ダンダダン
第8話「なんかモヤモヤするじゃんよ」
11月21日(木)放送分
話題のライトノベルの魅力を担当編集者が語る「ラノベ質問状」。今回は、勇者に敗れ、日本でつましい暮らしをしている魔王と、契約社員としてバリバリ働く勇者をはじめ個性的なキャラクターたちの騒動を描いた「はたらく魔王さま!」(和ヶ原聡司著、029画)です。アスキー・メディアワークス電撃文庫編集部の荒木人美さんに作品の魅力を聞きました。
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−−この作品の魅力は?
“フリーター魔王様が繰り広げる庶民派ファンタジー”と銘打つ本作の魅力は、なんといっても個性豊かなキャラクターたちです!
異世界の魔王だったのに、勇者に敗れて日本の東京は笹塚に来てしまった主人公。日本名は真奥貞夫(まおう・さだお)。なんと彼はファーストフード店でアルバイトをしながら、日本征服を目指し、まずは正社員になるべく真面目に働くことになります。
そんな魔王を取り巻くのが、彼を追って来たものの、日本の貨幣経済にもまれ、テレアポをしながら生活をしている勇者エミリアこと遊佐恵美(ゆさ・えみ)。魔王を倒すべく頑張るのに、空回り気味なところが可愛くて面白いです。そして、魔王に心を寄せるバイト先の女子高生・佐々木千穂。今時見ない礼儀正しくしっかりとしたお嬢さんで、癒やし系の正統派ヒロインです。ほかにも、趣味は節約、料理や掃除も完璧、主夫として魔王を支える悪魔大元帥アルシエルこと芦屋四郎(あしや・しろう)、最初は敵として登場するも、魔王城の居候ニートとなってしまう堕天使ルシフェルこと漆原半蔵(うるしはら・はんぞう)などなど、たくさんの愛すべきキャラクターたちが登場し、お話を盛り上げていきます。
−−作品が生まれたきっかけは?
「はたらく魔王さま!」は、第17回電撃小説大賞の銀賞受賞作で、応募時は「魔王城は六畳一間!」というタイトルでした。第17回は小説部門の応募総数が4842作品という超難関の年で、そのたくさんの作品の中、編集者全員が「魔王がフリーターって、ギャップありすぎ! でもそこが面白い!」と意見の一致した作品です。主人公たちがほぼ全員社会人のため、学園が舞台の作品が多いライトノベルの中で、やや異色かもしれない一面もあるのですが、まさに「面白ければ何でもアリ」という電撃大賞にふさわしい作品で、老若男女どんな人が読んでも面白いと思ってもらえる作品だと思います。
また文庫の表紙は、1巻の時から毎巻「かっこいい!と見せかけて実は庶民的」というのをテーマに029さんに絵を描いていただいています。かっこつけているのにちょっとずれているキャラクターたちに注目して見てみてください。
−−作家さんとイラストレーターさんはどんな方でしょうか?
著者の和ヶ原さんは、すごく優しくておちゃめな方で、特に小物描写へのこだわりがとても勉強になります。「貧乏」と「男が良しとする安物」に関わる小物描写には徹底的にこだわりたいとのこと。たとえば、029さんにイラストのお願いをする際、和ヶ原さんが一番こだわられたのが魔王愛用の自転車の見た目でした。高価な自転車になりすぎないようにとのことだったのですが、その精神は随所に生きていて、他にも、白や黒の無地の靴下やトランクスというのは意外と高いので、魔王城の洗濯物にはやたらラインが入っていたり、変なデザインを入れたりですとか、魔王城にある電子レンジの機能は、レンジ、解凍、タイマーのみのシンプルなもので、といった感じです。
029さんは、優しくほんわかとした方です。お名前の通り、「お肉」が大好物だということです。あとは、アルパカも大好きだとか。「はたらく魔王さま!」はいろんな年齢層・性別の方に読んでいただきたい作品だったので、男性にも女性にも受け入れられる、ポップで元気よく、可愛らしいイラストを描かれる029さんに挿絵をお願いしました。和ヶ原さんこだわりの小物に関しても、意図をくんでしっかりと描いていただけます。また恵美や千穂の私服などなど、いつもたくさんのすてきな案を出してくださり、作品をより良くするためにご尽力いただいています。余談ですが、打ち合わせでご自宅に行った際に、なんと夕飯をごちそうになったのですが、「お肉」料理を出していただいたのは良い思い出です。
−−編集者として、この作品にかかわって興奮すること、逆に大変なことについてそれぞれ教えてください。
興奮するのは、いつも和ヶ原さん、029さんと意見を出し合いつつ、3人でチームとして作品作りができる点です。お二人とも、作品をちょっとでも面白く、読んだ人が笑顔になれるものにするため、いろいろなアイデアを出してくださいます。お二人がそれぞれのフィールドでお互いを尊敬し合っておられる点も、作品にとてもプラスに作用していると思います。
お二人のアイデアがよりよい感じに混ざり合った…、という点では、3巻の口絵のラフを029さんからいただいた時に、「芦屋の手袋がゴム手袋に見える……!」という和ヶ原さんのひらめき(?)から、当初「かっこいい」がコンセプトのイラストになるはずだったのが、カバーと同じく「かっこいい!と見せかけて庶民的」というコンセプトに移行したことがありました。結果的に、作品をよく表現できるとてもすてきなイラストになったと思っています
−−今後の展開、読者へ一言お願いします。
フリーター魔王様たちが、なんとコミック界を侵略することになりました! 12月27日発売の「月刊コミック電撃大王」2月号より、原作のストーリーを追うコミックが柊暁生さんの作画でスタートします! また、「電撃マオウ」でもスピンオフ企画が進行中ですので、こちらも楽しみにしていてください!
そして、原作のほうは、ただ今和ヶ原さんが第4巻を鋭意執筆中です。12年の早いうちに皆様のお手元にお届けできるかと思っています。第4巻はまだまだ夏本番、ついに魔王たちが○○へ行く!? といった内容の予定です。これからも皆さんの脳内を侵略すべく著者の和ヶ原さん、イラストレーターの029さん、そして魔王様たちと一緒に頑張っていきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
アスキー・メディアワークス 電撃文庫編集部 荒木人美
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2024年11月22日 17:00時点
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