解説:明日スタート「虎に翼」ヒロイン伊藤沙莉の魅力 「お芝居の天才」? “愛されている理由”も

連続テレビ小説「虎に翼」で主演を務める伊藤沙莉さん (C)NHK
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連続テレビ小説「虎に翼」で主演を務める伊藤沙莉さん (C)NHK

 4月1日にスタートする2024年度前期の連続テレビ小説(朝ドラ)「虎に翼」(NHK総合、月~土曜午前8時ほか)。主演を務めるのは俳優の伊藤沙莉さんで、朝ドラへの出演は、2017年度前期の「ひよっこ」以来、7年ぶりとなる。本作で、日本初の女性弁護士で、後に裁判官となる三淵嘉子さんがモデルのヒロイン・猪爪寅子(いのつめ・ともこ、あだ名はトラコ)を演じる伊藤さんの魅力とは? 制作陣の言葉などから、ひもといてみた。

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 ◇どんなにクセのあるキャラクターでも、好感度の高い役柄に

 伊藤さんは1994年5月4日生まれ。9歳のころに子役としてデビューし、2005年放送の連続ドラマ「女王の教室」(日本テレビ系)のような話題作にも出演。制作陣の間で高い評価を得てきたが、その名前が広く知られるようになったのは、朝ドラ「ひよっこ」以降だろう。主人公を演じた2020年のテレビアニメ「映像研には手を出すな!」では、声の演技でも注目を集め、近年は日本マクドナルド、サントリー、東京ガスなど大手企業のCMに起用されるなど、「若きバイプレーヤー」にとどまらない活躍を見せてきた。

 どんなにクセのあるキャラクターであっても、行動や立ち居振る舞いにいじらしさや愛らしさをにじませ、好感度の高い役柄に仕上げてしまうのも彼女の大きな魅力。2019年に多部未華子さん主演で放送された連続ドラマ「これは経費で落ちません!」(NHK)の制作に携わり、千葉雄大さんと共演した「いいね!光源氏くん」シリーズ(同)で制作統括を務めた管原浩さんは、伊藤さんを「お芝居の天才」と評し、「スタッフのみならず共演者の方にも信頼の厚い俳優」と語っていた。

 「何が天才か」と言うと、管原さんは「せりふをしゃべりながら細かな動きをするのは実はたやすいことではなく、慣れない役者さんはどうしてもせりふか、動きの、どちらかがぎくしゃくしてしまうのに、伊藤さんはすべてスムーズに、完璧にこなせる」と説明。その上で「間合いも抜群ですし、だから多部さんや千葉さんなど主演の方が、一緒に絡むのに安心していられる。また日ごろからスタッフの言動もよく見聞きしていて、スタッフ一人一人に合わせた応対ができるのも、彼女が愛されている理由かもしれません」と話していたのも印象的だった。

 ◇ずっとこの人を見ていたいという気持ちにさせてくれた俳優

 そんな伊藤さん演じる「虎に翼」のヒロイン・猪爪寅子とはどんな女性なのか。大正3(1914)年、「五黄(ごおう)の寅年」に生まれたことから、寅子(ともこ)と名付けられる。女学校の卒業を迎えた年、お見合い結婚を勧める母親を振り切って、女性に法律を教える日本で唯一の学校への入学を決意。そこで出会った仲間たちと切磋琢磨(せっさたくま)し、やがて日本初の女性弁護士となる。世間知らずで自信家の所もあるが、すべてに全力の人。弁護士として、裁判官として、一歩ずつ成長していく。あだ名は“トラコ”だ。

 本作の制作統括・尾崎裕和さんは、2022年放送のNHKの特集ドラマ「ももさんと7人のパパゲーノ」で、伊藤さんとタッグを組んだ経験を持つ。昨年2月、「虎に翼」の制作が発表された際には、伊藤さんについて「ずっとこの人を見ていたいという気持ちにさせてくれた俳優です」とコメント。また伊藤さんのことを“戦友”と位置づけ、「再び一緒に“闘える”ことがとても心強く、うれしい気持ちでいっぱいです」と思いをつづっていた。

 さらには「物語は明るくて、楽しいことばかりではないのですが、そんな中でも(ヒロインの)猪爪寅子は前向きで、チャーミングで、明るいというイメージで考えています。(合うのは)“伊藤さんしかいない”と思い、オファーさせていただきました」と起用理由を明かしていた。

 現在29歳で、ドラマ放送中に30歳の誕生日を迎える伊藤さん。その人生の節目にどんな演技を披露してくれるのか。注目だ。

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