SPECIAL EDITED VERSION 『ONE PIECE』魚人島編
第1話 再出発!集う麦わらの一味!
11月3日(日)放送分
話題のマンガの魅力を担当編集が語る「マンガ質問状」。今回は、甲子園を目指す野球部のドラマを描いた三田紀房さんのマンガ「砂の栄冠」です。「ヤングマガジン」(講談社)編集部に作品の魅力を聞きました。
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−−この作品の魅力は?
マンガ「ドラゴン桜」で有名な三田紀房先生ですが、実は大の高校野球通で、これまでにも多くの野球マンガを描いていらっしゃいます。大ヒットした東大合格請負マンガ「ドラゴン桜」は、その前作の高校野球マンガ「クロカン」があってこそ誕生した作品なのです。
「1000万円で甲子園を買え!」 もし、高校球児が、ある日突然1000万円を渡され「この金で甲子園に出てくれ」と言われたら‥‥。
埼玉県立樫野高校野球部の新主将・七嶋は甲子園出場のため、自ら鬼となり、目的のためには手段を選ばない“黒い主将”に変身。平気でウソをつき、無能な監督には面従腹背。母親、チームメート、部長、女子マネジャー……と周囲の人々も次々と“黒く”なり、樫高野球部は次第に“闘う黒い集団”へ変貌する……というストーリー。
とはいっても、決して暗いマンガではありません。謎の“神業”守備コーチ、伝説のノックマン、“ドヤ顔”が似合いすぎる無能監督ガーソなど、お笑い系のサブキャラクターが次々と人気を博し、いまや、声を出して笑える野球マンガとして、“ヤンマガ”本誌でもネットでも大好評です。
また、高校野球マニアの方向けに通が楽しめるネタも各所にちりばめられております。
−−作品が生まれたきっかけは?
09年6月の講談社漫画賞授賞式後、ヤングマガジンの編集部員5~6人が三田先生を囲んで飲んでいた時のこと。いきなり三田先生が、赤ら顔で「もし高校球児がもらった札束をグラウンドに埋めたら……」と驚愕(きょうがく)発言。その場にいた全員(編集長も含む)が、この“三田発言”に強く反応し、翌日、酔いがさめた頭で再考察してもやっぱり面白いので、すぐに三田先生に連載をお願いした次第です。約6年半前にお聞きした“東大合格100人発言”を思い出しました。あれもいきなりでした。そしてあの「ドラゴン桜」になりました。
−−リスクを取らない監督、ノックの善しあしなど、高校野球ファンでもうならされるシーンが盛り込まれています。こんな知識はどこから得るのでしょうか?
野球マンガをお描きになっていない時期でも、春夏の甲子園に必ず出向く三田先生が、好きだからこそ、いつのまにか収集してしまった野球知識、情報が存分に生かされています。また、単行本に掲載されている野球マニアに“バカウケ”の巻末企画「甲子園研究所」を書いている野球ライター田尻賢誉さんなど、多くの“野球オタク友達”に恵まれていることも功を奏しているようです。
−−編集者として作品を担当するうえでうれしいこと、逆に大変だったエピソードを教えてください?
大変なことは、ありません。三田先生は、知る人ぞ知る、担当編集者が楽できる先生なのです。さらに私は、先生の“ご近所在住”なので、徒歩で訪問しております。ああ、楽だ!
強いて言えば大変なのは甲子園の取材。春の甲子園はいつも凍えそうなほど寒く、夏の甲子園はいつもぶっ倒れそうなほど暑いことでしょうか。春は持病のひざ痛が悪化し、夏は記者証を首からぶら下げているのでビールが飲めないのがつらいです。愛想を振りまいてくれるビール売りのお姉さんを、よだれを垂らしながら見つめております。
うれしいというか楽しいのは、原稿をいただきにあがった時に三田先生から聞く次回のスト−リー。三田先生は落語家級の話し上手なのです。特に最近はガーソの“ドヤ顔”ネタで爆笑しております。「俺がやった」「俺が育てた」を連発するえらい人、みなさまの身近にも居ますよね?
−−今後の展開、読者へ一言お願いします。
主人公の七嶋が、幼なじみで古女房的存在の女子マネジャーの遠藤蘭(名前の由来はヒットエンドラン)に背中を押されて、大金を使い始めてから、がぜん派手な展開になってきました。今一番熱い野球マンガです。
野球マンガのだいご味である試合は、もちろんのこと、人気のサブキャラクターが続々と誕生し、声を出して笑える野球マンガになりました。ガーソに困り果てる七嶋。遠藤と伝説のノックマンの、まるで夫婦漫才のような以心伝心の掛け合いなどが最近ヤンマガ読者に“ウケて”おります。
最新4巻は6日発売です。この機会に第1~4巻まとめて、大人買い、お願いします。
ちなみに、多くの有名人の方々にも読んでいただいておりまして……、2巻はタレントの伊集院光さん、3巻は「島耕作」の弘兼憲史さん、第4巻は「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」の岩崎夏海さんに帯コメントをいただきました。
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