き出していく。中村さんはそうした情報をインプットすることで、トークに合わせた的確な指示ができるのだ。

 中村さんのこだわりは、アイテムを紹介するテロップで、「シャネルのくつ」といった漠然とした表現ではなく、「シャネルのパンプス」など正確な名称で紹介することだ。「女性が注目しているので、手を抜けない。本人も分からない場合は、スタイリストに確認したり、女性ファッション誌をチェックしたり、自分も興味を持つようになった」という。

 同コーナーでは、スターの超高額なファッションアイテムに注目がいくが、中村さんが特に印象に残っているのは杉本彩さんやRIKACOさんだという。「2人とも私服がすごくおしゃれで、杉本さんはいつも完全にノーメークで撮影するんですが、すっぴんでも美しい。RIKACOさんは、UGG(アグ)のムートンブーツを最初にはいてきた。その後、大流行したんですが、まだ誰も注目していないころでした」と振り返る。

 同コーナーが放送された98年9月のスペシャルは、関西地区30.5%(関東地区20.4%)という高視聴率で、分単位の視聴率のグラフでは、コーナーが始まった瞬間から、「垂直みたいに上昇した」という。その後も放送されるたびに視聴率を押し上げており、人気の理由について中村さんは「全く分かりません。DXそのものがスターの裏側が垣間見える番組なので、私服はその裏側が現物として見られる。されに流行も楽しめるのが面白いのでは」と話す。

 20日午後9時から生放送される「1年に1度の祭典! 沖縄から2時間生放送スペシャル」でも、もちろん「スターの私服」が放送される。こだわり抜いた名人芸で、“鉄板伝説”はこれからも続いていくだろう。

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