ジョニー・デップさんがカメレオンの声を担当し、しかもカメレオンの動きや表情が次第にデップさんに見えてくるという不思議でユニークなアニメーション「ランゴ」が、22日に封切られた。デップさんと「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズで気心知れた仲のゴア・ヴァービンスキー監督が手がけ、ペットとして人間に飼われていた、ヒーロー願望の強いカメレオンのランゴ(デップさん)が、ひょんなことから砂漠の町に迷い込み、水不足にあえぐ住人たちのために奮闘する西部劇が繰り広げられる。
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謎のふくろう軍団が奏でる曲を合図に物語は始まる。ふくろうたちは歌う、あるヒーローが死ぬまでの話をこれから語る、と。そして登場するランゴ。見るからに奇妙な、しかし憎めない風貌(ふうぼう)だ。“キモかわいい”キャラが好きな人にはたまらないが、そうでない人にはどう映るのか……一抹の不安はあるが、ともかくヴァービンスキー監督ら製作陣は今作を作るに当たって、「シェーン」(1953年)や「続・夕陽のガンマン」(66年)といった西部劇を見まくり、アイデアの肉付けをしていったという。
その言葉通り今作には、往年の名作西部劇に対するオマージュを多く見いだすことができる。その一方で、うそをつくクセがあるランゴが、自らの行為を悔やみ月に向かってトボトボと歩く詩的な映像や、どう考えても“あの人”にしか見えない西部の精霊が口にする言葉が哲学的だったりと、単に西部劇をパロったアニメーションではすませられない奥深さもある。
声を収録しながら一緒に撮影した俳優たちの動きや表情を、それぞれのキャラクターに“エモーション・キャプチャー”として生かしてある。お陰で、アニメーションながらもデップさんはもちろん、「パイレーツ・オブ・カリビアン」のビル・ナイさんや、「スパイダーマン2」のアルフレッド・モリナさんなど、俳優たちの“名演技”がたっぷりと楽しめる。22日から新宿バルト9(東京都新宿区)ほか全国で公開中。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)
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