八木亜希子:ライス在日米軍司令官がゲストで「気が遠く……」 BSフジ「プライムニュース」

 元フジテレビアナウンサーとして人気を集めたフリーアナウンサーの八木亜希子さん(44)が現在、報道討論番組「BSフジLIVE PRIME NEWS(ライブプライムニュース)」(BSフジ)でメーンキャスターを務めている。月曜から金曜まで毎日2時間の生放送で、過去にはライス在日米軍司令官を招いて防衛問題をテーマに議論。鳩山由紀夫首相が退陣表明をした2日には山岡賢次・民主党国対委員長や渡辺周・副総務相を招くなどして討論を行った。番組の見どころや苦労、そしてプライベートについて、八木さんに話を聞いた。(服部美央/毎日新聞デジタル)

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 「プライムニュース」は09年4月に放送を開始。政治、経済、国際などの時事問題から、葬式の必要性や芸術のグローバリズムなど多岐にわたってテーマを設定し、テーマに沿った専門家を招いて討論する。フジテレビでニュース番組のキャスターを務めていた八木さんの9年ぶりの報道キャスター復帰番組で、八木さんは月~木曜に番組の顔として出演している。

 八木さんは番組の魅力を「今起きていることと、(その事象に対する)いろんな考え方が分かる。当事者や、かかわりの深い方に語ってもらって見えてくるものがある」といい、さらに「生放送なので、編集というバイアスもかからず、(番組を)見ている人に判断を委ねるための材料を提示できる。答えはなくていいんだと思う。(それぞれの考え方には)メリットとデメリットがある。そのメリット、デメリットを全部提示することがこの番組の役割」という。また「地上波のニュースとか新聞ですでに時事情報は得ている人に対しての課外授業みたいな感じ」と番組を表現した。

 過去に経験したニュース番組と比較して「一分一秒を争う速報性はないけれど、(テーマになるのは)ここ1カ月ぐらいに起きたこと。回り回って日常の生活に関係することだし、多面的な提示ができる」といい、「速報性の経験もしたから、これも勉強になる。もともとテンポが遅い方なので、じっくりの方が性には合いますね」と笑顔を見せる。

 八木さんは、ライス在日米軍司令官がゲストで登場した回を振り返り、「2時間、全編同時通訳だった。英語を聞いて、(日本語の)同時通訳も聞いて、話しているのは防衛問題で、ざっくりした英語では許されない話。ちょっと気が遠くなって、終わってからもずっとテンションが上がっちゃって、2~3日、(収録の)2時間がぐるぐる頭の中を回ってるみたいな感じで、しばらくクールダウンできなかった」と笑い、「そういう地上波では絶対避けるような試みもやっています」とアピールする。

 多岐にわたるテーマで苦手なものはないのかと聞くと、「ありますよ。意味が分からないとか」と屈託なく笑い、「経済で、最近は(経済学者のヨーゼフ・)シュンペーターの考え方も注目されてるということで、そのシュンペーターを学ぶ回があった。経済学部を出た人だったら誰でも分かる名前なんですけど、(私は)『なんですか、それは?』みたいなところから入って……。それを最初から分かっている経済解説員の人と、『シュンペーターって誰?』っていう私とのギャップの間で、打ち合わせにすごく時間がかかりました」と明かした。

 番組のゲストが決まるのは約1週間前で、八木さんは、週末などにテーマにあった資料をチェックするという。テレビに登場するのが初めてのゲストもおり、「(ゲストが)どのぐらいどんな感じでしゃべるのか分からないまま(本番が)進んでいくこともある」というが、そんなゲストを仕切るポイントは「白熱した場合はほったらかす」ことだという。話が繰り返しになったり、長くなった場合には口を挟むが、「土台を作って、ゲスト同士が話しやすい雰囲気があって、(ゲストが)いろいろな考え方を話せる方が見てる人には情報が多い」と考えている。

 また、八木さんは「もうちょっと社会部的なネタ、事件、事故の中で傾向があったらそれを検証するとかを(テーマに)してみたい。警察ものにも興味がある」と話し、09年5月に施行された裁判員制度について「まだ番組で取り上げていないので、1年たったところで検証してみたい」と意欲をみせた。

 リフレッシュ方法を聞くと「週末は家族と過ごしているので、仕事のことは忘れちゃいますね」と自然体で、「(家事は)主人と2人なんで、そんなに大変じゃない。平日は一緒に食事ができないので、週末になるべく一緒に食べています」という。番組のことを話題にすることもあるようで「社会問題についてちょっと熱く語ったりとか」と照れ笑いし、「(夫の)仕事は全然業界が違うので、新鮮な見方もあるし、私が苦手な経済の分野とかに詳しいので、そういう話を聞いたり、さっぱり意味が分からなかったこととかをゼロから解説してもらったりすることもあります」と仲むつまじい様子を語った。だが、「(夫が)ほかにやることがあって夢中なときは、聞いてもあんまり反応がないときもあります。反応がある時にころ合いを見て(話題を)小出しに出してます」とおちゃめな表情で笑った。

 このほかにも映画や舞台、コンサート、美術館などエンターテインメントに触れるのもリフレッシュ法の一つで「週1回は必ず何かに触れようと思っている」という。「DVDを見るときもあるし、劇場に行くときもある。節操なく、何かしらに行って。普段はニュースの世界なので、金、土、日にエンターテインメントだったり、家族との生活を送ることが、ニュースにおいても大切かなと思う」と自身の考えを話した。また美容については、以前、義理の母からもらったラジオ体操のCDをかけて毎朝ラジオ体操をやっていたそうで、今は「もうちょっとハードにやろうかなと思って、ストレッチをやっています」と話した。

 最後に視聴者に向けて「毎日2時間、けっこう濃くやっています。BSチューナーを入れている方はぜひ一度(チャンネルを)回していただいて、持っていない方はまずサイトでダイジェスト版を見ていただいて、地デジにあわせてBSチューナーを購入していただけたら」とジョーク交じりにアピールし、「このテーマは自分にとって身近だなと思ったり、面白いなと思ったときには、ぜひ“接触”していただければ」とメッセージを送った。

 同番組では、7日に安倍晋三・元首相と、与謝野馨・たちあがれ日本共同代表を招き、「安倍元首相&与謝野氏が憂国の提言」と題して討論をするほか、8日に河村たかし・名古屋市長、9日に作家の堺屋太一さん、江田憲司・みんなの党幹事長、10日に寺田学衆院議員、菊田真紀子衆院議員、高橋進・日本総研副理事長、11日に亀井静香・金融郵政担当相、山岡賢次・民主党国対委員長を招く予定。毎週月~金曜午後8時から生放送。毎週日曜午前11時からはダイジェスト版の「プライム ニュース ウィークエンド」を放送している。

 <プロフィル>

 やぎ・あきこ。65年6月24日静岡県生まれ。早大第一文学部心理学専修卒業後、88年にフジテレビ入社。報道・情報番組やバラエティー番組などを中心に活躍した。00年に退社し、フリーアナウンサーに転身。03年、結婚を機に渡米し、09年に9年ぶりに報道番組のキャスターに復帰した。

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