朗読少女:乙葉しおりの本の小道 第69回 与謝野晶子「みだれ髪」

「みだれ髪」作・与謝野晶子(新潮文庫)の表紙(左)と乙葉しおりさん
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「みだれ髪」作・与謝野晶子(新潮文庫)の表紙(左)と乙葉しおりさん

 美少女キャラクターが名作を朗読してくれるiPhoneアプリ「朗読少女」。これまでに50万ダウンロードを突破する人気アプリとなっている。「朗読少女」で、本の朗読をしてくれるキャラクター、乙葉しおりさんが名作を紹介する「乙葉しおりの本の小道」。第69回は与謝野晶子さんの「みだれ髪」だ。

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 皆さんこんにちは、乙葉しおりです。

 もうすぐ母の日ですが、皆さんはカーネーションの準備はお済みですか?

 母の日は、17世紀初頭にイギリスとアイルランドで定着したと言われる「マザリング・サンデー」(お母さんの日曜日)という祝日がその始まりだそうですが、実はこの行事にカーネーションは関係がありません。

 では、カーネーションを贈る風習が始まったのはいつなのでしょうか?

 それはマザリング・サンデーの始まりから3世紀後、20世紀初頭のこと。

 アメリカのアンナ・ジャービスさんは、亡くなられたお母さんをしのんで集まった人たちに感謝を込めて、お母さんが生前大好きだったという白いカーネーションを贈りました。

 お母さんに対するアンナさんの深い愛情に感銘を受けた人たちは、彼女と一緒に母の日を州の祝日にする運動を展開し、後に大統領宣言によって1914年から母の日が制定されたんだそうです。

 このエピソードによって、

 ・お母さんが亡くなられている場合は「白」のカーネーションを。

 ・お母さんが生きている場合は生命の象徴「赤」のカーネーションを。

 それぞれに贈る風習が定着したと言われているんですよ。

 カーネーションの色による花言葉の違いも、それを裏付けるものになっているように思います。

 ちなみに、ちょっと変わった色のカーネーションを贈ろうと考えている場合は、花の色に気をつけてください。

 黄色いカーネーションの花言葉は、「軽蔑」だったりしますから(>_<)

 近年では遺伝子組み換えで誕生した青紫のカーネーション「ムーンダスト」が評判になっていますが、こちらは「永遠の幸福」という、白と赤のいいとこ取りのような花言葉になっていたりします。

 ではここで、朗読倶楽部のお話。

 今回からは、朗読倶楽部4度目の大会出場の思い出をお話ししたいと思います。

 それは夏休み終盤に出場した大会からおよそ2カ月後の、10月も後半に差し掛かったころ……。文化祭や体育祭で目まぐるしく時間が過ぎ、気が付けば4度目の大会の日まで10日を切っていました。

 初めて大会に出たときは散々な結果だった私たち朗読倶楽部ですが、夏合宿や自主練習に朗読館を通じた活動、そしてこれまでの大会出場を通じて、みんな少しずつ自信を持てるようになっていたんです。

 それに次回大会の内容も、前回のビブリオバトルのような新しいルールへの挑戦ではなく普通の朗読大会でしたから、大会目前と知っても気持ちは落ち着いていましたし、部長さんに至っては「今の実績なら、もう部として認めてもらえるはず!」と、学校側に問い合わせに行ってしまうほどだったのです。

 ところが、意気揚々と出かけていった部長さんが今にも泣き出しそうな顔で帰ってきたとき、私は考えが甘かったことを思い知ったのです……と、いうところで、今回はここまでです。

 次回もまた、よろしくお願いしますね。

■しおりの本の小道 与謝野晶子「みだれ髪」

 こんにちは、今回ご紹介する1冊は与謝野晶子さんの歌集「みだれ髪」です。

 「鳳晶子(ほう・あきこ)」名義で雑誌に投稿していた作品群を、後に結婚される与謝野鉄幹(てっかん)さんの編集によって1901年に出版された、与謝野晶子さん初めての歌集にして代表作の一つ。

 全6章・399首におよぶ歌の数々は、女性の恋愛と自立をテーマとして、時に静かに、時に激しく、情熱的に詠いあげられています。

 第1章「臙脂紫(えんじむらさき)」 98首

 第2章「蓮の花船」         76首

 第3章「白百合」          36首

 第4章「はたち妻」         87首

 第5章「舞姫」           22首

 第6章「春思(しゅんし)」     80首

 「みだれ髪」は、無名の女性歌人にすぎなかった与謝野晶子さんを一躍有名にしましたが、その秘密は作品の魅力もさることながら、彼女を取り巻く当時の状況にも理由がありました。

 この作品が発表された明治時代の倫理観は現在のそれとは違い、自分の恋愛に対する思いを口にするようなことはタブー視され、特に女性はつつましくあるのが当然とされていたため、当時の歌壇には彼女の歌がとても過激なものとして映ったようです。

 しかもその思いが、既に妻子ある立場だった与謝野鉄幹さんへ向けて詠われていた、というスキャンダルが発覚したものですから、一時は周囲から強い誹謗(ひぼう)中傷にさらされることになりました。

 その一方で「まことの心」を歌う彼女の歌は民衆に強く支持され、やがて歌壇をも動かしていったのです。

 最後に、この作品は1933年に「与謝野晶子全集」が発刊された際に再度編集を受けているのですが、実はその内容は初版と異なっているのをご存じですか?

 具体的には110首が削除され、22首が新たに追加されて全311首になっているんです。

 どの歌が入れ替わったのか、一度違いを読み比べてみるのもおすすめですよ。

 ※本コラムをしおりさんが朗読する「乙葉しおりの朗読倶楽部」がiPhoneアプリ「朗読少女」のコンテンツとして有料配信しています。

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