ドラマからドキュメンタリー、バラエティー、アニメまでのテレビ番組について、放送前に確認した記者がレビューをつづる「テレビ試写室」。今回は、7月13日午後10時から放送される、唐沢寿明さん主演の連続ドラマ「ボイス 110(イチイチゼロ)緊急指令室」(日本テレビ系)の初回だ。
ウナギノボリ
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犯罪被害者からの110番通報に迅速に対応すべく日夜戦い続ける警察の緊急指令室を舞台に、刑事とボイスプロファイラー(声紋分析官)の活躍を描く。唐沢さんは勘と行動力で突き進む凄腕(すごうで)刑事で、妻を殺した猟奇殺人犯への復讐(ふくしゅう)に燃える樋口彰吾役。真木よう子さんが、父を殺害された緊急指令室室長で、どんなかすかな音も聞き逃さないボイスプロファイラーの橘ひかりを演じる。
初回は、樋口の妻・未希(菊池桃子さん)が謎の殺人鬼にじりじりと追い詰められる場面からスタート。未希は110番に助けを求めるも、港東署の緊急指令室の警部補・ひかりが電話対応をミスしてしまい、惨殺されてしまう。被疑者は逮捕されるが、裁判で検察側の証言台にたったひかりは、電話で聞いた犯人の声は、被疑者ではないと証言。樋口とひかりの間に遺恨が残る。緊張感のある導入部で、心をわしづかみされた。
3年後、犯人を追い続けていた樋口は、手荒な捜索と執着心で、同僚から煙たがられる存在に落ちぶれていた。一方、科捜研で難事件を解決し実績を積んだひかりは、自ら希望を出し港東署の緊急指令室長に就任。ひかりは「ECU」という独自の捜索ユニットを創設し、樋口を新チームの現場リーダーにするつもりだった。その直後、若い女性から「監禁されている」と通報が入る。ひかりは指揮を執り、樋口に出動命令を出すが、樋口は拒否し……という展開。
見どころはなんといっても、通報を受けてから犯人を検挙するまでの、「クライシスタイム」という要素だ。「3分で現場到着、5分で現場確認、10分で検挙」することが被害者の生死を分ける時間。見ていると焦る気持ちをかき立てられてしまう点が、ほかの刑事作品と差別化できているように感じた。
犯人はどこに潜んでいるのか、被害者の様子は、樋口は間に合うのか、といったシリアスな展開が畳みかけてきて、息つく暇もないほど。遺体の傷痕や、暴行シーンなど、テレビドラマでは嫌われるようなシーンも描かれていて、骨太な意欲作に仕上がっている。
悲しい過去を持ち、「ハマの狂犬」と呼ばれ血気盛んな樋口と、電話越しに聞こえてくる情報から冷静沈着にプロファイルするECU・室長、ひかりの対照的な姿も印象的だ。初回では反目し合う2人だが、ストーリーが展開するとどのような「バディー感」を出してくれるのか、期待感が高まる。
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